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職場の健康づくりのサポートを通し
健康な地域社会づくりにも貢献

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宮嶋 哲哉 氏
アクサ生命保険株式会社
青森支社長
1965年、福岡市生まれ。福岡大学卒業後、国内生命保険会社勤務を経て、2001年、アクサ生命保険株式会社入社。各地の営業所長、北四国支社長、神戸支社長を歴任し、17年1月より青森支社長。
■中小企業のベストパートナーとして

----御社は、各商工会議所の会員事業所をはじめとする中小企業向け生命保険やサービスの提供を通して、商工業者の福利厚生の向上と地域社会の持続的発展を目指してこられました。具体的な取り組みをお聞かせください。

 アクサ生命の前身のひとつである「日本団体生命」は、日本初の団体生命保険専門会社として1934年に設立されました。初代会長に日本商工会議所会頭を迎え、各地の商工会議所の会員事業所向け団体保険の普及に取り組み、67年に「商工会議所共済制度」の取り扱いを開始しました。アクサ生命と統合してからも基本姿勢は変わらず、商工会議所会員企業をコア・マーケットと位置付け、会員の皆さまの福利厚生制度の充実に貢献するための商品開発・制度設計を続けています。「商工会議所共済制度」は今年50年目を迎えますが、現在、「生命共済制度」「特定退職金共済制度」の2つを軸に、全国515商工会議所のうち511カ所(2016年6月1日現在)で当社の各種保険制度が採用されています。従業員の皆さまの福利厚生制度を支えるとともに、経営者の皆さまに対しては、事業承継や相続に絡む対策、また、中小企業ほど経営者が働けなくなってしまった場合のマイナスのインパクトは大きいですから、就業不能になってしまった場合の保障など、きめ細かな商品やサービスをご提供しています。

 創業の経緯から全国の支社が商工会議所の中にあり、県内では、青森、弘前、八戸、五所川原、十和田、黒石、むつの各商工会議所と、三沢の商工会に店舗を配置しています。

■「健康経営」実践をサポート

----御社は、東奥日報など全国の地方紙や放送局と連携し、子宮頸がんや生活習慣病予防を啓発するキャンペーンを展開されています。近年、普及に努めている「健康経営」という考え方について教えてください。

 中小企業の安定経営や発展のお手伝いをする中で、近年は特に「健康経営」導入のサポートに力を入れています。「健康経営」とは、一言で言うと「社員の健康を重要な経営資源ととらえ、社員一人ひとりの健康促進に会社が積極的に取り組む」経営スタイルのことです。「健康経営」導入の促進は、当社からのアプローチだけではなく、商工会議所の事業計画にも盛り込まれていますし、全国健康保険協会さんが事業所の「健康宣言」を支援されていますので、そちらともジョイントしながらサポートさせていただいています。

 「健康経営」を実践することでどんなのメリットがあるのかといいますと、まず、従業員が健康であることで生産性が上がり、売り上げの拡大につながります。この好循環は疾病手当の削減などコスト面でもメリットは大きいですし、また、銀行によっては「健康経営」について具体的な取り組みをされている企業に対しては融資利率の引き下げを行っているところもあります。そして何より「健康経営」を実践している企業ということで企業イメージがアップし、企業ブランド価値が向上します。これは、少子高齢化による労働人口の減少が続く中、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。現在、多くの中小企業が、スキルや知識、経験をお持ちの従業員がどんどん高齢化していくというリスクを抱えており、労働力の維持・確保は、中小企業の存続・発展に向けて欠かせない課題となっています。また従業員が病気になった場合、大企業なら配置転換などで対応できますが、中小企業ではなかなかそうはいかないと思います。その意味でも「健康経営」に取り組むことは非常に大切だと思います。

 多くのメリットがある「健康経営」ですが、大部分の経営者の方が、どのように取り入れ、具体的にどのように運用していけばよいのか分からないというのが実情です。当社では、16年5~7月に全国の中小企業経営者を対象にアンケート調査を実施し、約8000人からご回答いただきましたが、それによると、約半数の方は「健康経営」という言葉はご存知なのですが、内容についてはほぼ8割が知らないという回答でした。また、会社の経営理念・方針に「社員の健康づくり」に関わる内容が含まれているかとの問いでは、7割弱が、NOとの回答でした。

 こうした状況ですので、まずは、パンフレットなどをもとに「健康経営」という概念を広めるとともに、具体的にどうアクションを起こせばよいのかなど、導入と実践のための情報提供をさせていただいています。また、経営者の皆さんが一番気にされるのは、導入にかかるコストだと思いますが、社員の意識づけが中心ですので、それほどコストはかかりません。そうしたこともご理解いただきながら、経営者と社員の皆さまの「身体の健康」「心の健康」「お金の健康」をトータルでサポートすることで、「企業の健康」すなわち永続的に発展する企業づくりのお手伝いをしたいと考えています。

----青森県は現在、「短命県」の返上に向けて官民挙げて取り組んでいます。生命保険事業のほか、健康経営に積極的に関わってきたお立場から、今後、どのような対応が必要とお考えでしょうか。

 私は、この1月に青森に赴任してきましたが、青森県はこれだけの素晴らしい自然があり、また食べ物もおいしいのに、「短命県」というイメージはふさわしくないと感じますね。単に平均寿命を伸ばすのではなく、やはり重要なのは健康寿命だと思います。活動的な生活をしながら、寝たきりにならず、いかに健康に年を重ねていくか。塩分の摂取量や冬場の運動不足などさまざまな要因が挙げられていますが、日常の生活習慣というのはそうそう変えられるものではありません。私たちは医学の専門家ではありませんが、一番大切なのは、健康に対する意識を持っていただくことだと思います。ですから、「健康経営」導入のお手伝いを通じて、経営者や従業員の皆さまの健康に対する意識づけが進めば、それがひいては「短命県返上」につながり、地域に対する社会的責任も果たせるのではないかと考えています。

 「健康経営」に関しては、そこから直接リンクするような当社の保険商品はありません。「こうしたほうがいいですから、この保険を」というものはないんですね。ですから、これはまさに啓蒙活動で、こうした活動を続けることによって、経営者の皆さまや社会からの信頼をいただいて、当社の立ち位置を構築していければ、というスタンスでやっています。

 当社では、営業の全社員が「健康経営アドバイザー」の資格を取得しています。青森県内に124名のアドバイザーを配置し、まずはお客さまに「健康経営」導入のメリットと全体のフレームをご理解いただき、その上で、具体的な運用についてのアドバイスも行っています。チェック式の実践プログラムや社員向けのDVDも用意していますので、大いに活用していただければと思います。

 「健康経営」の普及・啓蒙活動を通して、今後も、商工会議所さんや全国健康保険協会さんと連携しながら、「職場の健康づくり」のお手伝いをしていきたいと考えています。