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着実に進む街づくりを
人づくりの面から支える

写真
山崎 淳一氏
五所川原商工会議所
会頭
1953年、つがる市森田町生まれ。東京経済大学経済学部卒。税理士。92年、五所川原街づくり株式会社の代表取締役副社長に就任。2013年から五所川原商工会議所会頭。
■再開発と新開発による住みよい街づくり

----商店街の衰退が県内でも続いていますが、五所川原市では1997年に開業した大型商業施設・エルムの街ショッピングセンター(SC)が津軽一円から買い物客を集め、周辺に新たな街づくりも進められています。税理士業の傍ら商人の街・五所川原の商議所トップを務め、さらに同SCを経営する「五所川原街づくり会社」の副社長でもあるお立場で、今後目指す将来像についてお聞かせください。

 五所川原市では、1992(平成4)年に「五所川原市市街地整備基本計画」が策定され、「中心市街地の土地区画整理事業による再開発事業」と「エルムの街周辺の新商業街区開発事業」の二つを柱として、21世紀の五所川原開発計画がスタートしました。具体的に言いますと、五能線の西側は、この地域が昔からの中心商店街だったわけですが、五所川原駅から岩木川まで1キロほどで、街なかに多数の堰(せき)が入っています。この堰を生かし、親水性豊かで落ち着いて楽しく利便性の高い街、行政や文化の拠点の街として再開発していくことになりました。

 一方、五能線の東側は、21世紀に対応できる新街区として、工業、商業、住宅、公園などの機能を整備していくという新たな開発計画に沿い、工業団地や公園、住宅地、そしてエルムの街という新商業街区が整備されました。特に車社会に対応する商業施設は、車でのアクセスさらに車を停めて歩いて好きなお店に立ち寄るという、それなりのハードが必要です。エルムの街はそういう消費者の通常の暮らし方に対応した施設として計画的に整備してきました。

 こうして再開発事業と新開発事業が並行して進められてきたわけですが、策定から24年経った今、この構想が実現しつつあると思います。エルムの街のショッピングモールがオープンしたのは97年、その後、周辺にどんどん商業集積が進み、現在の状況になっています。西側の再開発の方は、地権者もいますので時間がかかりますが、2年前に土地区画整理事業が終わり、つがる総合病院が開院して、さらに新市庁舎の建設も始まっており、新しい中心市街地の形が見えてきたという状況です。1キロ四方の中に、行政、医療、金融などさまざまな機能が集積し、地価もかつての商業地のように高くはないので手に入りやすくなるでしょう。ですから今後は中心市街地が住むのにも魅力的な街になっていく。私は、青森市以上に、よりコンパクトな「コンパクトシティ」ができるのではないかと思っています。

 人口5万7千人の規模の市で、このように当初の計画をきちんと形にしてきた例というのは、全国でも珍しいのではないかと思います。これは、行政、商工業者、医療、福祉、それぞれの立場の人が、それぞれの役割をきちんと果たしてきた結果だと思います。とはいえ、街づくりは、時間やお金、そしてスタミナを要する長い道のりで、まだ道は半ばです。市では、「五所川原市総合計画」や「定住自立圏共生ビジョン」など次の計画が始まっており、商工会議所としても、これらの策定はもとより、実現に向けて行政と共にアクションを起こしていきたいと考えています。

■若い力が市の一番の魅力

----五所川原といえば立佞武多(たちねぷた)。人気はうなぎ上りで、昨年はブラジルにも出陣しました。来年9月初めに、日本商工会議所青年部の東北ブロック大会が五所川原市で初開催されますが、県外から集まる若い経済人に、五所川原の魅力をどのようにアピールしますか?

 96年に有志の皆さまにより80年ぶりに復活した立佞武多が、たった20年でここまで育ったということには私自身、大変驚いています。また、日本商工会議所のブロック大会がこの規模の街で開かれる例はまずありません。今年は岩手でしたが、開催地は盛岡市でした。人口5万7千人の小さな地方都市であり、とりわけ若い人が少なく、大きな産業や会社があるわけでもないこの街ですが、立佞武多で盛り上がったり、東北ブロック大会を開催できるというのは、「やってまれ魂」といいますか、ここで生きる皆さんの志や元気によるものだと思います。商工会議所でいいますと、女性部も大変活発に活動していますし、青年部の会員数は3市よりも多いと思います。東北ブロック大会を成功させて、この小さな街でもやれるんだという自信を持ってくれればうれしいです。

 五所川原街づくり会社の立場から申し上げますと、当社の創立以来の経営理念は「街づくり、店づくり、人づくり」です。街づくりというのは、商業による街づくりを私たちは担当しようということです。つまり商業には暮らしを支援する機能があるので、商業がちゃんとしていない街というのは、暮らしづらい。そのためには良い店をつくる、あるいは来てもらわなければ、ショッピングモール全体として満足できるものにならない。これが店づくりです。そして、店を良くするのは、その中で働く人です。それを大事にしていこうということで、97年にオープンして、2003年からは地元の大卒者等を採用してきています。彼らがだんだんと育ってきて、テナントの誘致にしても、さまざまな企画にしても、自分たちで情報を収集して、彼らの感性で動き始めています。10月に「進撃の巨人展」を東北で初めて開催しましたが、これは私たちの感性では持ってこられないコンテンツです。はっきりいって、もうかるような企画内容ではないですが、この街に住む人がわざわざ東京まで出掛けなくても地元で楽しめるように、地元の人に喜びを提供したいという、若い営業スタッフたちの発想が実現させたものです。

 若い人たちの「黙って何もしなければ衰退し消滅してしまう」という危機感、「自分たちの住む街は自分たちで良くしていくものだ」という熱い思いが、今まで、そして将来の五所川原を創っていくものと信じています。五所川原商工会議所青年部の皆さんをはじめ、若い人たち一人ひとりがこの街の宝です。これが五所川原の一番の魅力であり、自慢できることだと思っていますので、しっかりと育て上げ、いずれバトンタッチしていくつもりです。これからは、彼らが伸び伸びと働きやすい環境をつくっていくことが、私たちの年代の務めだろうと思っています。

■地方企業の健康経営

----少子高齢化など社会情勢の変化に対応するため「健康経営」を実践する企業が増えています。全国の商議所組織でも、東京商議所が会員企業対抗の「健康づくりチャレンジマッチ」を実施するなど積極的に活動していますが、首都圏に比べて人口減少が深刻な地方の企業、商業団体は、どのように健康経営に取り組むべきとお考えでしょうか?

 人・物・金・情報の経営資源が十分あるのは大企業であり、人だけが頼りなのは地方の中小企業ですから、健康経営は、われわれ中小企業ほど積極的に取り組むべきなのでしょう。身体の健康はもちろん、うつ病などの心の病が多くなっているこの時代ですから、健康管理を個々の従業員に任せる姿勢から、企業として積極的に取り組むという姿勢が、会社の将来の繁栄のためにも必要と感じています。健康で伸び伸びと働いてもらえる環境づくりが経営者の務め。私自身は、5年ほど前から週2回程度ジムに通って、ストレッチ、筋肉トレーニング、有酸素運動をするようにしていますが、なかなか「休肝日」を取れないのが問題ですね。

 日本商工会議所でも、健康経営については積極的に取り組んできており、今後、全国での取り組み例や、健康講座の情報が入ってくると思いますので、会員企業にも広報していきたいと考えています。