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高い評価を販売につなげるため
 「今別の味」ブランド化進める

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中嶋 久彰 氏
今別町商工会
会長
1955年、今別町生まれ。青森県教育庁、民間企業勤務の後、生家の中嶋造花店入社。99年、同社代表取締役に就任。今別町商工会では、青年部長、理事、副会長を経て、2015年5月より会長。
■山海の幸に付加価値を

----今別町には、「もずくうどん」をはじめ、さまざまな山海の幸がそろっています。北海道新幹線開業に伴う地元の食による地域おこしについて、お考えや期待、課題などをお話しください。

 今別町名産のモズクを麺に練り込んだ「もずくうどん」は、2002年から今別町商工会(もずくうどん頒布会)が販売しています。道の駅いまべつ「半島ぷらざアスクル」の改装オープン以来、もずくうどんの需要はさらに高まっていますし、いよいよ奥津軽いまべつ駅が開業しましたので、より一層、売り上げが伸びていくものと関係者一同、注目しています。

 このほか町には、いまべつ牛ステーキ、若生(ワガヨ)まんま、冷凍モズク、昆布などさまざまな味覚がそろっていますが、町全体では、すでにあるものをPRし販売拡大を目指していく取り組みにとどまっており、新商品の開発までには至っていません。例えば海産物は非常によいものがたくさんあるのですが、とったものをそのまま業者渡しというのがほとんどで、付加価値をつけるところまでいっていません。現在、町内に加工施設を建設する構想があります。まだ具体化はしていませんが、一次産品の高付加価値化という意味で期待しています。

 また、モズクなど海藻類は、品質への評価が非常に高く、都内のホテルに卸したりしているのですが、認知度は低いのが実情です。いいものだという評価はあるのに、ブランド化が進まないまま、県内の他の産地に先行されてしまう。ウニ、ナマコについても同様です。これをなんとかしなければなりません。そのために、まずは生産量を増やすことが重要なのですが、加工用など安定した需要が保証されないとそれもなかなか進みません。その意味でも、加工施設が必要だと考えていますし、戦略的に加工商品を開発していかないと、漁業自体が衰退、消滅してしまうという危機感ももっています。

 「あづべ汁」などの郷土料理も、マスコミなどで紹介されるようになり、ある程度知られてきましたが、いざ町に来てみると、大々的に販売しているとか、どこでも食べられるという状況にはなっていません。商工会としては、提供店を増やすよう働きかけを続けていかなければならないと思っています。

 海だけでなく、ネマガリダケなど豊富な山の幸もそろっていますが、料理にしても、加工品にしても、ブランド化を図っていくためには、統一した味で売り出すことが必要だと思います。そのためには、町の加工施設で一括加工するなど、「今別の味」をつくりだしていくことが重要ではないでしょうか。

 また、今別町、蓬田村、外ヶ浜町、五所川原市、つがる市、中泊町の事業者が、地元の水産物を活用した商品群を「津軽半島浜小屋仕込み」という共通ブランドで3月から発売しました。町内からも、もずくうどん乾麺、海藻などの加工品がラインナップに加わり、町特産品の販路も広がりましたので、今別の食の魅力を知っていただくきっかけになればと思っています。

■町の魅力再発見に向け広域連携

----東郡の4商工会が連携して「上磯地区 人・物・景観PR構築事業」と銘打ち、行動委員会を設立するとうかがっております。事業の内容を教えていただけますか。

 東郡の交流人口と北海道新幹線・奥津軽いまべつ駅開業効果の拡大を目的として、東郡地区の商工会が、それぞれの地元にある優れた景観や食などを集め、観光周遊モデルコースやフィルムコミッション事業に取り組むこととしています。今別、外ヶ浜、蓬田、平内の4町村とも深刻な人口減に苦しんでおり、新幹線開業を地域活性化のまたとないチャンスととらえています。

 また、最近、地方創生の一貫として、首都圏の元気なお年寄り、いわゆるアクティブ・シニアを地方に移住させようという日本版CCRCの動きが出てきました。CCRCとは、Continuing Care Retirement Communityの略で、まだ健康なうちにある地域に移り住み、その地域で健康でアクティブな生活を送ること、医療介護が必要になった時も住み替えることなく継続してケアが受けられることなどが特徴の高齢者地域共同体です。青森県の中では、青森市と弘前市が手をあげていますが、行政の支援も得ながら、閉館した旅館を活用してそうしたアクティブ・シニアのための居住施設をつくることを構想しています。将来的には、そちらは自立した人、ストンキは要介護の人、という棲み分けもできればいいかなと考えています。

 観光周遊モデルコースとしては、津軽半島から下北半島、函館を経由して津軽半島に戻るルートの構築を目指しています。具体的には、外ヶ浜町蟹田とむつ市脇野沢を結ぶむつ湾フェリーで下北半島に渡り、津軽海峡フェリーで大間から函館に足を延ばした後、北海道新幹線で奥津軽いまべつ駅に帰るという行程になります。むつ湾フェリーの冬期休業、奥津軽いまべつ駅と外ヶ浜町をつなぐ二次交通の整備、下北商工会との協議など、課題は多いですが、たくさんの人に訪れていただけるよう事業を進めていきたいと考えています。

 個人的には、重要なのは、まず自分たちの住んでいる地域をもう一度見直すことだと考えています。自分の町のよさをどれだけ知っているか。身近すぎて全然よさを感じていないのが現状だと思います。お互いの町を訪れ、街歩きでもして、もう一度、それぞれの町がもつ資源を確認する。それを詳しく調べてみれば、もっと価値や魅力が高いということに気づくかもしれない。その価値をそれぞれの住民にちゃんと伝えていくことが第一歩。そうすれば、町を訪れた人たちに、住民が説明することができます。これは、住民が町に誇りをもつきっかけにもなるでしょう。そうした積み重ねが、リピーターや交流人口の拡大を促し、ひいては、旅行商品の周遊ルートに組み込まれるといった効果につながっていくのではないでしょうか。

 今別の海岸線も、私たちは見慣れた風景ですが、夏など、県外から来る人には、こんな素晴らしい風景は他にないと絶賛されます。この風景と、松前街道としての歴史を合わせればこれは立派な観光資源です。私もこの海岸には誇りをもっています。趣味で写真も撮りますが、北海道が間近に見えますし、蟹田のほうに行けば下北が目の前です。個人的には、高野崎あたりから竜飛のほうに沈む夕陽を眺めるのが大好きです。

----今別町の振興に向けて、今後の抱負をお願いします。

 今別町の振興分野でいうと、なんといっても第一次産業の振興を図らなければならないと思っています。商工会としては、例えば農産品、水産品を使った加工品が開発された際には、販路の開拓など側面から支援をしていきたい意向です。商工業では、まず、商店街の賑やかさを取り戻す必要があります。昨年、「街なか商店賑わい創出事業」として、ビアガーデンの復活を行いました。これは、荒馬まつり参加者の慰労会も兼ねており、今年も行う予定となっています。ウニまつりはJRのデスティネーションキャンペーン期間中に行います。このほか、「荒馬の里『大売り出し』事業」、雇用拡大策としては「地場産品消費拡大事業」などを計画しています。いずれも、交流人口の拡大に向けて、外から来てくれた人により楽しんでいただけるよう、既存のイベントをバージョンアップし、より魅力的にしていきたいと考えています。商工会として攻めの戦略を打ち出し、漁協などの協力を仰ぎながら、イベントでは商工会が先頭に立つつもりで、会員総がかりで地域振興に取り組んでいきたいと思います。

 一方、町内においては、消費喚起プレミアム商品券発行事業がありますが、これも町民にとってより魅力的なものになるよう、1割といわず、もっとお得感があるプレミアムを維持するよう努力しています。また、人口減は止められないにしても、若者の流出を少しでも抑制するよう、商店街においては、若者が過ごせる場所づくり、若者にとって魅力的な商品の品揃えなどに取り組んでいかなければならないと思っています。そのためには、会員の高齢化も進んでいますが、商工業者の意識改革が必要ですので、商工会としてその点への働きかけを続けていきたいと思います。