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歴史と農業の町の特長を
観光集客につなげる

■法人化のメリットを生かす
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藤村 立夫氏
特定非営利活動法人 三戸町観光協会
会長
1951年、三戸町生まれ。千葉商科大学経営学部卒業。都内にある設備会社に就職後、25歳で三戸町に戻り家業の(有)みちのく食品を継ぎ、アイスクリーム製造・卸、空調設備の販売などを手掛ける。2003年より観光協会理事。2013年7月のNPO法人三戸町観光協会発足に際し会長に就任。三戸町商工会専務理事、三戸町町内会連合会長などを務める。

----三戸町観光協会は、昨年、組織強化を図るため任意団体からNPO法人へと移行されました。法人としての利点を観光や地域発展にどのように生かしていくのでしょうか。

 当観光協会の歴史は古く、これまで任意団体として、城山公園での「さんのへ春まつり」、三社大祭の流れを汲む「さんのへ秋まつり」の開催を中心に、町の観光振興に向け活動してきました。多くの先輩方が、三戸の観光をどうするかということでいろいろな議論や活動をしてこられたわけですが、資金源が会員の会費だけですので、どうしてもさまざまな制約がありました。法人化したことで、非営利団体とはいえ、売り上げを確保して活動資金を捻出していくことができますので、観光振興のために何をすべきか、同時に、どのように売り上げを確保していくか、さまざまな企画を検討しているところです。

 法人化した一番のメリットは、社会的信用度が向上したことです。これにより、協会主催のさまざまなイベントや催しも計画しやすくなりました。また平成26年度から、三戸町商工会と連携して「道の駅さんのへ」の指定管理者の指定を受けることもできました。現在当町には、観光案内所としての明確な窓口がありません。町を訪れる人は、だいたいホームページで三戸のことを調べて、興味をもって来てくださるのですが、お話ししてみますと、まだまだ知られていない史跡や見どころがたくさんあると感じます。道の駅に総合観光案内窓口をつくり、町を訪れる人に三戸の見どころに関するきめ細かな情報を提供していきたいと考えています。

 また、集客を増やすためには、観光客の行動を把握することも大切だと考えています。三戸に来る人は、どこから来て、またこの後どこへ向かうのか。こうしたこともアンケート調査などにより可能な範囲でデータ化していきたいと考えています。その上で、近隣市町村も含めた観光情報を発信して、この地域全体の観光振興に結びつけていければと思います。

 現在、協会会長としても、道の駅の指定管理者代表としても、勉強のために、時間を惜しまず各地の道の駅へまめにでかけるようにしていますが、視察してみて言えるのは、やはりその土地独自のものが売れているということ。三戸町は、他にない長い歴史という特長をもっていますので、物販についても、またイベントなどについても独自のものを打ち出していきたいと思います。

----三戸町には、城山公園をはじめ、多くの史跡や文化財が点在しています。歴史のまち三戸の魅力をあらためてお聞かせください。

 現在、桜の名所として知られている県立城山公園は、ご存知のように、南部氏の居城「三戸城」があった場所です。町には、南部藩の城下町としてのなごりと、江戸時代以降、奥州街道の宿場町として発展してきた歴史の跡がさまざま残っており、現在もあちこちに古き良き面影を見ることができます。国や県、町の文化財も多く、町内には、いずれも由緒ある7つの寺社と、かつて県社であった「糠部神社」、伊勢神宮の流れを汲む「三戸大神宮」をはじめ神社も数多くあります。さらに、昨年の大河ドラマで取り上げられた旧会津藩の人々が移り住んだ場所でもあり、斗南藩に関わる数々の遺構は新たな観光スポットとして注目を集めています。

 また、380年の歴史がある「元祖まける日」や、三戸町が発祥の地とされる「南部俵づみ唄」の全国大会など、町の歴史に根ざした行事や、地名も由緒あるものが多く残されています。「二日町」「八日町」などは市の立った日に由来していますが、「三戸大神宮」境内には、市の開催をお殿様に進言して許可を得た川村惣太郎さんという方を祀った「市神社」もあります。

 さらに、名久井岳の麓の泉山遺跡や、八日町遺跡など、考古学的に重要な遺跡もあり、さまざまな歴史ファンの興味に応える資源がそろっています。

 協会としては、こうしたさまざまな歴史資源を楽しんでいただけるよう、弘前市などが実施してブームとなっている「まちあるきツアー」の企画を検討しているところです。建物や風景、地形・文化といったそのまち独自の特色を生かした少人数での観光ツアーですが、現在の三戸町を巡りながら、三戸町の歴史と文化への理解を深めてもらえる観光コンテンツになると考えています。

■各団体との「和」が大切

----三戸町は農業の町でもあり、多彩な農産物が生産されています。また絵本作家、馬場のぼるさんの「11ぴきのねこ」をテーマとしたユニークなまちづくりで知られていますが、これらをどのように観光と結びつけていくのか、お考えをお聞かせください。

 農業を基幹とする町ですから、道の駅に隣接する「SAN・SUN産直ひろば」と連携し、季節ごとの農産品や特産品の販売会など、誘客を促進するための新しいイベントを立ち上げることも考えています。「SAN・SUN産直ひろば」で提供している「ひっつみ定食」も好評ですから、伝統料理である「つつけ」「せんべいかやき」などいわゆる「粉もん」のPRも、パンフレットやインターネットを活用して一層力を入れていきたいと考えています。

 絵本の読み聞かせは、民間の有志の方々が行っている活動ですが、多くの小学生が参加し、楽しんでいますので、これを町外へも発信して、近隣町村からの参加を募ることも検討してみたいと思います。

 また商店街では、スタンプ会主導で各店舗に「11ぴきのねこ」の店頭幕を掲げていますが、以前から、閉店した店舗のシャッターにも「11ぴきのねこ」を描けないかという要望がありましたので、協会が後押しする形で町に働きかけて、昨年末に実現したところです。「11ぴきのねこの町」、「絵本の町」としての三戸の知名度向上が新たな誘客につながると思いますので、協会としては、まちづくりを情報発信の面で支援していくとともに、道の駅でのグッズや絵本の販売にももっと大々的に取り組んでいきたいと考えています。

----そのほか、今後の観光振興や協会の活動への展望などお聞かせください。

 まずは、NPO法人となったことで活動の幅が広がったことの周知を図り、会員を増やしていくことが大切だと思います。そのうえで、これまで観光に目を向けていなかった人たちにも、観光による集客の増加がもたらす効果をご理解いただく。そして、法人化したから独自でというやり方ではなく、町民のみなさん、また他団体と協力して活動を展開していきたいと思います。まちづくりでは、やはり和が大切、そうしないと活動は長続きしないと思います。会員のみなさんも本業がありますから、なかなか協会の活動に専念することはできませんし、会員の高齢化という問題もあります。その意味でも、他団体との協力は重要です。協会内に限らず、いろいろな立場の方との話し合いの場も増やしていければ、と思います。例えば、商工会青年部の若い人たちと話すと、こちらが思いつかないような斬新なアイデアが出てきます。そうした若い発想に期待していますし、実現に向けて、できることは協力していくというスタンスで、お互いに期待し、協力し合える関係を持続していきたいですね。

 町民の皆さんからもどんどん「こうしたい」、「こういうことをやってみては」という要望や提言をいただければと思います。協会がもっているルートを活用して、実現に向けて協力します。現在、首都圏で町の特産品を販売できるようなシステムをつくってほしいとの要望が寄せられていますので、町や商工会と協力しながら検討していきたいと考えています。みなさん、将来、三戸に住んでよかったと思える町にしたいとの思いは同じですから、協力しながら、力を尽くしていきたいと思います。