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町活性化のため
地元消費拡大の仕組みづくりを

■地元での消費を促す施策が必要
写真
鹿内 貢氏
平内町商工会
事務局長
1949年、青森市生まれ。68年、東青信用組合に入組。合併後の青森県信用組合で79年より6年半にわたり小湊支店に勤務。県内各支店の支店長、業務部長、本店営業部長等を務め07年に退職。民間企業勤務の後、12年6月より現職。

----長く金融機関にお勤めの後、町商工会事務局長に就任されることになった経緯と、抱負や実際就任されて感じたことなどお聞かせください。

 約30年前に、6年半ほど青森県信用組合の小湊支店に勤務しましたが、その頃、懇意にしていただいた町商工会の現会長に、今回事務局長が退職されるということで声を掛けていただきました。平内町の商工業者の皆さんにはたいへんお世話になりましたので、県信用時代に培ったノウハウを活かして何か恩返しできることがあれば、という気持ちでお世話になることになりました。

 こちらに来てみて感じたのは、地元の商店街が元気がないということ。30年前にお世話になったお店の多くが閉店してしまって、やっている店があると「よくやっていてくれた」とうれしくなります。これは30年前にはなかった郊外の町外資本による大型店の影響もあると思いますが、町全体としても、当時はホタテの生産、販売が好調で、経済に活気がありました。今は、一昨年の高水温被害の影響がありホタテ養殖は特に厳しい状況ですから、それが商工業にも大きく影響していることを実感します。

----では、地元商店街の活性化に向けてどのような方策をお考えですか。

 商店街の活性化、再生というのは、どこの市町村でも抱えている課題で、特効薬はないと思いますが、とにかく地元でお金が回る仕組みをつくることが重要です。まだ就任したばかりなので個人的に構想している段階ですが、県信用の支店長時代、金木町(当時)と黒石市で、大型店の進出という状況を経験したことがあり、その時に取り組んだのが、地元の商店のみで使える共通商品券の発行でした。消費流出を止める、少しでも地元での消費の拡大を図るという目的で行ったものですが、商店主さん方には喜んでもらえましたし、住民の皆さんも協力してくれました。国の「地域振興券」より以前のことでしたが、一定の効果はあったと思います。

 平内町では、小湊商店会と、平内町飲食店組合がそれぞれ商品券を発行していますが、これを共通商品券化して加盟店の拡大を図り、いろいろなお店で使えるようにできないか、今後、提案してみたいと思っています。やはり地元の人が地元でお金を使うことが地域活性化の基本ですし、それが回っていずれ自分の商売にも返ってくるということを私自身が実際に経験していますので、そういうことも会員のみなさんにお話しながら、この取り組みはぜひ進めていきたいと思っています。

■まずは町の人が訪れる観光地になること

----観光振興という面では、以前と比べていかがでしょう。

 5月に夜越山の「椿とサボテンまつり」、「つつじ祭り」に行ってみたのですが、これも入場者が少なくなったことに驚きました。天気がよかったので、当然多くの人が集まってくれると思っていましたが、なんといっても子どもさんの姿が少ない。私がこちらに勤務していた当時は、特にイベントがなくても、休みになると弁当を持って子ども連れで夜越山や大島に行ったものですが、本当に賑やかでした。少子化の影響は大きいと思いますが、これもまた、地元の方が、地元の観光地をもっと利用することが大事だと思います。一方、施設管理者やイベントの主催者は、子どもさんを集める工夫をすることが必要でしょう。

 夜越山はさまざまな施設があるのですから、それらをもっと子どもが行きたくなる催し、メニューに活用していけばいいと思います。他市町村の類似施設の成功事例なども参考にするべきですし、そうした点での情報提供など商工会も協力していければと思います。大島も、昔のように人で溢れているという感じはありません。一時話題になった駐車料金も今は徴収していないのですが、大島地区の会員のお話を聞くと、そもそも訪れる車が少ないのだそうです。ただ「夏泊ほたて海道トンネル」の開通によるアクセス改善には期待されています。夏泊ゴルフリンクスの利用者も便利になりますから、大島と相乗的に集客が増えればいいと思います。

 いずれにしても、まずは地元の子どもたちが楽しめる場であることが第一だと思います。子どもが行きたがれは、親も行く、おじいちゃんもおばあちゃんも行く。地元の人がみんな楽しんでいれば、自然に町外からも人は集まってくると思います。

----観光振興では、「食」の魅力、特産品の存在も大きな要素となりますが、商工会としての特産品開発などへの取り組み状況を教えてください。

 私がこちらに就任する前からの取り組みとして、東津軽郡4町村の商工会が協力して、各地区の特産品、土産品が入ったうどんとパスタのメニュー開発が進められていました。今別町の「いのししチャーシュー」や「もずく」、蓬田村の「トマトピューレ」「トマトソース」、外ヶ浜町の「シロウオ」、そして平内町の「焼きホタテ」など地元の食材を一度に楽しめるメニューです。すでに試食段階まで来ていまして、私も食べてみましたが、特にうどんはおいしいです。予算の関係で一時ストップしているのですが、今後、これを各町村の商工会と協力して、県などの支援も受けながら、ぜひ商品化まで持っていきたいですね。

 また、平内の特産はなんと言ってもホタテですが、実は、町内でホタテ料理を食べられるところはあまりないのです。生のホタテはストックできないので、需要量が読めないとなかなか仕入れづらいということがあるようですが、これでは「ホタテの町」としては寂しい。加工品の土産品はたくさんあり、商工会でもイベントなどでの販売に積極的に取り組んでいますが、観光集客という意味では、やはり新鮮なホタテ料理を提供する場があればいいと思いますね。

■商工会の果たすべき役割

----30年前と比べて、商工会の活動で変化を感じることはありますか。

 一番大きいのは、商工会青年部の活動が非常に活発なことです。かつて私がお世話になった方々のお子さん方、当時は小学生だった皆さんですが、さまざまな企画を実施している。これは頼もしいですね。高橋竹山の生誕100年の一連の行事も青年部が主体となって行いましたし、今も「撥魂(ばちだま)」という演奏会の形で毎年引き続き開催しています。また町の美観整備活動、それから夏祭りのビアガーデンや、いわゆる「街コン」をいち早く実施するなど、町を元気にしようとがんばっています。こうした動きは30年前よりずっと活発になっていると感じます。商工会としても青年部の活動は支援していきますし、また青年部に負けないよう企画も展開していかなければならないと思います。現在、町内の自然と史跡を紹介するバスツアーを年3回実施していますが、なかなか盛況です。これもマンネリ化しないよう、新たな企画を加えながら継続していきたいです。

----今後の商工会に求められる役割について事務局長のお考えをお聞かせください。

 金融機関は取引先どうしの交流機会をつくることでビジネスチャンスを創出するということを行っています。商工会も、会員間の情報の橋渡しをする役割が重要だと思います。約280社の会員がいますが、案外、お互いのことをわかっていないと感じることがあります。例えば、ある人がこういう商品やサービスが欲しいと思っているとして、それは町外や大型店に行けばもちろん手に入るのですが、それだったら町のどこどこのお店でもあるのに、ということがあるんですね。そういう各会員の情報発信や、ニーズの発信、それらを仲立ちする機能が商工会に求められているのではないでしょうか。

 ちょっとした情報の共有ができていないために、地元に落ちるお金が外に流れている。ですから金融機関で実践してきた経験を応用しながら、少しでも地元でお金が回るよう、会員間の交流の活発化に向けてお手伝いをしていきたいと思います。