首都圏発 東奥トップインタビュー 明日への挑戦


■第6回 竹中宣雄氏ミサワホーム株式会社 代表取締役社長執行役員

 
   
顔写真
竹中 宣雄(たけなか・のぶお)
 1948年生まれ。和歌山県出身。72年、法政大学卒業。同年4月、ミサワホーム入社。主に営業畑を歩み、88年、ミサワホーム青森(現・東北ミサワホーム青森支店)代表取締役店長。92年、ミサワホーム営業企画部長。その後、販売会社の社長を歴任し、2007年、ミサワホーム取締役専務執行役員を経て、08年、同社代表取締役社長執行役員に就任。



南極に自然エネルギー棟完成

−竹中社長は1988年から4年間、現・東北ミサワホーム青森支店で、39歳で代表取締役店長となり、専務まで務めました。猛烈な「生涯営業マン」として、青森時代はどんな仕事や苦労を?

 当時、青森県には青森と八戸に営業所があり、赴任した時は従業員が四十数人でしたが、4年後には120人に拡大しました。弘前の営業所のほか、自衛隊の方々がいる、むつにも駐在所(現・営業所)を設けました。会社の業績を伸ばすという目標を掲げ、土地の情報収集などに努めた結果、青森市内にある大手プレハブ会社4社のうち、ミサワホームがトップシェアとなり5割を超えるまでになりました。

 仕事以外で一番記憶に残っているのは交通事故で大けがをしたことです。青森県立中央病院に8カ月近く入院しました。退院した翌年、弘前大学医学部付属病院に通いました。大量輸血でC型肝炎になってしまいましたが、すぐにインターフェロン治療をしてくれたおかげで、肝細胞が傷まず、十数年後に再発した際、東京の病院で奇跡的に完治しました。弘大病院の先生方にも感謝しています。

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◇高性能の住宅づくり

−青森は夏涼しく、冬は寒冷多雪、年により豪雪。ミサワホームは1968年から南極昭和基地建設に携わるなど、断熱性や建物強度などには定評があります。

 北国は寒く、南国は暑い。外が寒くても家の中は寒くならず、逆に外が暑くても家の中は暑くならないことが重要です。寒さに強い家は暑さにも強く、外の温度にあまり影響を受けない機能を持っています。南極でも、青森、北海道、九州、四国でもそうです。外気温に影響を受けない高機能な住宅をつくることが大切です。

 このほど南極に「自然エネルギー棟」=写真=を完成させました。極寒な、地球上で最も自然環境が厳しい地で、住宅の構造などの実証を積んでいます。ブリザードも発生することから、耐風・耐候性の検証にも役立っています。

 自然エネルギー棟には、集熱パネルが取り付けてあります。自然エネルギーである太陽熱を集め、化石エネルギーを使わずに室内を暖めます。南極の外気が零下20度の時、30度を超える暖かい空気を室内に供給できました。

 ミサワホームの青森エリアの住宅は、断熱性に関して要求性能が4等級。樹脂サッシや高断熱玄関ドアを採用するなど、断熱性を向上させ、次世代省エネ基準を満たしています。気密性を表すC値も日本の住宅の中でトップクラスです。寒い地方、暑い地方のどちらにも強い。さらに保証期間は日本の住宅の中で最長クラスです。

◇南極クラスで子供に夢

−ミサワホームから毎年、南極観測隊員を出していますね。

 建設や修繕を担当する設営隊員として参加させてもらっています。累計で14人になりました。また、震災に見舞われた子供たちを元気付けようと、一昨年から全国の小中学校で出前授業「南極クラス」を開講し、これまで約150校、1万5千人ほどの児童生徒が参加、青森県ではつがる市と五戸町で開催しました。南極での体験談や南極から持ち帰った氷を見せています。子供たちに夢や感動を与えられたらうれしいです。


スマートシティにも挑戦

−東日本大震災後、エネルギーを生み出す住宅へのニーズが増大しています。スマートハウスへの取り組みは?

 福島原発事故で国民全体がエネルギー問題に直面するようになりました。供給側も需要側も考え方を改めざるを得ないような状況の中で出てきた考え方がスマートハウス。エネルギーを消費するだけでなく、創出し、調整しなければいけないという意識です。スマートハウスは1棟でエネルギーをつくり、ためて、消費し、調整します。街全体まで広げて考えると、昼間にエネルギーをたくさん使うところ、夜にエネルギーをたくさん使うところ、それぞれの場所で互いにエネルギーを融通し合わないといけないという発想になってきます。街から街へ融通する仕組みは国全体でやらないといけないでしょう。スマートハウスを一つの要素として、これらが集まった「スマートシティ」を実現していかないと「賢い街」づくりにはなりません。当社はそれにチャレンジしていきます。

◇交居と「第2の年金」

−「蔵のある家」や制震装置「エムジオ」などの斬新な提案をしてきましたが、3世代(2世帯)住宅の取り組みでは、「同居」でなく「交居」という提案をしています。

 一昨年の震災は悲しい出来事でしたが、日本人が忘れていた絆を思い出させました。家族の在り方が明らかに変わってきて、3世代、そして4世代住宅も増えています。何かあった時に助け合えるような距離に、ということです。一緒に住むというだけではなくて、心地良い交わり方ができる住宅が欲しいという意見が増えています。女性の社会進出では、おじいちゃん、おばあちゃんの力が支えていますしね。2世帯住宅では、多くのモノをしまえる大収納空間「蔵」も評価されています。

−少子高齢化対応では、住まいを「第2の年金」とする提案もしています。

 寿命が延びてきている一方で、将来の年金に不安があるようです。ミサワホームでは、若い時に建てた住宅が70歳、80歳、90歳になってもまだ同じような機能と性能で使える家づくりをもともと目指していたのですが、若い時に建てていただいたお客さまが施設に入らなければいけない時に、住宅を貸せるということです。得られる家賃が第2の年金になるという意味なのです。

◇適合住宅制度の初適用

−ミサワホームは「100年住宅(CHS=センチュリーハウジングシステム)」や「適合住宅制度」など数々の認定を受けています。

 国土交通省の支援で「移住・住みかえ支援機構」が作られました。将来、住宅のオーナーが安定した老後を送れるようにと、住まなくなった家を借家にできる仕組みです。機構からミサワホームは築40年、50年でも適切な住宅性能が保持できるという判定をいただき、適合住宅制度の適用第1号になっています。

−今後のミサワホームの進路を教えてください。

 今までにない住宅を、割安感をもって提供できる技術や部品の開発に注力していきます。また、将来の住宅マーケット縮小への対応では、収益源の多角化として20年前にスタートした介護事業を強化していきます。青森県では既に「マザーパレス八戸沼館」がオープン、北海道などでも展開中です。さらにスマートシティや子育て住宅による「住育」を推進します。社内では女性の管理職登用など、女性の活躍の場を広げる取り組みも進めています。「若いお母さんとお子さんとお年寄りに優しい会社」を目指したいですね。

(聞き手=東奥日報社取締役東京支社長兼大阪支社長・鳴海成二)


 ◇

安全、快適、先進姿勢貫く/東京支社長の視点

 ミサワホームと言えば、半世紀近く前からの南極昭和基地建設への協力、100年住宅第1号、「蔵のある家」。すなわち、極限の中での高品質と、住まうことへの高い提案力がある。

 同社の基本姿勢は現在も貫かれ、南極昭和基地では自然エネルギー棟で快適環境をつくるとともに新たな知見を積み重ねる。適合住宅制度の適用第1号、スマートシティへの挑戦、太陽光と太陽熱を同時利用する「カスケードソーラー」、第二の年金住宅、交居などの提案力につながっている。

 同社の住宅に住み東日本大震災で津波に遭った家族が「お家ありがとう。守ってくれてありがとう」のメッセージを壁に書き残した。全社員があらためてお客様の命を守ることの大切さを再認識したという。同社は今後も着実に安全な住宅、快適な住宅、先進の住宅と街づくりを目指して進み続けるだろう。(鳴海成二)




写真  <会社概要>

■商号 ミサワホーム株式会社

■本社所在地

〒163−0833東京都新宿区西新宿2−4−1 新宿NSビル

TEL03−3349−8088

■設立 2003年8月1日(前身の旧ミサワホーム株式会社は1967年10月設立)

■代表 代表取締役社長執行役員 竹中宣雄

■資本金 100億円(2013年3月31日現在)

■年商 3946億円(2013年3月期)

■事業内容 建物および構築物の部材の製造及び販売ほか

■従業員 9306人(2013年3月31日現在、契約、嘱託社員含む)



ミサワホーム

 昨年10月に創立45周年を迎えた住宅メーカー。「住まいを通じて生涯のおつきあい」の精神のもと、長年、良質な住まいの提供に取り組んでいる。スマートハウスやスマートタウンなどを手掛けるほか、大収納空間「蔵」やECO・微気候デザインなどを提案している。制震装置「エムジオ」で耐震性を向上。Gマーク(グッドデザイン)受賞の常連企業でデザイン性にも定評がある。


 
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