首都圏発 東奥トップインタビュー 明日への挑戦


■第4回 清藤良則氏(青森市出身)中央ビルコン株式会社 代表取締役社長

 
   
顔写真
清藤 良則(せいどう・よしのり)
 1946年6月28日生まれ。青森市出身。青森高校、中央大学卒業。会計事務所、ビル管理会社勤務を経て、75年、29歳で会社設立。現在、中央ビルコン株式会社、株式会社エス・シー・シー、株式会社エス・シー・ファシリティーズ、浜野ゴルフクラブ代表取締役のほか、東京青森県人会会長を務める。



健全経営、顧客第一が根本

−資産管理を主として不動産業界で37年ビジネスをしていますが、日本経済の狂乱的だったバブル(1986〜91年)に踊らず、直後のバブル崩壊の大波にものみ込まれなかった。健全経営、顧客第一の中央ビルコンの経営姿勢の根本が見えるような気がします。

 人間だれしも、もうけ話に飛びつきたくなるものだが、わが社もお客さまも痛い思いをせずに通過できました。バブルは、地価は下がらないという「土地神話」で進行したが、私は買った土地が値上がりしたり、経営が苦しくなったら売ればよいというふうに単純に考えてよいのか−と疑問を持っていました。多額の資産購入資金の利息すら払えない、減らせないほどの借金をするのは、大きなけがをする可能性があり、健全ではない。従ってバブル期に無理に事業拡張すべきではないと判断したのです。

−バブル崩壊で、海外資産購入まで手を伸ばした日本の大手不動産会社、首都圏の老舗不動産会社が消えていった。

 バブル期、大手銀行からあったビル購入話に乗らないので「この会社(中央ビルコン)には経営者はいないのか」と皮肉を言われましたよ。不動産を買わないで損をするのであれば、損をしてもよい。いずれ自分で買ってもよいと思える時に買えばよいと思っていました。10年後の2000年、50億円だったビルを4億7千万円で買いましたよ。

◇バブル期の判断評価

−バブル期への自制的な会社の対応が信頼感を生み、外資系銀行との仕事を呼び込むことになりますね。

 バブル崩壊が顕著になりだした94年、世界展開している大手外資系銀行の担当者から相談を持ち掛けられました。日本の大手銀行からヘッドハンティングされた人で、実は以前、私にビル購入を勧めた人。バブル当時の私のものの考え方や判断を評価してくれたのでしょう。外資銀がバブル期に契約した銀行店舗の高い家賃を、妥当な家賃に調整(値下げ)してほしいという依頼でした。依頼通り全国にある支店の家賃調整を行った業績が評価され「今後の不動産案件は中央ビルコンにお願いしなさい」という通達が米国ニューヨーク本部からあったそうです。その結果、家賃だけでなく、敷金、保証金、連帯保証人、契約条項、新規出店物件の内容などについても当社が手掛けるようになりました。大手外資銀との取引が、他の複数の外資銀や、複数の国内銀行との取引にもつながっています。

◇バランス感覚と客観性

−従来の貸し手側だけでなく、借り手側にも立った提案をした。

 契約条項の中に賃借人が契約約定に違反した場合に契約を解除するという解除条項があるが、貸主の一方的な条項。逆に借り手から見た場合、貸し手側に瑕疵(かし)があった場合、契約解除できる条項があってもおかしくない−という提案をしたわけです。連帯保証についても、借り手の大手外資系銀行と貸主の会社の経営基盤を比べた場合、大手外資系銀行が圧倒的に力がある。それなのに、なぜ従来通り借り手が保証人を入れる必要があるのか−という提案をしました。大手外資系銀行とは現在も取引が続いています。不動産に対する当社のバランス感覚や客観性が評価されているのだと認識しています。


信頼と提案でビジネス拡大

−資産管理とはどういう仕事ですか。

 資産管理の仕事は、資産を有している個人や企業のさまざまな条件から生じてきます。個人であれば遠くに住んでいて自分で管理できない、企業であれば本業に集中したいので委託するとか。また、空室等のリスク回避の必要からも委託することもあります。経営では常にリスクに対する手だてを考えないといけない。ビル経営は入退去の繰り返しですが、単に空き室を埋めればよいというわけではなく、問題のある人が入居すると資産価値が台無しになる恐れがあり、慎重な調査や交渉も必要です。当社は所有者の将来を考えて管理契約に当たることで、所有者との信頼が生まれています。資産管理の仕事から、物件の売買や賃貸の仕事が生じ、さらに内装や建物設備の更新など関連会社でしている仕事もあります。信頼、信用が非常に大事な世界です。

◇29歳で会社を設立

−若くして創業したそうですが。

 大学卒業後、会計事務所に勤めたが、中小企業のお手伝いをしたいという思いがあり、求人のあった米国のコンサルタント会社の面接を受け採用されました。ところが、担当者から経理の経験のある人にどうしても来てほしい−という会社があるということになった。特別の給料と課長待遇という打診を受けて進んだ新天地が資産管理会社。50〜60歳の部課長の中で、私は25歳ぐらいだったが、社長に対して、分かりにくい社名の変更や経理システムの変更、数年後の赤字予測とコスト削減などを提示して受け入れられました。300人ほどの会社でしたが、社長は「次の社長は清藤にする」と発表し、慰留もされました

−次期社長候補なのに独立した。

 先のことより、今のことで行こう−と、29歳の誕生日直後に会社を設立しました。東京の銀座や赤坂のビルとかの資産の管理。何百億円もの資産管理で、管理しているビルに国会議員も入っていれば、大手企業の社長もいる。まだ若いのに任せてもらったのは不思議なことですが、私が4年ほど勤めた資産管理会社での仕事ぶりを見ていた銀行の不動産部の部長が評価してくれ、独立してやりなさい−と勧めてくれたのです。人と人との出会いですね。

◇名門ゴルフ場を守る

−本業の資産管理ビジネスの一方、名門ゴルフ場「浜野ゴルフクラブ」(千葉)の代表取締役もしています。

 バブルがはじけ、企業倒産が相次ぎましたが、特にゴルフ場の倒産は全国的だった。登場したのが外資のいわゆる「ハゲタカファンド」ですよね。安い金で買い取り、民事再生手続きで銀行などの債権カットをし、資産をまるまる手に入れる。浜野ゴルフクラブも同じ事態になったが、会員だったので浜野を守ろう、会員で運営しようと動きました。日本人の心をずたずたにされて、外資系ゴルフ場でプレーさせてもらう必要はないと訴えたら、会員が拍手してくれました。

−資産管理の本業にも通じるものがあると思うが、手を尽くしてゴルフ場を守った。

 当初経営していた会社が出した民事再生を否決し、会社更生法を申し立てて経営会社を退場させました。その上で経営会社がバブル期に海外ゴルフ場入手のため借金した200億円は、浜野ゴルフ場経営とは無縁だという詐害行為取り消し訴訟を起こし最高裁まで争って勝った。本業や県人会の活動をしながら、97年から9年かかりました。今は借金ゼロ、黒字経営の優良ゴルフ場。特別な成り立ちを持ったゴルフ場であることを認識しながら、以前、プロの大会を開催したように、ゆくゆくは日本オープン開催を視野に入れたい。

(聞き手=東奥日報社取締役東京支社長兼大阪支社長・鳴海成二)


 ◇

営業マンゼロの経営/東京支社長の視点

 信頼と提案とリスク回避が中央ビルコンの経営の根本にある。バブル期の対応で象徴的に分かる通り、安全確実に業務を遂行し顧客と自社を守る。会社創立以来「仕事を拡大するための営業マンはゼロ」という。なぜか。「出会った一つ一つの仕事を、お客さまに喜ばれるようにやることが最高の営業」と考えているからだ。信頼と成果が、おのずと次の仕事を連れてくる。苦学して大学を卒業した。新聞社の寮に入って受験し新聞配達。夕刊配達時の授業を受けたくて、半年後、牛乳配達に変更。エピソードがある。牛乳をもっと売れば、販売店のおやじさんが喜ぶだろうと、自発的に営業開始。店から牛乳を2本もらって、他の牛乳をとっている家庭の戸口に立って飲んでもらい、次々と販路を拡張。卒業までの学費は、会社員の初任給以上になったという牛乳配達でまかなった。提案して工夫して動いて成果を上げた牛乳配達が、その後の会社員、経営者としての仕事の仕方の原点のように見える。(鳴海成二)




写真  <会社概要>

■商号 中央ビルコン株式会社

■本社所在地
〒102−0076
東京都千代田区五番町6−1、AKビル3階

■TEL
03−3511−7411

■設立 1975年7月16日

■代表 代表取締役・清藤良則

■資本金 4040万円

■事業内容
(1)ビル経営のサポート・コンサルティング業務

(2)マンション管理組合のサポート・コンサルティング業務

(3)外資系企業等の出店や契約条件についてのコンサルティング業務

(4)資産有効活用のための不動産コンサルティング業務

(5)不動産売買・賃貸の仲介業務

(6)ビル・店舗の建築・設備・衛生管理業務

(7)自社所有ビルの不動産賃貸業務

(8)賃料保証による一括借上業務(サブリース)

■従業員 グループ全体で約100名


不動産のトータルマネジメント

 最近の不動産市況では、空室の多いビル・マンションも多く、従来型の不動産経営では成り立たなくなってきています。賃貸業も「経営」です。最新の法改正や新しい技術にも目を配り、投資は必要最小限にして利益を最大化する「戦略」が必要です。契約条件には、紛争を未然に防止する最新の条項を取り入れるなど、リスクマネジメントも提案いたします。従来の清掃や賃貸だけではなく「経営」の観点からオーナーさまのマネジメントをトータルにサポートいたします。


 
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