首都圏発 東奥トップインタビュー 明日への挑戦


■第1回 西崎修治氏(深浦町出身) ライフサポート株式会社 代表取締役

 
   
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西崎 修治(にしざき・しゅうじ)
 1965年12月3日生まれ。深浦町出身。五所川原高等学校卒業、成蹊大学工学部中退。ホテル勤務、会計事務所勤務を経て29歳で会社設立、同社代表取締役、現在に至る。
 東京青森県人会副会長。東京成徳大学経済学部特別招聘教授



保育・介護の両面で事業を展開

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―ライフサポートは子どもの保育事業と、お年寄りの介護事業のどちらかではなく、両方を展開していますが、どうしてなのでしょう。

 わが国では、少子高齢化の進行によるさまざまな弊害がありますが、特に年金・医療・福祉の社会保障の問題は深刻ですよね。長生きするのは喜ばしいことで世界一の長寿国となりましたが、医療が充実し平和な社会を築いてこられた方々がまさに現在の高齢者なわけです。問題の根源は高齢化にあるわけではなく、出生率を改善して高齢者を支えられる生産人口をどう増やすかにあるのではないでしょうか。そこで頑張ってきた高齢者の生活を支える介護と同時に、子どもを産み育てやすい環境を整えていく保育の二つの事業を展開することにしたわけです。

◇ノウハウを蓄積

―保育事業ではベビーシッター保育と児童育成事業と幅広いですが、どんな狙いが?

 保育といっても保育所での保育のほか、訪問保育(ベビーシッター)や病児保育、病後児保育、学童保育などさまざまです。最近では子育て支援施設として、親子で参加できるものや出産前からの子育て相談など、保育そのものが変わってきています。保育サービスの形態・運営のノウハウをさまざま蓄積することによって、地域のニーズや実情に応じたサービスを提供することができます。また、これらの実績やノウハウを自治体に提供することにより、受託の可能性も広がるわけです。

―もう一つの介護事業では、有料老人ホームや指定訪問介護・居宅介護支援事業がありますが、施設のありようや運営にどんな気配りをしていますか?

 どんな特徴的なサービスを提供したり、立派な箱ものを造ったりしたところで、保育や介護といったサービスはしょせん、人が人に対して行う事業。日常生活の一部になっていて毎日継続するわけですから、安全性や快適性が確保されているかどうか、そして何より従業員が人から信頼されているかどうかが一番問われるところだと思います。当社ではお客さまはもちろん、地域の方々や、ともに働く従業員に対しても思いやりや気遣いなど、ホスピタリティあふれる運営を心掛けています。

◇ビジネスは熱意

―ところで、西崎社長が事業を始めたきっかけは?さまざまな苦労もあったと思いますが。

 公認会計士を目指し会計事務所で働いていた時期があるのですが、事務所の顧客の中に保育所や幼稚園、病院を経営していた法人があり、医療や福祉に興味を持ったのがきっかけ。外国の状況を見て、日本でも福祉をどんどん民間がやるようになるのではと考えて1995(平成7)年、29歳の時に起業しました。

 最初は自分も現場に入り、訪問介護や訪問保育の事業を始めました。当時は介護保険が始まる5年前で、商売にならなかったですね。規制緩和になって、民間の営利法人が福祉に参入できるようになり、補助金も受けられるようになってから、なんとか軌道に。ビジネスは熱意がないと続かないですね。会社が急成長したのは、2000年から01年にかけてで、バブル時のホテルを買い取って老人ホームにしました。地元の人がびっくりし、開所式は新聞の話題にもなりましたよ。


県人含む東北人を採用したい

―従業員が現在800人を超えています。

 働きやすい環境づくりのため、福利厚生などどんな配慮をしていますか?従業員の8割は女性で、お客様も女性が多いわけですから、女性から好かれるような職場環境を目指しています。福利厚生施設を充実させ休日に保養所に行ったり、メンタルケアの一環としてプライバシーを尊重しつつ、社外のカウンセラーに悩みを相談できる環境をつくったりしています。ボウリング大会やカラオケ大会も開いていますよ。最近では結婚して子どもを産んでも、やめる人が少なくなりましたよ。

◇ふるさとの海と山

―ところで西崎社長は深浦町ご出身で、東京で大きくビジネスを展開していますが、ふるさとへの思いは?

 生まれも育ちも深浦町。旧深浦町の中心部から離れた舮作(へなし)で過ごしました。本当にのどかな土地で、子どものころは海へ山へと駆け回りました。東京に長く住むようになりましたが、慣れ親しんだ深浦の海と山が、あの当時と変わることなくあり続けてほしいですね。深浦の宝は豊かな自然。この自然なくして、町の基幹産業の漁業と観光は成り立ちません。絶品な山海の幸も東京で誇れます。

―ふるさとの青森県からも従業員を採用しています。今後も続けますか。

 青森県出身者は現在20人ほどでしょうか。今後も中途採用の看護師のほか、大学短大の新卒者などの県出身者を積極的に採用したいです。また、これまでの実績から見れば、学校が青森県内ということに限らず、仙台や東京であっても県出身者に応募してほしい。昨年の東日本大震災だけではなく、明治以降ずっと辛酸をなめてきた東北人をぜひ採用したいですね。

◇海外でも事業を

―創業して17年、首都圏で既に40以上の施設を展開しています。ライフサポートが今後目指す方向はどんなものでしょう。

 設立理念が少子高齢化の課題を解決するための事業を行うことでしたから、これからも介護と保育事業を基軸とした展開を考えていきますが、日本の人口構成を考えると、高齢者を支える生産人口の不足をどうにかして埋めていかなければ、社会保障制度そのものの崩壊につながると考えています。従って子ども環境の整備は大事。また、アジア圏域からの介護労働者の受け入れは既に始まっていますが、今後、弊社など日本の事業者が海外で介護・保育事業を展開ができたらと思います。

(聞き手=東奥日報社取締役東京支社長兼大阪支社長・鳴海成二)


 ◇

明確な理念で事業展開/東京支社長の視点

 福祉分野でなぜ介護と保育の両方の事業を展開するのか、ライフサポートの企業理念は明確であり、従って企業の進路も明確。西崎社長は東京成徳大学経営学部の特別招聘(しょうへい)教授として、福祉の現場からの授業もしている。事業の展開も幅広く、学童保育を担う従業員の半数は教員免許を持っている。看護師、保育士、介護福祉士だけでなく医師も求めている。首都圏から海外進出も視野の中にある。今後も県人を含む東北人を採用していきたいといい、同社の発展を県人らが支えることになれば−と願う。(鳴海成二)




地図  <会社概要>

 ライフサポート(株)は、保育園18園、自治体からの保育園や子育て支援施設や公立小学校での児童育成事業など15施設での受託運営の保育事業のほか、有料老人ホーム6施設、デイサービスや訪問介護などの「保育」と「介護」に関わる事業の運営を行う。

■商号 ライフサポート株式会社

■本社所在地 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-1-16 03(5155)3611(代表)

■設立 1995年2月2日

■代表者 代表取締役・西崎修治

■社員数 850人(パートを含む、2012年4月)

■事業所

<保育部門>認可保育園(東京都3区/3保育園)▽認証保育所(東京都11区/15保育所)▽自治体事業の運営受託(東京都7区14カ所)▽訪問保育(東京都1区)

<介護部門>介護付有料老人ホーム東京都指定特定施設(2カ所)埼玉県指定特定施設(3カ所)▽住宅型有料老人ホーム(神奈川県川崎市1カ所)▽訪問介護拠点(東京都指定事業所2区/2カ所)

■資本金 3億785万円




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