あおもりびと

県産食材は「宝の山」イタリアンシェフ
中田 淳さん(弘前出身)

2018年2月16日(金)

十和田ガーリックポークに包丁を入れる中田さん。本県出身の常連客も多いという

 明治神宮に近い小田急線参宮橋駅(東京都渋谷区)を降りてすぐの場所にあるイタリアンレストラン「IL VISCHIO(イル・ヴィスキオ)」。駅前の騒がしさはなく、落ち着いた雰囲気で本格料理が楽しめる。本県産の食材を多用するオーナーシェフの中田淳さん(46)=弘前市出身=は「青森は肉も野菜もいいものがそろう宝の山。もっと多くの人に分かってもらえるように手助けしたい」と故郷への思いを込める。

 中学生のころ料理に興味を持った中田さん。弘前高校卒業後に進んだ辻調理師専門学校(大阪)で、今やテレビでもおなじみのイタリアンシェフ落合務さんと出会った。「シンプルなのにめちゃくちゃおいしい」落合さんの料理に魅了され、専門学校を出ると迷わず、当時落合さんが働いていた東京・赤坂のレストランに就職。1999年から2年半のイタリア修業を経て、2013年4月、イタリア語で「宿り木」を意味する「IL VISCHIO」をオープンさせた。

 「手を掛けすぎない、ナチュラルなイタリア料理」を売りにする店は、競争の激しいエリアで徐々に評価が高まった。お客の勧めで県産食材を使ったのはオープン2年目のころ。生産者や行政関係者から口づてに知った新たな食材を次々と試し、「気付けば青森県産だらけになった」。十和田ガーリックポーク、青森シャモロック、シードル…。ハーブなどの野菜も多くが県産品だ。

 看板料理のカルボナーラを引き立てるのも田子町産の卵。「味が濃くてしっかりしている。生クリームを使わないので、卵本来の味を楽しめます」と中田さんは話す。全食材に占める県産の割合はオープン当初1割に満たなかったが、今は8割程度まで上がったという。

 「これだけおいしいものがたくさんあることに驚きました。リンゴとニンニクだけじゃないことを多くの人に伝えたい」と中田さん。故郷への思いは年々強まり、県産食材を使ったレトルト食品の商品化も手掛けてみたい-と意欲的だ。「東京で店をやっているからこそできる貢献がしたい。青森と関わり続けるのが目標です」

地域密着の情報発信夫婦2人で出版社
成田希さん(青森出身)

2018年1月19日(金)

「めご太郎をきっかけにつながった人たちと、何かイベントをしたいですね」と成田さん=横浜市の伊勢佐木町

 横浜市中区の関内駅に降り立つと、目の前に伊勢佐木町商店街。一角に立つのがイセビルだ。関東大震災後、焼け野原だった街に建てられ、築年数は90年超。横浜の地域情報誌を発行する「星羊社(せいようしゃ)」は、そのビルの4階に事務所を構える。

 編集長は青森市出身の成田希(のぞみ)さん(33)。と言っても、スタッフは成田さんと、社長兼発行人で夫の星山健太郎さん(39)だけ。たった2人で、取材から執筆、編集、営業までフル回転している。

 成田さんはもともと、出版関係の仕事に進むつもりはなかったという。青森高校を卒業後、横浜市内の私立大学に進学した。弁護士を目指し法科大学院に進んだが、司法試験の壁は厚く断念。「次に何をしようか、と考えた時、一番身近にあったのが飲み屋街でした」と振り返る。大学院で知り合った星山さんは横浜出身で、地元の酒場に詳しかった。試験勉強の合間の気分転換に一緒に飲み歩くうち「飲み屋さんに知り合いが増えていって。地元愛にあふれた人が多かったんです。そうした人を通じて、街の魅力に触れ、横浜の歴史や文化を知るようになりました」。次の道にそれらが生かせるかも、と考えた。

 2009年から横浜の小さな出版社に勤めたり、フリーライターとして活動。13年、同じように次の道を模索していた星山さんと事務所を探したところ、イセビルに空きが見つかった。

 「横浜のシンボル的なビルに入居したことが、方向性を決めたのかも」(星山さん)。同年8月に星羊社を設立し、12月15日に横浜の情報誌「はま太郎」第1号を発刊。創刊日に婚姻届を出したんです-と、照れながら明かしてくれた。

 「はま太郎」には市民酒場と呼ばれる大衆的な店や、そこを行き交う人々が魅力的につづられている。イラストは「外注する余裕がなくて」と、成田さん自ら手掛け、絶妙な味わいを醸し出す。

 昨年12月には、青森市をテーマにした「めご太郎」を刊行した。「はま太郎」同様、「店の紹介というよりは、そこで繰り広げられる人の営みにスポットを当てています」と成田さんは言う。

 「出版不況と言われますが、地元に根差した情報は地元の人が興味を持ってくれる。これからも人のつながりを大切に、丁寧な仕事をしていきたいですね」

  • 県産食材は「宝の山」

    2018年2月16日(金)

  • 地域密着の情報発信

    2018年1月19日(金)

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