2009年5月23日(土) 東奥日報  

スポットライト

■ 田村茂一さん(青森出身)/自衛隊学校でレスリング指導

 「勝ちたいのか。しっかりやれ」「あきらめるな」。レスリング会場のセコンドでは、一段と厳しい表情で選手に声を飛ばす。

 青森市出身。自衛隊体育学校時代の一九九八年、レスリング全日本選手権のフリー五十四キロ級で優勝した。シドニー五輪代表を狙っていたが、翌年の選考会で三位に終わり出場権を逃す。二〇〇〇年に現役を退いた後、青森や仙台の駐屯地に赴任。〇八年から神奈川県横須賀市にある陸上自衛隊武山駐屯地内の少年工科学校に勤務している。担任を務める傍らレスリング部の指導に当たっている。

 同部には十七人が所属しているが、ほとんどが入学とともに競技をスタート、経験は浅い。「幼少のときから競技を始めた子たちと差が大きいことは、本人たちも知っている。それでも勝利を信じて前へ前へと向かっていく姿はすばらしいし、感動しますね」。会場での厳しい言葉は、裏を返せば愛情の表れだ。

 時間があれば、神奈川県のジュニアクラブや母校の青森商に顔を出して指導する。「休みがない」と苦笑いするが、気持ちは充実している。「せっかくレスリングをやっているのだから、五輪を狙ってほしい。チャンスに懸けてほしい」。自らが果たせなかった夢を、教え子に託す。

(神奈川県横須賀市在住、35歳)



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