くじゅう連山(大分県)
雄大な「九州の屋根」/太古の昔に思いはせ
 
マップ くじゅう連山で山野草を探す中山恭一さん

 久住山や大船山など1700m級の山々が並び「九州の屋根」と称されるくじゅう連山。歩きやすい登山道があり、アプローチも良いことから人気の山域だ。夏本番を迎えたこの時季、真っ青な空の下には緑豊かな山。涼風を感じながら、ゆっくりと自然を満喫することができる。

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 「素晴らしい」-。くじゅう連山の裾野にある大分県竹田市久住町で暮らす中山恭一さん(56)。登山道を歩きながら花を見つけては、ため息交じりの歓声を上げた。17年前、くじゅう連山に魅了され、県内の海岸部から移住した。現在は要請があれば、ガイドを引き受け、魅力を伝えている。夏の高山植物の観察や溶岩ドームの姿を楽しむため、同行を依頼した。

 午前7時、気温18度の牧ノ戸峠登山口を出発。谷からの風が白いもやを稜線(りょうせん)へと運んでくる。沓掛山を越えたころには青空が見えてきた。茶褐色の花を付けたナガバシュロソウ、茎の先端に小さな花が穂のように密生するイブキトラノオ、コバギボウシなどがあちらこちらに。「6月のミヤマキリシマを目指して登る人が多いが、爆発的な勢いで花が咲くこの時季がお薦め」という。山野草の写真を撮り、フェイスブックで紹介している。

 2時間半で扇ケ鼻山頂(1698メートル)に到着した。遠方に久住山、中岳、天狗(てんぐ)ケ城のピークが見える。足元には、淡い紅色の小さな花がたくさん集まって咲くシモツケソウやマツムシソウ。

 「かわいい花を咲かせる山野草は、その場所で全力で生き抜いている。人格のようなものを感じる」と魅力を語った。

 登山道を折り返し星生山(ほっしょうざん)(1762メートル)へ。くじゅう連山は14万年前から約1700年前の間の火山活動で形成された。今も所々に火山活動の跡となる溶岩ドームがある。星生山の南斜面に突き出した溶岩ドームは圧倒的な存在感だ。「見る場所によって岩の印象は大きく違う。岩にある割れ目も面白いでしょ」と説明してくれた。

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 山頂に着いたのは午前11時。北斜面には噴気を上げる硫黄山。「噴火や火砕流があった太古の昔から山が生きていたことが思い浮かぶ。くじゅう連山は、地球のダイナミズムが体感できる」と話した。山頂から稜線沿いを久住分かれまで歩き、牧ノ戸峠登山口に戻ると午後2時。心地よい疲労とともに、くじゅう連山の雄大な時間の流れを胸いっぱいに感じることができた。

(大分合同新聞社)

旅メモべべんこ 目玉は豊後牛
人気の「豊後牛焼肉丼」と「豊後牛コロッケ」を紹介する鷲頭栄治さん(左)と郁代さん

 くじゅう連山を広く見渡せる高台にある農家レストラン「べべんこ」(九重町田野)。遠景には、星生山、三俣山、大船山、平治岳などの山頂が、手前には飯田高原の緑が広がる。

 オープンは2003年。飯田高原で畜産業を営む鷲頭栄治さん(64)家族が育てた大分県産黒毛和牛の豊後牛を使った料理が人気だ。レストランは長女の郁代さん(38)と次女の絵理佳さん(35)が中心となって切り盛りする。「豊後牛焼肉丼」(1680円)は、たれで味付けしたロースが自家製のコメ、キャベツやタマネギの上にきれいに並べられている。「豊後牛コロッケ定食」(1080円)も目玉の一つ。

 09年度の農林水産祭畜産部門で「農業の6次産業化」が高く評価され内閣総理大臣賞を受賞した。栄治さんは「美しいくじゅうの山々の景色を堪能しながら、こだわって育てた牛やコメ、野菜を一緒に味わってほしい」。農家レストラン「べべんこ」(電話0973-79-3110)。