高田大岳(青森県・高さ1552メートル)
山の仲間 登山道整備/山岳部員鍛えた急登復活
 
マップ 水面(みなも)に円すい形の山容が映える高田大岳=八甲田・睡蓮沼から

 十和田山岳振興協議会の3団体16人が6月、八甲田・谷地温泉から高田大岳の登山道に入った。山頂へ向かう登山道は管理が行き届かないままやぶ化し、荒廃が進んでいる。参加者は「登山道維持作業中」という腕章を着け、ボランティアで整備に当たる。

 柔らかな日差しが差し込むブナの登山道は気持ちがいい。ミズバショウの湿地帯を抜け、登りが角度を増すと、高田大岳の特徴である急登コースが始まった。

 登山道は頂上付近のハイマツ帯まで、ほぼ直線的に付けられ、きつい登りが続く。全長は約3.2キロ。作業は、登山道を覆うササや枝を刈り込み鋏(ばさみ)や鋸(のこぎり)で切り開き、刈り払い機で1メートルの道幅に仕上げる。

 延べ6日間におよんだ作業は前半こそ順調だったものの、その後ペースダウンした。同協議会事務局長の山崎政光さん(76)は「急登周辺は特にやぶが深く、思ったより手間取った。しかし、やぶで真っ暗だった登山道が明るくなって、気持ちがいい」と満足そうに額の汗をぬぐった。

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 「高田大岳の急登を登り切り、ようやく山岳部員になれたと実感した」。青森市の主婦沢森美希さん(46)=同市浪館泉川=は1986年、青森南高校に入り、山岳同好会に所属。初めて高田大岳に挑んだ。

 沢森さんは「きついと聞いていたが、あんなに大変とは思わなかった。硬い登山靴を靴下で調整し、ばんそうこうを貼って山頂まで往復した」と覚えている。

 当時、県高校総体登山競技の縦走は高田大岳で争った。山岳部員たちは事前に谷地温泉周辺や田代平にテントを張り、女子は12キロ以上、男子は15キロ以上の荷物を背負い、急登コースを往復して大会に備えた。

 主将の沢森さんが3年の春、同好会は念願の部に昇格。登山部として初めての県高校総体に臨んだ。

 当日は悪天候のため、コースが高田大岳から隣の雛岳に変更されたものの、青森南は前半から快調で強豪校に快勝。見事、インターハイ初出場を成し遂げた。

 さまざまな思いが交錯する急登コース。高田大岳から山に引き込まれた沢森さんは「初心者がいきなり登ると、山を嫌いになってしまう。でも経験者には魅力的な山」と振り返った。

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 八甲田や岩木山でボランティアが県や市と協力し、荒れた登山道の整備に立ち上がっている。十和田山岳振興協議会は登山道の整備などを目的に、2014年末に発足した。会長の下山壽さん(80)は前県山岳連盟会長で、厳冬期に高田大岳に登った経験もある。 「昨年、現地踏査を行ったばかりで、こんなに早く登山道の整備が実現するとは思わなかった。高田大岳は十和田市周辺から最も目立つ高い山。山には山にふさわしい登山道が必要だ」。下山さんが言い切った。

(東奥日報社)

旅メモ谷地温泉 2種類の湯 人気
谷地温泉の風呂は透明なぬるめの湯(手前)と白濁した湯が並ぶ

 八甲田は、青森市から十和田湖へ向かう国道103号を挟んで大岳(1584メートル)を主峰とする北八甲田と、櫛ケ峰(1516メートル)を中心とする南八甲田に分かれる。北八甲田でもメインコースから離れた高田大岳は、登山客などでにぎわう大岳周辺に比べ訪れる人は少なく、静かな山旅が楽しめる。山頂まで約2時間半。

 登山口のある谷地温泉は山の一軒宿で、古びた木造の建物は秘湯の趣が漂う。周辺は谷地湿原が広がる。

 風呂は白濁した42度の湯と、浴槽の底から湧き出る38度とぬるめの湯の2種類が楽しめる。山菜、キノコのほか、いけすを備え、新鮮なイワナ料理が自慢。

 積雪期に宿周辺に姿を見せるテンは、宿泊客の人気者となっている。

 宿泊は1泊2食付き税込み8574円から。日帰り入浴は500円。青森駅からバスで約1時間40分、「谷地温泉」下車。