あおもり昆虫記
オツネントンボ

 十和田市で小学校時代を過ごしていたころ、わたしたち悪ガキどもは、オツネントンボのことを神様トンボ、と呼んでいた。

 このトンボを捕まえ、はねでもむしろうものなら「ワーイ、ワーイ、神様トンボを殺しちゃった。バチが当たるぞ。みんな、あいつに近づくな」とはやしたてられたものだった。もちろん冗談でからかってはいるのだが、それにしても子供のときからみんな信心深かったんだなあ、と今にして思う。

 さて現在。神様トンボという名は一般的なんだろうか、とふと疑問に感じ、友人、知人に手当たり次第に電話をし「神様トンボって知ってるか?」てみた。意外な答が返ってきた。大半は「聞いたことが無い」と言うのである。が、少数派として知っている人もいた。

 平賀町本町のYKさんは「イトトンボのことだよ。多分オツネントンボのことだろう」。弘前市城東のKTさんは「羽の黒いトンボのこと。神秘的な姿が神様トンボと呼ばせたのだろう」。羽が黒いトンボとは、ハグロトンボと考えて間違い無いだろう。が、奥さんのY子さん(弘前市出身)は「イトトンボのこと」。青森市沖館のTSさんは「羽が黒いトンボを、そう言っていた」。同僚記者で旭川市出身のKSさん、函館市出身のMNさんの北海道勢はともに「聞いたことねぇなあ」。イトトンボ派とハグロトンボ派に二分されたのにはびっくりした。

 ハグロトンボはさておき、イトトンボの中では神様トンボはやはりオツネントンボのことを指す、と思う。イトトンボの種類は多いが、家の近くで身近に見ることができるのは、オツネントンボだからだ。しかし、このトンボをなぜ神様と呼ぶのか今もってわからない。

 オツネントンボは夏ごろ羽化し、未成熟成虫のまま越冬し、翌年成熟してから交尾、6月ころ産卵する。オツネンとは“越年”の意味だ。成虫期間は実におよそ10カ月に及ぶ。日本にいるトンボの中では最も長生きするトンボの一つだ。最長寿。やっぱり神様なのかなあ、と思う。

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