あおもり昆虫記
アジアイトトンボ

 小さくて細いトンボだ。外観は、まったく頼りなく弱々しい。が、外観で判断すれば、このトンボには失礼だ。こう見えても、なかなかタフなトンボなのだ。

 なんてったって名がアジアときたもんだ。雄大だ。北海道南部から日本各地、台湾、朝鮮半島、中国など広く分布している。

 広く分布している、ということは移動力がずば抜けていることを意味する。紀伊半島潮岬の南方500キロの観測船上で、遠い陸地から渡ってきたと思われるこのトンボが採集されたことがある、という。弱々しい極細小型トンボが海を渡るとは。驚きを通り越して、感動すら覚える。

 イトトンボの仲間の多くは、水辺をあまり離れないが、アジアイトトンボは水辺から遠く離れた所でも飛んでいる、という。ほかのイトトンボより移動力があることが、このさりげない事実で分かる。ゆめゆめ弱々しいなんて言ってはいけない。

 とはいっても、水辺の草の茎にひっそり止まっている姿は、まったく弱々しく見える。小さくて細い。そんな姿を見るにつけ「本当にこいつはタフで抜群の移動力を持っているトンボなんだろうか」とふと思う。でも「マラソンランナーって、ごつい体の人はいなくて、小さくて細い体の人が多いよなあ」とらちもないことを思い、考え直す。アジアイトトンボとマラソンランナーは似ているのかもしれない。

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