あおもり昆虫記
ヨツボシトンボ

 鯵ヶ沢町の岩木山麓に、休耕田がある。稲作をやめてから、ずっと放置しているようで、水草が繁茂し、適度な湿地をつくっている。水草の中にはカキランなど野生ランも生えており、なかなかいい感じだ。

 当然、トンボの絶好の生息地になっており、各種イトトンボをはじめ、さまざまなトンボが飛び回っている。さながら「トンボの楽園」だ。いかにも語彙不足的な表現だが、残念ながらそう表現するのが一番適切なほど、多くのトンボがいる。

 その中で目を引くのが日本特産種のヨツボシトンボだ。4枚の羽の各前縁に4つの紋があることからその名がついた。全国的には普通種というが、わたしは青森県では鰺ヶ沢町と車力村でしか見たことがない。日本海側だけだ。ともに7月上旬に見た。

 このように、ふだんあまり目にしないトンボを見ると、うれしくなってしまう。もともと“湿地フリーク”のわたしは、湿地がますます好きになる。

 県内の休耕田の適当な場所をトンボの楽園にする、というアイデアはどうだろう。子供たちや、自然好きの大人に喜ばれることは請け合いだ。農協組織に一考を求めたい。ここ、鰺ヶ沢町の岩木山麓の休耕田湿原も、このようにして守ってもらいたいものだ。いや、この休耕田がずっとずっと、だれにも知られず、そのままになっている方がトンボたちには幸せなことかもしれない。

 ヨーロッパ〜北部アジア〜北アメリカ北部…と北半球北部の寒冷地に広く分布する北方系のトンボだ。ヨーロッパのヨツボシトンボは大群となって長い距離を移動することが観察されているが、日本のものではそのようなことは知られていない。

 日本では普通種といっても近年、田園地帯や町中の池沼では、ほとんど観察できなくなったところが出てきた、と報告されている。農薬の使用や生活雑排水の流入による水質の汚染が大きな原因と考えられる。ヨツボシトンボの減少を心配する声が出始めている。

 いつまでもヨツボシトンボの勇姿が見られる自然環境であり続けてほしいものだ。

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