あおもり昆虫記
マユタテアカネ

 赤トンボ、とひとことで言っても、実は数多くの種類がある。青森県も含め全国的に断トツに多いのがアキアカネ。ふつうの人は多分、アキアカネのことを赤トンボ、と思っているに違いない。そう思われてもしかたがないほど、アキアカネの数は多い。

 次に多いのは、青森県ではマユタテアカネ、その次はノシメトンボ、と思う。が、二番目に多いといっても「一にアキアカネ、二、三、四、五、六、七、八、九がなくて十にマユタテアカネ…」の世界なのだ。

 マユタテアカネ(眉立茜)。その意味は、写真を見れば、すぐ分かる。顔の真ん中に、二つの黒い模様。これを眉毛に見たてたわけだ。黒い点々。まるで、平安貴族のような眉。「マロは…」の声が聞こえてきそうだ。

 とはいっても、これはトンボの眉ではない。単なる模様にすぎない。本当の眉、というか触角は、細くて短いのがちょこんと二本ついており、よほど気をつけなければ見つけることはできない。もっとも、トンボが平安貴族みたいな眉をつけ、やんごとなきお方のような風情で空を飛ぶ(想像できないが…)と、すこし気持ちが悪い。

 「どうだ。秋の空はオレのものだ。参ったか。ザマミロ」なんてかんじで、いたる所で元気に広範囲に飛び回るアキアカネと比べると、マユタテアカネは、ぐっと可れんで、あやういイメージ。止まっていることが多く、その場をあまり離れない。地面の低いところを地味に飛ぶ。アキアカネと陽とすれば、マユタテアカネは陰にたとえられるだろう。

 長年、アキアカネとマユタテアカネを見てきて、あることに気づいた。それは、アキアカネは開けたところを堂々と飛んでいるが、マユタテアカネは、林の縁に多くいて下草にとまり、ひっそりしている−ということ。棲み分けているような印象すら受ける。こんなことからも、アキアカネは陽、マユタテアカネは陰−のイメージがわたしの頭の中でできあがったのかもしれない。

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