あおもり昆虫記
キイロスズメバチ

 「た、た、たいへんです。軒下にスズメバチが巣を作ったんです。怖くて怖くて。なんとか除去してくれませんか」。わたしが虫好きなのを知っている人から、たまにこんな注文を受ける。その道のプロもいるが、ここは、わたしの出番となる。巣の除去なんてかわいそうだからやりたくないが、人々は死にそうな顔をして訴えるから、つい情にほだされ出動となるる。

 たいていは、まだ巣が大きくなっていないうちに訴えが来る。そんなときは、虫網で一網打尽だ。夜、ハチが寝ているとき虫網で巣をすくいとる、という作戦だ。ハチにとっては気の毒としか言いようがない。

 軒下に巣をつくるスズメバチは、キイロスズメバチだ。国産ハチの中の巨大巣づくりのチャンピオンで、周りが2mを超すものもある。最盛期には400−500匹のハチがうごめいているから、虫の嫌いな人は、この姿を見たら卒倒するだろう。

 雌は、冬越しをするための体力をつけると、巣から離れる。これを察知した雄はそのあとを追い、野外で交尾する。交尾が済むと雄は間もなく死に、雌(女王蜂)は単独で冬を越す。

 気性が荒く、攻撃力が強い。毒性も大変強い。秋にはミツバチの巣を襲う。だから、市民や養蜂家から嫌われ、かわいそうなことこのうえない。と言うわたしも、実際、このハチと出会うと怖い。

 低山地にハイキングに行くと、食べ物に誘われて、このハチが飛んでくることが多い。見るからに攻撃的で、おっかない。ハチを刺激せず、じっとしていなくなるのを待つしかない。

 こどものとき、本に「キイロスズメバチは気が荒い」と書かれていたのを読んだことがある。その一節が強烈に記憶に残り、以来、このハチを見ると怖い。こどものころに身に付いた恐怖というものは、いくら年齢を重ねても取り払えないもののようだ。

>>写真はこちら

狩りバチなどの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

HOME