あおもり昆虫記
クロヤマアリ

 昆虫の生態写真を撮影するのは容易ではない。チョウやトンボなど大きな虫であれば、一眼レフカメラにマクロレンズ1本をつけているだけで、たいていは事足りるが、アリをはじめ、小さな虫の場合はそうはいかない。マクロレンズを使っても米粒ほどにしか写らないからだ。

 これを克服するため、さまぎまな知恵を絞ってきた。まず、小さい虫を大きく撮るため、レンズとカメラのボディの間に中間リングかベローズ(蛇腹)を入れる。だが、虫は大きくなっても今度は光量が不足する。光量を補うためストロボを発光させる。以前は、これがとてつもなく面倒だった。経験をもとにしてヤマカンで絞りを決めなければならなかったからだ。

 使用するフィルムはISO64のカラースライド。半絞りでも違っていれば使いものにならないほど気難しいフィルムで、36枚のフィルム丸ごと失敗したことも幾度となくあった。その後、カメラの技術革新が進み、ベローズをつけても露出は機械任せの便利なTTLカメラが登場、これにリングストロボをつけて使ってみたことがある。ところが、光量が弱いため虫の体の一部分にしかピントが合わない。

 そこでガイドナンバー40の大型ストロボを買い込んだが、発光体の場所が悪く、変な影ができる。思い余って、カメラメーカーの仙台サービスセンターにストロボを持ち込み、「発光体だけをレンズの鏡筒の先端につけたいから改造して欲しい」と頼み込んだ。担当者は「そんな注文は初めて」と面食らった様子だったが、快よく改造を引き受けてくれた。

 こうして、ようやく小さい虫をクローズアップし、しかも体の隅々にまでピントが合うF22まで絞って撮影できるようになった。春。自宅玄関前で働き者のクロヤマアリがワラジムシの死骸を引きずっていた。改造ストロボを試みるチャンス! 初めてシャッターを押した記念すべき1枚が、この写真である。

 クロヤマアリは、アリの中で最も普通にみられる種だ。比較的乾いた土に巣をつくり、人里で一番多く目にするアリだ。地中1−3mのところに巣をつくる。働き者で、活動域は、直線距離で100mに及んだこともあるという。

 わが家の庭の常連さんでもある。雪が解けたその日から雪が降るまでの早春から初冬まで、雨の日を除けば、このアリを庭で見ない日はない。だからといって、このアリに親しみを覚えるわけではない。たぶん、数が多すぎるから、そんな感情がわかないのだろう。

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