あおもり昆虫記
イチモンジチョウ

 いきなり私的なことで申し訳ないが、わたしはイチモンジチョウが大好きだ。

 初夏。林も草原も緑一色。それこそ森羅万象、はつらつとした緑に包まれる、という感じだ。そこを焦げ茶色の地色に、純白の一文字模様が鮮やかなイチモンジチョウが舞う。緑色、焦げ茶色、白色。この3色のコントラストが、こどもだったわたしの心を奪った。

 昆虫採集に行ったとき、林の周辺をイチモンジチョウが飛んでいるのを見ると、虫網を振ることも忘れ、優美な姿をボーッと見入ったものだった。三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだ。わたしは、いまも同じ理由でイチモンジチョウが好きなのだ。

 とにかく、初夏のイメージが強いチョウだ。わたしにとっては、イチモンジチョウといえば初夏、初夏といえばイチモンジチョウなのだ。粋な衣装、名も粋だ。でも、飛び方は決して粋ではない。スイッ、スイッ、スイッと飛翔が落ち着きない。なんだか、飛び方が下手に見えるが、それもご愛敬。

 本当に初夏のチョウなのだろうか。初夏のイメージなのだろうか。すこし心配になり、自分で撮影したこのチョウのスライドを調べてみた。新鮮な個体は6月28日(岩木町)、6月29日(小泊村)、7月1日(同)、7月6日(同)、7月20日(青森市)に撮影したもの。古い個体は7月24日(十和田市)、9月3日(青森市)、9月12日(同)。新鮮個体は初夏のもの。やっぱりイメージ通りだった。

 このチョウは幼虫時代、風変わりな行動をする。幼虫は、食草のスイカズラやタニウツギなどの葉の先端部に、自分が排泄した糞を固めて塔状の突起物を積み上げる。“糞塔”を誇示し「ここは、我が輩の縄張りだ。浸入するな」と主張しているのだろうか。何かの本にそう書いてあったのを思い出す。だが、わたしは、この奇怪な“糞塔”をまだ見たことがない。

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