あおもり昆虫記
ミドリヒョウモン

 どういうわけか、ミドリヒョウモン(緑豹紋)を見るとわたしは、栗の花を連想する。栗の花にミドリヒョウモンが吸蜜に来るのを、わたしは見たことがない。では、なんで連想するんだろう−。不可思議さといら立ちを感じ、本棚にぎっしり並んでいる虫の本を引っぱり出し調べてみた。

 わたしが小学校4年の時に父が買ってくれた図鑑に、その記述があった。

 「ミドリヒョウモンは、むせるような栗の花盛りを待ちかねたように、造花のような花房に群らがる」と。

 多分、この記述が少年時代のわたしの脳裏に強く焼きついたのだろう。そして、出典元を忘れてもミドリヒョウモンを見ると、栗の花をキー・ワードのように頭に浮かべるようになったのだろう。三つ子の魂百まで、である。

 ヒョウモン類の羽の表は、どれも橙色の地に黒点の豹模様。羽の裏の模様で区別する。ミドリヒョウモンは裏地に緑の太い縞があるため、この名がついた。ヒョウモン類の中で最も多く目につくチョウだ。ヒョウモン類は高原に多いが、このチョウは、山道でよく目にする。

 普通種だが、謎が多い。7月ごろ成虫になり、暑い夏を避けるため夏眠し、秋に再び姿を現す。再登場した時は、鮮やかな橙色が褪め、羽がところどころほころびている。写真は、青森市のみちのく有料道路から入った林道沿いの花に群らがっているチョウたちを撮ったものだが、季節は秋。どれもみんな、羽がほころびている。だが、どんな場所で夏眠するのだろう。見たこともないし、聞いたこともない。

 産卵も変わっている。普通、親は幼虫の食事に卵を産む。ところがミドリヒョウモンの親は、木の幹などに所構わず卵を産む。コケや土の塊にも産むことがある。なぜ、子のことを考えないのだろう。いや、この方が子に有利なのだろうか。じゃあ、なぜ有利なのだろうか。ふ化した幼虫は、どうして食草のスミレ類までたどりつくことができるのだろう。疑問は尽きない。

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