あおもり昆虫記
ミスジチョウ

 羽の3本の白い線が美しい。だから三筋蝶だ。青森県には類似したチョウでこのほかコミスジ、オオミスジがあるが、このミスジチョウは、その中間の大きさに相当する。

 この3種とも焦げ茶色の地に三筋の白い模様は粋で美しい。ミスジの仲間を見るたびにわたしは、不思議に思うことがある。写真のように羽を開いて止まっているとき、白い筋がきれいに3列になっていることが不思議でならない。なぜなら、標本をつくるため展翅をすると、前羽と後羽の白い筋がつながらなくなるからだ。前羽と後羽の白い筋がつながり、きれいな三筋模様をつくるのは、生きて羽を開いているときだけにしか見られないのだ。なんという自然の造形。ミスジの仲間を見るたび不思議に思い、感心する。

 ミスジチョウは、北海道から九州まで分布しているわりにはもともと数があまり多くなかったが、近年、南の地方ではその数がめっきり少なくなり、珍チョウといわれるまでになってしまった。幼虫のえさはヤマモミジなどモミジ類だ。どこにでもある食樹だが、チョウはなぜ少なくなったのだろうか。

 幼虫の食草・食樹が普通種でたくさん生育しているのに、それに依存する昆虫が激減している、というのはミスジチョウに限らず、しばしばあることだ。問題なのは、食草・食樹のほか、その昆虫が生き延びていくのに必要な別の要素があるはずで、その要素の変動が原因でチョウの消長が引き起こされているのだろうが、わたしたちは、その要素が何なのか分からないことなのだ。

 青森県では小泊村や市浦村など津軽半島の日本海側の渓流沿いのほか、岩木山麓、梵珠山、白神山地などで比較的よく見られる。2002年6月、白神山地の奥赤石川林道を歩いていたら、羽化したばかりのきれいなミスジチョウが道に舞い降り、水を吸っている姿を見ることができた。意外にあっけなく見られたため、珍チョウと言われているのが信じられないほどだった。

 とはいっても、ふだんは高いところを飛んでおり、なかなか姿を見ることができない。。やはり珍チョウと言うべきなのだろう。

>>写真はこちら

タテハチョウの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

HOME