あおもり昆虫記
スジグロシロチョウ

 白いチョウがひらひら飛んでいる姿を見ると、10人中9人、いや1万人中9999人までもが「あっ、モンシロチョウだ」と思うはずだ。

 チョウに興味が無い人であれば間違うのも無理はないが、実は人目に触れる白いチョウの多くはスジグロシロチョウだ。きわめて近縁の種にエゾスジグロシロチョウがある。

 この普通種スジグロシロチョウが近年、環境学者たちの関心を集めている。「ふつう、人里にいるのはモンシロチョウ、山手にいるのはスジグロシロチョウと棲み分けがされていたが、最近は人里でもスジグロシロチョウが多く見られ、棲み分けが崩れてきている」というのだ。

 モンシロの食草はキャベツなどのアブラナ科植物。スジグロは野生のアブラナ科植物。つまり、ちょっと前までは自家用野菜として庭にキャベツを植える人が多く、このため人里にモンシロが見られたのだった。しかし、自家用野菜があまりつくられなくなり、おまけに土地造成が進みスジグロの食草が人里に進出したため、スジグロが侵略してきた−という図式だ。

 もっとも、こういう説もある。その昔、日本ではスジグロが勢力を誇っていたが、キャベツが江戸時代末期に欧州から入ってきたのに伴い、モンシロが人里で飛ぶようになり、スジグロは山手に追いやられた、というのだ。しかし、いま再びスジグロが勢力を伸ばしているという話を聞くにつけ、時代は繰り返す、との思いを強くする。

 スジグロの都会進出がとやかく言われているのは東京など都市部でのこと。青森県では人里に山や原野が迫っているため、モンシロとスジグロが混在し、昔から人里でスジグロが飛んでいる。とはいっても、キャベツをつくる家庭がほとんどいなくなったため、モンシロが以前と比べかなり減ってきていることは事実で、青森県でも都会と同じ現象だ。

 スジグロの雄は、臭いの強い鱗粉を持ち、これで雌をおびき寄せる。子供のころわたしは、虫網にスジグロを入れるたびに臭いをかぎ、「あっ、臭っている」と無意識のうちに確かめるのが癖だった。

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