あおもり昆虫記
モンキチョウ

 シャッターチャンス。昆虫の写真を撮っていると、「いまシャッターを切ると良い写真が撮れるぞ」と思う場面に時々巡り会う。でもそのとき、実際にシャッターを切ることができる回数はほとんどない。虫たちは動き回り、チャンスをものにしよう、とカメラを構えたときには、すでに機を逸していた−ということばかりだからだ。そして、辛うじてシャッターを切っても、まともな写真は撮れていなかった、という悲惨な結果となる。

 1986年、わたしは1000コマ以上の虫の写真を撮ったが、シャッターチャンスをとらえた写真は1枚しかなかった。それが、このモンキチョウの写真だった。

 時は9月、場所は津軽半島北端の今別町高野崎。わたしは虫の撮影に行くとき、50ミリと100ミリのレンズをつけたカメラを2台用意することが多く、そのときも2台持ってきていた。100ミリをつけたカメラで、あるチョウを取り終え顔を上げたら、目の前でモンキチョウの雌雄が求愛飛翔をしていた。まさに目の前。まさしくシャッターチャンス。だが、そのとき手にしていた100ミリレンズでは画角が狭すぎて無理。そこで、そばに置いていた50ミリレンズ付きのカメラに慌てて持ち替え、反射的にF8、10mにセットして、すかさずシャッターボタンを押した。

 もう1枚撮ろうとしたが、チョウははるか向こうに飛んでいってしまい、あきらめるよりほかはなかった。わたしはこの虎の子の1枚に全く期待していなかった。だが、仕上がりは予想を裏切る出来となっていた。

 前を飛ぶ黄色いチョウが雄、後ろの白色が雌だ。雄が、交尾しよう、と飛びながら雌を“通せんぼ”し、どこかに止まらせようとしているところだ。雌の前に立ちふさがり、「ぼくは君と同じ仲間だ。羽の模様や臭いで分かるだろ。だから交尾しよう」と誘っているのがこの図なのだ。

 あれから15年以上たった。カメラが上達しないわたしは、それ以後、シャッターチャンスに敏感に反応して撮影できたことはまったくない。

>>写真はこちら

シロチョウの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

HOME