あおもり昆虫記
ウラナミアカシジミ

 ウラナミアカシジミ(裏波赤蜆)の裏羽の模様は、デジタル数字の「8」と同じ、といったら「ん?」と思われるかもしれないが、考え方は全く同じなのだ。

 デジタル数字の8は、0から9まで10種類の数字すべてを表記できる要素を持っている。デジタル時計を見れば、その意味は分かると思う。ウラナミアカシジミの羽の裏の模様は実は、シジミチョウの裏羽の模様のパターンを、すべて包含している、といわれる。その意味で、デジタルの「8」と同じ、というわけだ。

 それにしても見事な“シマウマ模様”(ハイカラに言うとゼブラ模様)だ。波状の線がきれいに10本並んでいる。このシマウマ模様にひそむデジタル理論を以下に紹介してみると−。

 数多いシジミチョウの裏羽の模様は千差万別で、一見、法則が無いように思える。しかしよく見ると一定の法則がある。その基本パターンは、縦の線か縦の点列の2種類。このうち点列は、線が分断されたもの、と考えられるため、シジミチョウの模様の原型は縦の線、と集約することができる。つまり、シジミチョウのさまぎまな模様は、元をただせば、みんな同じ、ということになる。

 さて、ウラナミアカシジミの線模様を何本かまとめたり、つないだり、あるいは取り去ったりすると、シジミチョウの裏ばねの模様のほとんどを作り出すことができる、という。要するに、ウラナミアカシジミの模様は、シジミチョウの模様の原型−すなわちデジタル「8」ということができる。

 青森県では、コナラ林にいる。夕方に乱舞する、という話をよく聞くが、わたしは、まだ見たことがない。が、早朝、群れになってとまっているのを見たことがある。1983年7月上旬の岩木山麓。朝5時ごろ、ナラ林の下草に無数のウラナミアカシジミがとまっていた。カメラを向けると1コマに5〜6匹も入る。チョウたちは、このようにして夜を過ごしたのだろうか。だとしたら興味深いことである。

 この光景は夢か幻だったのだろうか、と今思う。

 弘前市のチョウ研究家のKさんによると、アカシジミ同様、このウラナミアカシジミも岩木山麓からほとんど姿が見られなくなった、というのだ。なぜなんだろう。Kさんも首をかしげる。

 いっぱいいたときは、ほとんど目を向けることがなかったチョウだが、いなくなったら急に気になるチョウになった。が、それでは遅いのだ。いっぱいいるときから目を向け、生態を追っていればよかった、とすこし後悔している。

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