あおもり昆虫記
ルリシジミ

 日本のチョウの中で最も普通な種はヤマトシジミ、次いでルリシジミといわれている。このうちヤマトシジミは青森県にはいないから、ルリシジミは多分、青森県で一番多く飛んでいるチョウだ。

 庭先に、草原に、そして山道にも、つまりどこにでもいるチョウだ。スカイブルーの羽をちらちらさせて飛ぶ姿は、チョウに興味の無い人でも「あっ、かわいいな」など好ましく思い、記憶にとどめているはずだ。

 これほどの普通種であればマニアたちは「採集してもしょうがないや」とばかにして相手にしないが、その割にはマニアたちからも温かい目で見られているチョウだ。

 というのは、蛹で越冬し、春真っ先に姿を見せるチョウだからだ。成虫で越冬するキタテハやスジポソヤマキチョウも春、真っ先に飛ぶが、羽の色はさめ、昨秋の名残を強く感じさせる。が、ルリシジミは春に生まれ、鮮やかなスカイブルーの新鮮な姿を見せてくれる。だから虫好きたちは、このルリシジミを見てようやく本当の春を実感する。

 なぜルリシジミがこれほどまでにも勢力を広げたかというと、それは幼虫と成虫のえさに関係している。まず幼虫はハギ、クズなどマメ科食物の花や実を食べる。イタドリなどの花も食べるといわれる。これらの植物はどこにでもある。とくにクズは、ありすぎて蛇蝎のごとく嫌われている。幼虫のえさに事欠くなんてことはありえない。成虫にしても花の蜜のほか獣糞もえさにする。このえさの幅広さが、どこにでも生息できる要因となったのだろう。ひとことで言うと、かわいい姿をしていても、したたかで逞しいチョウなのだ。

 ところで、ルリシジミには春型と夏型があり、それぞれ羽の模様が微妙に違う。何が原因で2種類の型が現れるのだろうか、と疑問を感じた青森県職員Tさんは弘前大学に在学中、卒論で研究した。答は、幼虫の時、日照時間が14時間半より長いと夏型になり、それ以下だと蛹で越冬し春型になるという。その分岐点は青森県の場合、8月上旬に当たるという。多くの人は、そんな研究をやって何になる、というかもしれないが、研究とはそういうもので、その積み重ねがいずれ何かの役に立つ。

>>写真はこちら

シジミチョウの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

HOME