あおもり昆虫記
ツバメシジミ

 わたしが生まれて初めて観た映画は「宮本武蔵」だった。いつ、どこで、誰に連れられて観たのかは全く記憶がない。ただ言えることは、もの心つくかつかないか、のころに観たということだけだ。無論、ストーリーなんか、これっぼっちも覚えていない。覚えているのはラストシーンだけ。

 かなり遅刻してボートでやってきた宮本武蔵がダダダダッと砂浜を走り、佐々木小次郎の長い刀をものともせず、バッと跳び上がり、ボートのオールで小次郎の頭をゴン。武蔵のはちまきがはらりと落ち、小次郎は「ムフフフフ」とブキミに笑うがその瞬間、小次郎は、口から血(白黒映画だから黒く見えた)を流しドタッと砂浜に倒れ、完。最近、大の映画好きの友人から聞いて知ったことだが、この映画の配役は武蔵が片岡千恵蔵、小次郎は東千代之介だったという。

 とにもかくにもこのラストシーンは印象的で、その後わたしたち腕白小僧のちゃんばらごっこは、ひたすら武蔵対小次郎。ところが、わたしの相手たちもこの映画を観て、二刀流にしびれたらしく、「二刀流の武蔵をやるんだ」と主張して譲らない。そこでしょうがなく、小次郎抜きの二刀流同士という「異説・厳流島の対決」なるちゃんばらをやって喜んだものだった。

 わたしにとってツバメというと、JRの特急でもなく、野球の金田正一でもない。ましてや野球の古田でも高津でもない。小次郎のツバメ返しがピピピピッと頭に淳かぶ。武蔵の二刀流や、オールでゴン、も印象深かったが、小次郎のツバメ返しは強烈な印象をわたしに与えたらしい。

 ツバメシジミは、後ばねにツバメの尾のような突起があることから名付けられた。もっとも飛び方は、ツバメのように素早くはなく、地面に近いところをちょこまかと飛ぶ。小次郎のように格好良くはない。

 その代わりといってはなんだが、非常に美しく、小粋な感じがするチョウで、なかなか好ましい。

 このチョウは、荒れ地の草むらを好む。人間が開発でつくり出した荒れ地にも入り込み勢力を伸ばしている。食草のシロツメクサ(クローバー)やハギなどマメ科植物が荒れ地に侵入しやすいため、このチョウも植物の勢力拡張に同調し荒れ地にいる、という構図だ。チョウが飛んでいるから自然度は高い、と短絡的に考えると、大きな過ちを犯すことになる。

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シジミチョウの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

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