あおもり昆虫記
エゾミドリシジミ

 昆虫好きの中で、一番人気はチョウだと思う。カブトムシやクワガタムシが好きな人もいるが、“チョウ愛好人口”にはかなわない。トンボファンやカミキリムシファンも多いが、チョウに比べたらとてもとても…。そのチョウの中でも、最も人気を集めているのが、ゼフィルスと呼ばれているミドリシジミの仲間だ。

 小さいけれどとにかく美しい。雄のきらびやかな金緑色の鱗粉が、陽光に輝いているのを見ると、ぞくぞくしてくる。チョウにあまり執着しないわたしですらこうなのだから、チョウ狂いとなれば、入れ込みぶりは、想像を絶する。

 傷一つ付いていない標本を手にするため、卵を採集し幼虫を飼育して羽化させる。わたしも中学生や高校生のころ飼育したことがあるが、こうして羽化したチョウは感動するくらいきれいだ。が、けしからんのは、卵を得るため、食樹ごと伐採してしまう輩だ。これは完ぺきに自然破壊だ。

 閑話休題。

 ひところ、ミドリシジミの仲間が飛び交うのが見たくて、毎日早朝、産地の岩木山に足を運んだものだ。そのとき、乱舞・郡舞していたのはジョウザンミドリシジミだった。活発に飛び交うジョウザンミドリシジミとは違い、静かに羽を広げひなたぼっこをしているチョウが1匹いた。それが、このエゾミドリシジミだった。ジョウザンミドリシジミと酷似するが、後表羽の黒縁の幅がジョウザンよりエゾの方が太いことで区別できる。

 津軽昆虫同好会が東奥日報社から「青森県の蝶たち」を出版したとき、エゾミドリシジミの項で、この写真が使われた。「エゾミドリシジミの、このように羽をいっぱい開いた美しい写真はそう撮れるもんじゃない」と同好会の面々が言い、この写真を採用してくれた。わたしはすこしいい気持ちになったものだった。

 ミドリシジミの仲間の幼虫は、ミズナラ、カシワなど樹木の葉を食べる。このエゾミドリシジミの食樹はミズナラだ。優れた用途があまりない、雑木林を構成する樹木が食樹なのがゼフィルスの悲劇。今、これらの木がどんどん伐採され、杉に置き替わっているのを見るにつけ、ミズナラに依存する虫たちのことを思い暗澹とした気持ちになる。

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シジミチョウの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

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