あおもり昆虫記
ユウマダラエダシャク

 「♪アカトンボ、羽を取ったらトウガラシ…」という、「あのねのね」の歌が以前、はやったことがある。ではその逆。「シャクトリムシ、親になったら何になる…?」。答えはガ。もう少し詳しく言えば、シヤクガ科のガになる。

 毛虫・芋虫などという、言葉の響きだけで鳥肌・じんましんができる人がいるが、毛虫・芋虫が全部、毛むくじやらでモコモコ動くものばかりではない。毛がなくて細身の体、体の色もなかなかカラフル、というシャクトリムシは、通常いわれている毛虫・芋虫とはかなり趣を異にする。

 とはいっても、生理的に嫌いな人にどう説明しても無駄なことは分かっている。嫌いなものは嫌いだから。が、わたしはこのシャクトリムシが好きだ。何しろ、あの、指で尺を計るようなユーモラスなΩ型の動きは、わたしにとって、たまらなく愛らしいものに見える。

 シャクトリムシはなぜ、Ω型に歩くのだろうか。その理由は、腹足が少ないことによる。普通の毛虫は、ごく小さい六本の足が、頭の近くにちょこんと付いているほか、腹にたくさんの太い“足”が付いている。成虫になると無くなる足だが、この腹足を全部動かして歩くため、毛虫の歩行はモコモコしているように見える。ところがシャクトリムシの場合は、腹の真ん中の腹足のいくつかが退化しているため、体の前と後ろでしか物につかまることが出来ない。だから、Ω型歩行になるわけだ。なぜそのようになったのかは、神様だけが知っている。

 シャクトリムシの仲間は数多い。その中のひとつユウマダラエダシヤク(夕斑枝尺)は、生け垣によく用いられているマサキ、ニシキギ、コマユミなどを食樹にしているため、市街地やその近くの雑木林でよく見ることができる。

 日中も活動するが、主に夕方から夜にかけて活動し、電灯にも飛来する。日中、このガは日が当たらない場所で、羽を開いてペったりと葉に張り付くようにして止まっている。近付いても逃げない昼行灯。飛ぶときもゆらゆらと頼りなげに飛ぶ。思わず、頑張れよ、と声を掛けたくなるようなガだ。

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