あおもり昆虫記
ダイミョウセセリ

 このチョウの学名(属名)はDaimio。つまり、大名なのだ。外国人が1857年に命名したものだが、彼は多分、カミシモを着て正座する江戸幕府の高官をイメージしたに違いない。そう思ってこのチョウを見ると、カミシモのように見えてくるから不思議だ。白い紋はさしずめ家紋か。

 雑木林の明るいところを飛び、葉の上に羽を開いて止まる。その姿がカミシモのように見えるのだ。驚いたりすると、たまに葉の裏に止まることがある。そのときも羽を開いて止まる。

 このチョウは関東型と関西型がある。関西型には後羽に白い帯模様があるが、関東型には無い。青森県にいるものは、もちろん関東型だ。その境は福井県と三重県を結ぶ線というから興味深い。フォッサマグナで分布が分かれているのだろうか。なぜそうなのか、よく分かっていない。

 関東武士と京侍といわれるように、大名や武士団もそれぞれ個性を持っているが、このチョウも関東型と関西型があり“個性”がある。やっぱり、ダイミョウセセリという名がふさわしいのかな、と思ったりもする。

 このチョウは、葉の上に落ちた鳥の糞が大好物で、糞を吸っている姿がよく見られる。人によって食べ物の好みが全く違うように、チョウの世界も好物が違うようだ。

 チョウの母は普通、卵を産みっぱなしにする。が、このチョウは卵を産んでから体毛をその表面にこすりつける。外敵から守るカムフラージュだ。子育てをしないことに対するせめてもの償いなのだろうか。

 雑木林の小径を歩いていると、やたらランダムにめちゃくちゃ飛んでいるチョウを見ることがある。猛スピードでぐるぐる飛んでいる。これはきっとダイミョウセセリに違いない、と思って見ていると、やっぱりダイミョウセセリ。葉の上に羽を目一杯広げて止まる得意?の止まり方を見ると、なんだかほほえましく思える。でも、あの“ランダム飛び”の理由はなんなのだろうか。

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