あおもり昆虫記
ウスバシロチョウ

 シロチョウという名がついているが、れっきとしたアゲハチョウの仲間だ。モンシロチョウと姿は似ているが、分類では全然違うチョウだ。

 ウスバシロチョウの仲間はパルナシウスと呼ばれ、チョウのコレクターに非常に人気がある。なぜ人気があるのか−。氷河時代の生き残りといわれる神秘性、清楚な美しさ…と理由は多いが、わたしは、半透明の羽が人気の秘密ではないか、と思う。モンシロチョウのように不透明であればおもしろくない。この半透明というところが、なんともあやうくエレガントで純情無垢…もちろん個人的意見だが、わたしはそう思う。

 さて、ある年わたしは、ウスバシロチョウの写真を撮ろう、と思い立った。青森市の野内川上流であれば、どこにでもいる−とものの本に書いてあるのを読み、早速出かけた。確かにいた。しかし、ちっとも止まってくれない。この年は何回か挑戦したが、結局は1枚も写真を撮れなかった。

 翌年、捲土重来を期して、再び出かけた。しかし、この年も飛んでいるのをただ指をくわえて見ているだけだった。優美な飛翔から“6月の花嫁”などと呼ばれたりもするが、あんまり撮れないため「なにが花嫁だ」と毒づいたりもした。

 翌々年、半ばあきらめ、ほとんど期待しないで出かけた。世の中おもしろいもので、その気無しで行ったら、わんさといて、花の蜜を吸っている姿の写真を楽々撮ることができた。実に3年もかけてやっと撮影できたわけだが、無欲で出かけたため特別な感慨は沸かなかった。要は、セリ科植物の花の咲いている時に行けばいいだけの話だったのだ。

 このチョウは卵のまま夏、秋、冬と過ごし、雪解け直後に孵化し食草にありつく。ずいぶん悠長な話だが、食草のエゾエンゴサクは春にしか姿を見せない野草。夏には枯れてあとかたもなくなるため、春に孵化しなければ飢え死にしてしまう。食草の都合に合わせ一年のほとんどを卵で過ごす−すごい話ではある。

>>写真はこちら

アゲハチョウの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

HOME