あおもり昆虫記
オオカマキリ

 カマキリは、人間にどうも良くないイメージを与えているようだ。だいいち三角形の顔つきが陰険だ。カマだって面妖だ。子供たちの手ごろな“遊び道具”として人気はあるが、カマキリを心底好きな人は、変態っぼい、と思われがちだ。

 カマキリの雌は交尾中、雄を頭からムシャムシヤ食べるという話は、広く知られている。かつて、妊娠中の栄養をつけるため雄を食べる、と言われてきたが、だいぶ前に、雄は頭を食べられ、ある神経を切断されることによって射精が行われる、という“チン説”が登場している。にわかには信じがたい説だが、学界では結構受け入れられているようだ。

 とは言っても、わたしはまだ、カマキリの“共食い現象”なるものを見たことがない。1980年ごろ、青森市横内の草むらで、オオカマキリの交尾を観察したことがある。いまに雄を食べるぞ、と期待したが、一向に食べるそぶりを見せず、悠々と交尾をしていた。結局共食いをせず、“普通の交尾”?に終始したため、いささか拍子抜けの感じだった。

 カマキリ、というと、誰でも経験することを、わたしもした。小学校3年ごろの秋。十和田市の今の市役所が建っているあたりから、オオカマキリの卵塊を採集し、そのまま部屋の片隅に放り投げ、その存在を忘れてしまった。1つの卵塊に卵約300個が詰まっているという。

 秋が過ぎ、冬も峠を越え春が近くなったころ、部屋をのぞいた母が素っ頓狂な声をあげた。忘れ去られていたカマキリの卵がかえったのだった。卵塊から数珠つなぎになってぶら下がっているカマキリの幼虫のかたまり!

 気味が悪いほどウジャウジャといた。が、よく見ると、その美しさに感動した。クリーム色で透き通った体、黒い目。そして、生まれたばかりのチビのくせに、いっちょう前にカマを振りかざし、わたしを威嚇する−。金しばりにあったように、わたしは生命の誕生を見続けた。

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