あおもり昆虫記
トワダオオカ

 青森県には、他に自慢できるさまざまな「日本一」がある。白神山地ブナ原生林、三内丸山遺跡、リンゴ生産、ねぶた、青函トンネル…。これらはメジャーだが、長芋、ニンニク、食用菊、ナタネなども日本一だ。

 このトワダオオカは、日本一大きい蚊。その名も大蚊。しかもこの名誉ある虫の名の冠に「トワダ」を抱いているのだ。青森県か秋田県かは分からないが、この虫が最初に発見されたのが十和田湖周辺だったため、トワダオオカという名がついた、という。

 これはすごいことなのだ。虫の種類は星の数ほどあるが、日本一の虫が、青森県ゆかりの名をつけているのは、この虫しかわたしは知らない。

 虫そのものもすごい。なんてったってバカでかい。体だけで1cm以上。足を伸ばすと4cmにもなる。夏、眠りに入ろうとしたときに耳元にプーンと飛んでくるあのアカイエカの2倍以上ある。初めて見つけたときは、とにかくでかさに仰天絶句する。

 それでいて青、金、銀色の美しい鱗粉を身にまとっている、およそ蚊らしくない蚊だが、止まる姿勢は蚊そのものだ。

 読むだけで体がむずがゆくなる椎名誠の「蚊学ノ書」には、世界の凶暴蚊が、これでもかこれでもかと登場するが、トワダオオカが人を刺したらたまらない。しかし心配はご無用。この蚊は、雄、雌とも花の蜜を吸うだけの優しい蚊なのだ。

 ヤブカは、幼虫時代は草食だが、成虫になると人を刺す。トワダオオカはその逆で、幼虫時代にそのヤブカの幼虫を食べる。蛹になるまで蚊の幼虫を300匹も食べるという。その食性を利用して、トワダオオカが“生物農薬“になりうるかどうかを研究している学者もいるという。人さまざまだ。

 この蚊は、原生林にすむといわれている。が、知人のTKさんは津軽半島で数10匹見ており、わたしも青森市のみちのく有料道路のそばで見つけた。原生林が少なくなつたため分布を広げているのか、以前からあちこちにいるのにだれも気づかなかったのか。気になるところだ。

>>写真はこちら

カの仲間 | あおもり昆虫記インデックス

HOME