あおもり昆虫記
ハナアブ

 ハナアブが花にとまって蜜を吸っているのを見ると、おそらくほとんどの人は、「あっ、ハチだ」と言って騒ぎ、及び腰になるだろう。

 確かに体の縞々模様は、ミツバチのそれとよく似ている。わたしは小学校低学年のときから、この“ミツバチもどき”がハナアブといって、ハチのようにお尻で刺さないし、ウシアブのように口で刺さないことを知っていた。だから「ハチだ」と騒ぐ人の前でハナアブを指でつまみ「これはハナアブ。ほら、刺さないでしょう。ハチははねが四枚あるけどアブは二枚。違うでしょう」と幾度となく説明してきた。まあ、小生意気なガキではあった。

 すると相手は「確かにそうだけど…」と言い、一応分かったような口ぶりをするが、決まって「えーっ! まさか。にわかには信じられない」とでも言うような疑わしい視線をわたしに向ける。もちろん、指でつまんで刺さないことを確かめようとする人は絶無だ。

 学者は、「ハナアブはミツバチに凝態している」と説明する。つまり、武器を持っているミツバチに似せ、身を守ろう、というわけだ。しかし、わたしはこれを信じない。進化というものは意思で行われるものでないし、そんな単純なものではない。ハナアブの模様がたまたまミツバチの模様と似ていた、と考える方が自然だし、そうだと思う。生物の行動、形態を、イソップ物語のように、あまり、人間レベルの視点で分析すべきではない、と思う。

 写真で、アザミの花にとまり蜜を吸っているのがハナアブ、そして左から飛んできてアザミの花にとまろうとしているのがミツバチ。同じに見えますか?それとも…。ハナアブとミツバチが一つのコマに収まっている珍しいショットだ。自分で言うもの変だが、このようなショットはなかなか撮れない。貴重な写真だと思う。

 「虻蜂とらず」という言葉がある。あれこれ狙って一つも取れない−という意味だが、その語源はハナアブとミツバチでは…と思いたくなる。ハナアブをとろうかミツバチをとろうか迷っているうちに、区別がつかなくなる−はて、さて。

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