2003年4月19日(土) 東奥日報 ニュース


■ 「縄文時遊館」国重文常設できず

写真  青森市の国特別史跡・三内丸山遺跡の出土品千九百五十八点が三月、国重要文化財に指定答申されたが、これら出土品は今後、遺跡内の展示室やビジターセンター「縄文時遊館」には常設展示できないことが十八日分かった。博物館機能がなく、重要文化財を安全に保管するための防災や盗難対策が十分でないというのが理由で、今後、遺跡から離れた県立郷土館(同市本町二丁目)に展示される。

 三内丸山遺跡を訪れる見学者は年間約三十万人。縄文ポシェットなど同遺跡見学で人気のある遺物も移設されるだけに、見学客は遺跡と郷土館の二カ所に足を運ばなければならない不便が生じる。

 三内丸山遺跡の出土品はこれまで、遺跡内の展示室と倉庫、同市松原にある県教委三内丸山遺跡対策室分室の三カ所で保管されてきた。これらの場所は火災報知器などは備えているがプレハブ造りのため、文化庁から「国重文を保管するには耐火や耐震、盗難などを防ぐ設備が十分でない」との指導があった。

 昨年約四十億円かけて開館した「縄文時遊館」も同じく収蔵、常設展示できない。計画段階から県土木部都市計画課が管轄する、見学者のためのビジターセンターとして位置付けられ、体験コーナーや休憩所などは充実させたものの、室内温度や湿度を一定に保つことが求められる展示設備や保管庫を持つ「博物館」機能がないないためだという。

 このため、重要文化財指定の出土品は県立郷土館に収蔵する。同館は六月の特別展で公開するほか、コーナーを常設して展示していく。遺跡に足を運んでも国重文が見ることができなくなることに、不満の声が上がりそうだ。

 さいたま市から訪れていた松島真美さん(56)は「出土品はやはり、遺跡の中でその空気を感じながら見たい。よほど興味がないと二カ所は行かないと思う」と残念がる。大阪市からの団体客たちは「盗難も多いし、物騒な世の中だから仕方ないのでは。でも、こんな大きくて立派な建物に保管場所がないとはね」と、縄文時遊館を見ながら話していた。

 これに対し、県教委三内丸山遺跡対策室は「貴重な資料を後世に伝えていくために、厳重な保管体制は必要。指定されていない中にも貴重な遺物は数多くあり、引き続き展示室で公開していく」と話している。

 三内丸山遺跡の整備については、一九九八年にまとめられた基本計画に、現在の縄文時遊館に当たる「公園センター」とともに、学術研究と展示品収蔵の拠点「縄文センター」(仮称)の設置が盛られている。ただ、縄文センターは構想段階にとどまる。

※写真は三内丸山遺跡の展示室。国重要文化財は常設展示されなくなる

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