2001年7月23日(月) 東奥日報 ニュース


■ ITER誘致めぐり県議会全員協

 県議会は二十三日、全員協議会を開き、むつ小川原地域への国際熱核融合実験(ITER)炉誘致問題を協議した。県側が、ITERから出る低レベル放射性廃棄物の地元処分や、建設用地の無償提供の方針を説明したのに対し、野党会派は、県民への説明不足を指摘したが、自民、政風会は県の方針に賛意を示した。木村知事は終了後「大半は誘致すべきとの前向きな意見」と述べ、県民の理解を得たとの認識を示した。

 知事は、全員協議会での議論に加え、十九日の原子力政策青森賢人会議でもITER誘致そのものに対する反対意見はなかった−として、二十七日までに国へ提出する誘致提案書は「当然出す」と明言した。

 自民の中山安弘、山内崇の両議員と斗賀寿一議員(政風会)は、県の方針に賛成の立場からITERから出る低レベル廃棄物に含まれる高ベータ・ガンマ廃棄物について質問。県側は「廃棄物処分は研究地点で行うのが普通の考え方。国への提案書にもその旨、明記したい」と、国に対し県内処分の考えを強調する意向を示した。

 一方、誘致反対の立場から高橋千鶴子(共産)渡辺英彦(社民・農県民連)鹿内博(無所属)の三議員が(1)高ベータ・ガンマ廃棄物の管理期間(2)立地用地の無償提供(3)廃棄物処分施設の管理主体−などを含め、県民への説明不足を指摘した。

 これに対し県側は「管理期間は三百−四百年」「用地の無償提供は、誘致が実現すれば予算審議してもらう」「処分施設の管理は国際法人の責任で検討される」と答えた。県民への説明も「賢人会議や県議会全員協など、提案書の提出期限を前に限られた時間の中で努力している」と理解を求め、提案書提出後に県内六地区で説明会を開く考えを明らかにした。

 木村知事も会議終了後「反対意見は極めて少数で、全体的に理解が深まっている。反対意見も尊重し、県民が理解を深めるよう努力を続けていきたい」と述べ、理解活動を続ける意向を示した。

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<解説>

 ITER(国際熱核融合実験炉)が排出する低レベル放射性廃棄物の県内処分について、県は県議会全員協議会と十九日の県原子力政策賢人会議で「県の方針は県民に理解された」との解釈を示した。しかし実際に廃棄物を受け入れることになる地元・六ケ所村の村民は、県の方針について何の説明も受けていない。

 県が高ベータ・ガンマ廃棄物を含む低レベル廃棄物の地元処分の方針を打ち出した背景には、国が立地地域の「国内調査条件」の一つとして求める「廃棄物処分への地元住民の理解と協力」がある。県は賢人会議と県議会全員協で理解を得ようとしたが、賢人会議では県側の説明不足を訴える意見が続出、全員協でも結論ばかりを急ぐ姿勢に批判が出た。

 一方、六ケ所村では、村議会が六月定例会でITER誘致に関する意見書を採択したものの、県が低レベル廃棄物の地元処分の方針を公表したのは議会終了後。村議会など村民はこれまで、県から地元処分の方針について説明を受けていない。

 同村では、日本原燃が高ベータ・ガンマ廃棄物の処分施設立地へ向けた予備調査を行っているが、村議会は「高ベータ・ガンマ廃棄物は低レベル廃棄物と認めない」との立場。これは、ITERが排出する高ベータ・ガンマ廃棄物も低レベル廃棄物として処分することは認めない−との考え方につながる。

 同村議会は二十六日に全員協議会を開催し、ITER廃棄物の処分について話し合う予定。一方、木村守男知事は二十三日の全員協議会終了後、国へ誘致提案書を提出する考えを表明した。立地村の意向を確認しないまま立候補の意向を示す県の対応には、誘致の方針ありきの“見切り発車”では−との批判が集まりそうだ。

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<議員の主張要旨>

 ITERの低レベル放射性廃棄物受け入れ問題を中心にした二十三日の県議会全員協議会で、質疑に立った議員と公明会派の主張の要旨は次の通り。

▽中山安弘議員(自民) 本県への誘致は、世界の人類全体への大きな貢献となる。設置県となるための対応を急がなければならない。ITERの安全性、低レベル放射性廃棄物の問題は十分クリアされていると思う。

▽山内崇議員(同) 核融合の実現で、地球に優しく恒久的なエネルギー源を得る。誘致実現に向かい行動する時期だ。廃棄物の議論先送りは許されず、施設だけでなく廃棄物も受け入れるのが原則論として当然だ。

▽斗賀寿一議員(政風会) 国際協力プロジェクトに本県が協力することは有意義なこと。放射能レベルが比較的高い高ベータ・ガンマ廃棄物と、高レベル放射性廃棄物との違いを県民に分かりやすく説明してほしい。

▽高橋千鶴子議員(共産) 議決権のない協議会をもって、県議会の意見を聞いたとするのは、認められない。県民への説明もないままに、多額の支出を伴う用地無償提供や、廃棄物受け入れを表明するのはおかしい。

▽渡辺英彦議員(社民・農県民連) むつ小川原開発地域という平たんで広大な用地があるからといって、誘致はそう簡単にはいかない。軽水炉に比べてコスト高で、クリーンなエネルギーではないとの指摘もある。

▽鹿内博議員(無所属) 二十二日間という短期間では、県民の理解と合意を得られず、地方分権に反するやり方だ。開かれた分かりやすい県政と言えるのだろうか。国に、提案書提出の期限を延ばせと求めるべきだ。

▽上村武之助議員(公明=質疑には立たず) 県議会の最初の決議案を提案しており賛成の立場。今回の時間の問題は、国が期限をつけたのであり、しょうがない。県には全力で誘致を進めてもらいたい。


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