2001年7月22日(日) 東奥日報 ニュース


■ ITER廃棄物地元処分に波紋

 ITER(国際熱核融合実験炉)のむつ小川原地域への誘致へ向け、県が打ち出した低レベル放射性廃棄物の地元処分の方針が波紋を広げている。県は十九日の原子力政策賢人会議や県議会二大会派の議員総会で初めて公式に県民へ考え方を伝えたが、二十七日に迫った誘致提案書の提出期限を控え、形式的なセレモニーと受け取られかねない性急な手順に、出席者からは不満や疑問の声が相次いだ。国が条件とする「地元の理解と協力」を本当に得られたといえるのか、疑問を残したままの誘致立候補となりそうだ。

 ITERは運転開始から約二十年で廃炉となり、核融合反応で放射化した炉内構造物など約三万九千トンは低レベル放射性廃棄物として処分される。このうちの約一万二千トンは比較的放射能レベルが高い高ベータ・ガンマ廃棄物だ。県は「低レベル廃棄物全体の約四分の三が、廃炉から百年たてば普通の廃棄物と同じ扱いができるようになる」と訴える。しかし高ベータ・ガンマ廃棄物は数百年にわたり、五十−百メートルの地下に埋設、管理しなければならない。

 高ベータ・ガンマ廃棄物は通常の原発からも出るが、低レベル廃棄物の同類として本県での処分を受け入れるべきかどうかは議論が分かれている。議員総会では、与党会派の議員が「県がITER廃棄物の地元処分を決めれば、高ベータ・ガンマ廃棄物をめぐる議論が成り立たなくなる」と、拙速な意見集約を避けるよう訴えた。

 県は「国はITER廃棄物処分の指針を決めていないが、原子炉の廃炉に伴う廃棄物と同様に処分する−との考えは示している」と、ITERの高ベータ・ガンマ廃棄物も低レベル廃棄物との考えを強調した。しかし、指針もない段階で地元処分を打ち出すのは唐突−との批判は免れない。

 一方、原子力政策賢人会議ではITERの廃棄物処分について「提案書提出まで数日という段階で説明されても、論議を深められない」との批判的な声が大勢を占めた。県側は「国が地元理解を含む誘致の調査項目を示したのは今月五日だった」などと理解を求めたが、国が調査項目案を示したのは昨年十一月であり、地元理解の項目は既に盛り込まれていた。

 二十三日の県議会全員協議会では、六人の議員が廃棄物処分や建設予定地無償提供など県の方針についてただす。県議会は既に二度にわたり誘致の意見書を採択しているが、低レベル廃棄物の論議は十分だったとはいい難い。また全員協議会に議決権はない。県は国内の誘致競争に勝ち残ろうと、他の候補地より優位に立つことに腐心し、情報公開と県民への説明責任をなおざりにしたまま立候補に踏み切ろうとしてはいないだろうか。

(政経部・若松清己記者)


>>戻る

HOME