| 2001年4月3日(火) |
米軍三沢基地第三五戦闘航空団第一三飛行隊所属のF16戦闘機一機が三日午後、同基地北方約十八キロにある三沢対地射爆場(天ケ森射爆場)で対地攻撃訓練中、射爆場沖の太平洋に墜落した。何らかのトラブルによる事故とされる。パイロット一人は墜落直前に脱出。海自ヘリに救出、基地に搬送され、けがなどはなかった。また付近の人家などにも被害はなかった。同航空団所属のF16は昨年十一月に北海道松前沖の日本海で墜落事故を起こしたばかり。同航空団は記者会見で陳謝するとともに、すべての飛行運用を中止した。会見内容などによると、事故は同日午後四時二十分ごろに発生した。マーク・ハドリー中尉が操縦する戦闘機が、対地攻撃訓練のため西側から東側に向け射爆場に進入する際、何らかのトラブルが起きたという。ハドリー中尉は機体を海上に向かわせ射出座席を使い脱出、海に落ち機体も海に墜落した。海自ヘリが救命ボートで漂流していた中尉を救出、中尉は午後六時前に基地に搬送された。
同基地によると、中尉はF16の飛行時間が百時間に満たない経験の少ないパイロットで、F16の上級訓練課程を修了。事故当時は、教官パイロットと二機編隊で訓練空域における習熟訓練をしていた。中尉は通常の対地攻撃訓練をしていたが、訓練内容や無線交信内容の詳細、事故当時の飛行高度、海岸から墜落地点までの距離などは明らかになっていない。事故機は実弾ではなく訓練用の模擬弾を積んでいたという。同航空団のジェフリー・ブランチェット副司令官は同日夜、記者会見し「事故後、すぐに射爆場周辺住民のことを思い浮かべた。市民に多大な迷惑をかけたことを心からおわびしたい。地域住民が安全に生活できるよう努力することが、私たちにとっての『安全』だ」と陳謝した。 また「中尉は地上の被害が最小限になるよう留意して脱出し、海に落ちた。射撃・爆撃訓練の、どの段階でトラブルが発生したか、またトラブルの具体的な内容については現段階では分からない」と述べた。 飛行再開については機体の整備点検、隊員の再教育が終了、安全が確認された後になるとの見方を示したが、再開の時期は明言を避けた。 ◇
県総務学事課によると、F16戦闘機が一九八五年四月に米軍三沢基地に配備されて以来、これまでに発生した墜落やオーバーラン炎上などの事故やトラブルは今回を含めて二十八回あり、そのうち二十二回が県内で発生している。また、機体トラブルや天候不良などにより緊急着陸や目的地を変更して着陸したのは六十回で、このうち県内での発生は四十五回を数える。 事故やトラブルの内訳を見ると、墜落が今回を含めて八回(県内は三回)で、オーバーラン炎上は県内で一回。 ◇ <天ケ森射爆場> 正式には「三沢対地爆撃場」。三沢飛行場施設の北約二十キロに位置し、三沢市と六ケ所村の一部を合わせた陸上部約八平方キロメートル、海上部約四十六平方キロメートルから成る。一九五二(昭和二十七)年、三沢飛行場所属の航空機の射爆撃訓練場として設置。沖縄を除くと、本土唯一の在日米軍、航空自衛隊共同使用の対地射爆場で、九〇年から米軍が管理している。 ◇ 天ケ森住民、怒り噴出 「一歩間違えば集落に落ちたんだ」「やはりF16は全面撤去だ」−。米軍三沢基地所属のF16戦闘機が三沢市天ケ森沖に墜落した事故で、天ケ森町内会の役員らは三日夜、緊急会議を開き、繰り返される事故への怒りを噴出させた。また、基地周辺住民で組織する三沢基地進入表面下町内会連合会は、事故・トラブル続きのF16戦闘機への不信感を強めており、全面撤去を求めていく方針だ。 天ケ森町内会の役員会は地区集会所のふれあい館で緊急に開かれた。役員九人が出席、三沢市役所と三沢防衛施設事務所に米軍への抗議要請することを決めた。役員らは三沢対地射爆撃場での訓練中止を第一に要請。また、射爆撃場の移転か、できなければ住民の集団移転を求めることを申し入れることになった。 役員会後、記者会見に応じた針田隆同町内会長は「再三、こういうことが起こっている。厳重に抗議したい。住民を軽視しているのではないか。住家に落ちてからでは遅すぎる」と怒りの声を上げた。天ケ森地区の農業二羽石松さん(64)は同日午後、畑で農作業をしていて消防車のサイレンを聞いた。直前まで戦闘機が低空飛行していたので「射爆撃場で訓練をしているな」と思ったという。「家に帰ってニュースで事故を知り驚いた。近くに墜落したら大変なことになった。本当に怖い」と不安を募らせた。 三沢基地進入表面下町内会連合会の玉川健五郎会長は「射爆撃場の上空でのトラブルだと思う。少しずれれば集落、人家に墜落したのではないか。まかり間違えば大変なことになった」と指摘。「米軍三沢基地のF16はやはり撤去しかない。事故への抗議とともに全面撤去を求める」とF16戦闘機への拒絶反応を明確にした。 米軍三沢基地のF16は一九八五(昭和六十)年、約三十六機が配備。燃料タンクや実弾・模擬弾の投棄などトラブルが後を絶たず事故も頻発。九九年一月には岩手県釜石市の山中に墜落し炎上、二〇〇〇年十一月には北海道沖に二機が墜落するなど重大事故をこれまで八件起こしている。 ◇ 飛行中止し点検 三沢市役所では同日午後六時、ジェフリー・G・ブランチェット副司令官が鈴木重令市長に事故発生を報告した。 ブランチェット副司令は「このような形で市長に会うのは残念」と前置きして概要を説明。「事故があってからすべての飛行を中止し、航空機の整備点検を始めている。すべての整備状況が確認されるまで飛行はしない」と約束した。さらに「墜落によって海上に油が漏れたかどうかを把握するなど、少しでも早く現場の状況をつかむよう努めたい」と語った。 鈴木市長は「一番知りたいのは、どういう状況で事故が起きたのかということ。なぜ脱出しなければならなかったのか。すべての状況について早く知らせてほしい」と要望。「住民の安全を考えなければならない。昨年十一月に日本海で墜落事故があり、先般その報告を受けたばかり。またすぐに事故。F16への信頼が薄れるのを懸念する」と強調した。 今回の事故を受けて、市議会は四日午前九時半に基地対策特別委員会を招集、対応を緊急協議する。森三郎市議会議長は「午後五時ごろ事故の連絡を受けた。またかと思った。F16はちょっと事故が多すぎる」とまゆをひそめた。 |