2000年8月30日(水) 東奥日報 ニュース


科技庁が六ケ所環境研に整備費
八戸・是川遺跡で縄文の縦櫛出土
旧砂子瀬小校舎を白神研究基地に


■ 科技庁が六ケ所環境研に整備費

 科学技術庁は、二十九日にまとめた文部科学省(来年一月に改編)の平成十三年度予算概算要求に六ケ所村の環境科学技術研究所に新たに「先端分子生物科学センター」を整備する費用八億二千万円を盛り込んだ。低線量生物影響実験棟、閉鎖型生態系実験施設、全天候型環境シミュレーション施設に続く第四の試験棟として整備を進めていく。科技庁青森原子力企画調整事務所を来年一月に廃止し、六ケ所保障措置センター準備事務所(仮称)に移行するための費用一千万円も要求した。

 環境研はマウスに少量の放射線を長期間当てる低線量生物影響実験を進めているが、当てる放射線量によってマウスの寿命に差が出るという結果が得られつつある。先端分子生物科学センターは、マウスでの実験結果を基に、人間に対する放射線の影響を遺伝子レベルで解明するための調査研究を行う。

 環境研関連の概算要求総額は、先端分子生物科学センターの整備費用を含めて前年度とほぼ同額の約四十三億円だった。

 また、「六ケ所保障措置センター」(仮称)を六ケ所村内に整備するための費用とし一億二千万円を新規に計上した。同センターは、六ケ所再処理工場の稼働に備えた施設で、核物質の兵器転用を防ぐための保障措置を担当する。具体的には、査察のための分析所としたり、再処理工場内に設置する保障措置分析所の業務を支援する。将来的には職員数十人が配置される見込み。

 青森原子力企画調整事務所の廃止は、来年一月の中央省庁改編に伴い、原子力行政は通産省が母体となった経済産業省に一元化されるための措置。六ケ所保障措置センター準備事務所は数人規模の体制となる。




■ 八戸・是川遺跡で縄文の縦櫛出土

写真  八戸市教委が発掘を進めている同市是川の是川中居遺跡・中居地区で二十九日、縄文晩期初めごろ、約三千年前の木製漆塗りの縦櫛(たてぐし)がほぼ完全な形で出土した。縄文時代の木製櫛がこれほど良好な状態で出土した例は全国的にも非常に珍しく、歯がそろった完形品は東北で初めて。

 縦櫛が出土したのは中居地区の南側の沢、深さ約二メートルの地点。二十四日に文様付きの大型木胎漆器(漆塗りの木製鉢)が出土した地点から約二メートル北側に当たる。大きさは幅五センチ、長さは出土している部分だけで十三センチで、歯は六本あり、長さは八センチ。

 細い木を糸で束ねて作ってあり、「棟」と呼ばれる頭の部分は漆で塗り固めてあるが、歯の部分は何も塗られていない様子だ。このため「木製櫛は歯の部分には何も塗られていないため、非常に残りにくいと考えられていたが、それが裏付けられたと言える」と市教委文化課の工藤竹久副参事。

 縄文時代の櫛はすべて、結った髪を留めるための「縦櫛」で、材質は骨角と木製がある。一つの素材から作った「刻歯式(こくししき)」と複数の素材から作った「結歯式(けっししき)」に分けられ、この櫛は「結歯式」。

 県内ではこれまでにも同遺跡をはじめ尾上町の八幡崎遺跡などで縄文の櫛自体は出土しているが、歯がきれいにそろったものは例がない。また過去の発掘例から、櫛の歯はそれほど長くないと想像され、復元図でも短めの歯が描かれている例が多いが、この櫛の歯は縄文期の縦櫛が予想以上に長かったことを示すとみられる。

 縄文時代の遺物に詳しい江坂輝弥・慶応大名誉教授は「歯が付いた櫛は東京や千葉でも見つかっているが、これほど歯が長くきれいな状態のものは初めてではないか」と話している。また縄文晩期に詳しい須藤隆・東北大文学部教授は「東北では初めての出土で極めて貴重な遺物」と話している。

※写真は是川中居遺跡・中居地区から出土した東北初の完形漆塗り縦櫛



■ 旧砂子瀬小校舎を白神研究基地に

 津軽ダム建設によって今年三月に閉校した西目屋村の砂子瀬小学校校舎を、弘前大学の白神山地研究や白神ガイド養成の拠点に利用する案が浮上している。大学側は「予算確保など問題が山積している」としているが、同校を“白神研究の前線基地”として活用すれば、「研究が一層進み、その成果を多くの人に紹介できる」と前向きな姿勢を示している。同大農学生命科学部生物共生教育研究センターの牧田肇センター長らが二十八日、全村議対象に構想を説明した。

 弘大は十二年度、生物共生教育研究センターを設置し、白神研究に本腰を入れている。しかし、実質的な白神研究施設がなく、ハード面の整備が求められていた。

 一方、津軽ダム建設で今年三月、閉校した砂子瀬小学校は四月から村の学習館となったが、利用実績はわずか。これらの状況を踏まえ、関係者から大学の白神研究施設として旧砂子瀬小施設を利用する案が持ち上がり、大学、村とも前向きな姿勢を示している。

 構想では、旧校舎を白神研究のほかに、白神を案内できるインストラクターを養成する施設として利用。研修を受けたインストラクターは、白神山地で県内外の人を案内し、ブナ原生林に関する知識を伝えるなど、施設に公開教育部門的な性格を持たせる。

 校舎は昭和五十三年に建てられ、鉄筋二階建てで、体育館を含めた延べ床面積は二千百平方メートル。近い将来、津軽ダム建設によって解体されるため、白神研究施設としては一時的な利用となるが、同大がダム周辺に新たな施設を建設し、研究を継続する案も検討課題として出ている。

 村議対象の説明会では、牧田センター長、金内剛・建設省津軽ダム工事事務所長らが旧砂子瀬小活用案を説明。村議からは特段の異論は出なかった。

 構想について西川時夫村長は「大学と村の両者にとってメリットになる」と話し、牧田センター長は「自然と人が共生している地域を広く見てもらうのは意義深い」と意欲を見せている。



HOME