1999年12月8日(水) 東奥日報 ニュース


是川中居遺跡から象嵌文様土器
縄文是川フォーラム'99で発掘報告
むつ小川原再建で自民代議士模索


■ 是川中居遺跡から象嵌文様土器出土

写真  八戸市の是川中居遺跡(縄文時代晩期約三千−二千三百年前)の本年度調査で、種類の違う粘土を組み合わせて作った”象嵌(ぞうがん)文様”の注口土器が出土していたことが七日、分かった。同市で開いた縄文是川フォーラム'99(東奥日報社、八戸縄文保存協会主催)の講師として来県した慶応大の江坂輝弥名誉教授が指摘した。江坂教授は「晩期初頭の出土例は国内では初めて」と話している。

 ”象嵌文様”の注口土器は八戸市教委文化課の本年度調査で出土した。高さは約七・五センチで、注ぎ口と胴体口縁部の上部が欠けており、本来は約十センチの大きさだったのではないかとみられている。
 出土した注口土器は地の部分に使った粘土のほかに、黒、灰黄色の粘土を組み合わせて作られ、土器表面には粘土の組み合わせによって、はめこんだような文様がくっきり見える。江坂教授によると、地の部分の粘土と黒の粘土はおそらく同じで、地の部分で使った粘土に炭を混ぜて黒い粘土を作ったと考えられるという。
 江坂教授は「象嵌陶器のはしりのようなものに見えることから、あえて呼ぶなら縄文の象嵌文様といったところか。粘土と粘土のつなぎ目などには、細かな作業が必要だったはず」と指摘。「朝鮮の先史時代の土器にこのような例が数例見つかっており似ている。国内では神奈川県の五領ケ台貝塚で種類の違う粘土を組み合わせて作った縄文時代中期の土器片が見つかっている」と話している。




■ 縄文是川フォーラム'99で発掘報告

写真  東奥日報社と八戸縄文保存協会主催の縄文是川フォーラム'99が七日、「縄文是川遺跡−新しい出土品が語る魅力」をテーマに八戸市公民館で開かれた。市民や考古学ファン約三百人が、基調講演や最新の発掘成果報告、パネルディスカッションに耳を傾けた。

 主催者を代表し、佐々木高雄東奥日報社代表取締役社長が「是川遺跡は八戸で、最高のワンダーランド。これから何が出てくるか分からないという面白さがあり、地下からどんな秘密が出てくるか、期待が膨らむ」とあいさつした。
 発掘調査報告は八戸市教委文化課の工藤竹久主幹が、是川中居遺跡の本年度調査で出土した色鮮やかな漆器や木製腕輪、弓などをスライドを使って解説した。

 基調講演では文化庁の岡村道雄主任文化財調査官が「是川縄文人の日々の暮らし−植物性遺物と道具」と題し、講演。岡村氏は約七十年前に是川中居から出土したへら状木製品や漆塗りの太刀、鳥浜貝塚(福井県)から見つかった縄文時代の道具類などを紹介した上で、「低湿地遺跡からは続々と、縄文時代の情報が出てきている。情報発信の中心となる可能性がある遺跡が是川だ」と指摘した。
 さらに岡村氏は「(約七十年前と違った)新しい視点で是川を掘る意味は大きい。水場の施設が出てくる可能性も高い」と述べた。
 続いて基調講演した慶応大学の江坂輝弥名誉教授の演題は「是川縄文人の心を探る−土偶と赤漆」。江坂教授は「朱漆を塗って漆器を作る技術は中国から東シナ海の大陸棚を通って、朝鮮半島南部、九州と入り、最後は青森県まで到達したのだろう」とした上で、「くしの赤い塗料はベンガラ、水銀朱など鉱物性の赤を使っている」と解説した。
 さらに江坂教授は約七十年前に是川を発掘したことで知られる泉山岩次郎・斐次郎兄弟を昭和十一年ごろに訪ねたエピソードも披露した。

 パネルディスションでは八戸縄文保存協会の栗村知弘会長が司会を務め、江坂、岡村、工藤の三氏が本年度調査で出土した矢じりが刺さった板材などについて議論した。矢じりが刺さった板材は縄文時代の盾ではないかとの見方をする研究者もいるが、江坂、岡村両氏は「誤って刺さった可能性もあり、是川の例など数少ない例のみで結論づけるのはまだ早い」と述べた。

 縄文是川フォーラムの詳報は、十六日付朝刊に掲載する。また、有線の八戸テレビで十一、十八、十九日に放映される。




■ むつ小川原再建で自民3代議士模索

 むつ小川原開発会社の債務処理問題で、中山正暉国土庁長官は七日の記者会見で債権者公平の原則は崩さない方針を示したが、自民党むつ小川原開発問題プロジェクトチームの中核を担う県選出三代議士は、県負担の軽減などを求める木村守男知事の要請を受け、債務処理案の大枠を変えない形で負担を軽減できる方法を模索している。「県民に説明が立つような」(知事)明確な軽減策を求める県と、基本線の堅持を目指す国土庁が、自民党の調整でいかに折り合いをつけるかが今後の焦点になるとみられる。

 県と国土庁の事務レベルの債務処理協議は十一月末以降、連日続いている。県の主張は、(1)国(日本政策投資銀行)が債権を全額放棄する(2)県の負担分を軽減する(3)規模の小さい地方銀行の立場にも配慮する−の三つ。
 日本政策投資銀行(旧北東公庫)が債権九百六十九億円を全額放棄すれば、国土庁案では国が回収することになる二百九十八億円(現金百三十八億円と株式百六十億円)を民間金融機関や県の債権回収に回すことができ、結果的に民間金融機関や県の負担が軽減される−という考え方のようだ。この軽減策は県民の理解を得やすい半面、一律の債権放棄という債務処理案の基本線を崩すことになり、国土庁としては受け入れにくい。
 このため県選出三代議士は、(1)日本政策投資銀行の設立準備金百億円の一部を新会社の出資金に加える(2)新会社の出資金を減額した上で、県や民間の負担を軽減する−などいくつかの方法を検討しているもようだ。
 (2)は再建が先行した苫小牧東部開発(北海道)でとられた手法で、新会社の出資金を四十四億円減額して六百二十二億円とし、北海道の負担を三十億円、民間の負担を十四億円それぞれ減額、修正した。

 再建策取りまとめの期限とされる政府予算案決定まで約二週間。むつ小川原開発問題は政治決着の色合いを濃くしている。



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