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  • 2018年3月9日(金)

『映画ドラえもん のび太の宝島』川村元気氏、脚本執筆中から星野源の歌声が聴こえていた

『映画ドラえもん のび太の宝島』脚本を担当した川村元気 (C)ORICON NewS inc.
『映画ドラえもん のび太の宝島』脚本を担当した川村元気 (C)ORICON NewS inc.
 3日に公開された『映画ドラえもん のび太の宝島』。星野源が手がける主題歌「ドラえもん」のインパクトは大きく、ゲスト声優に大泉洋や長澤まさみを起用するなど、公開前から話題になっていた本作。脚本を手がけたのは、『告白』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『君の名は。』などの映画プロデューサーとして知られ、『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』などの原作者・小説家としても活躍している川村元気氏だ。どのような経緯で『ドラえもん』を手がけることになったのか。公開初日から2日間で興行収入8.4億円の大ヒットスタートを切った本作の秘話を川村氏に聞いた。

【動画】『映画ドラえもん のび太の宝島』予告編

■藤子・F・不二雄先生のコピーロボットになったつもりで

――『のび太の宝島』が脚本家デビュー作になりました。

 いつか脚本を書くことがあるなら、最初の作品は自分でも意外なものが良いと思っていました。「映画ドラえもん」のお話を藤子プロさんからいただいた時、「藤子・F・不二雄先生に書かされるのだな」と思いました。僕は、自分のやりたいことは人に決めてもらう、というのが信条。初めて小説(『世界から猫が消えたなら』)を書いた時も編集者に「書いて欲しい」と粘り強く口説かれたのがきっかけでした。人に決めてもらうことで、自分では予想がつかなかったことにも挑戦できる。まさか自分の脚本家デビュー作が「映画ドラえもん」になるとは思っていなかったけど、一番尊敬する作家は誰ですか?と聞かれたら、必ず、藤子・F・不二雄先生ですと答えていましたので、最初の脚本の仕事が「映画ドラえもん」であることに、自分なりに納得しました。頑張らざるをえない状態を作ってもらいました。

――藤子・F・不二雄先生の作品のどんなところが好きですか?

 子どもの頃、『ドラえもん』のてんとう虫コミックスを何度も読み返していました。短いストーリーの中にユーモアとウイットと、ちょっとした哲学と感動が入っている。大人も子どもも楽しめる、笑ったり泣いたりしているうちに、心の中に深く刻まれている。そんな「すこしふしぎ」な世界にずっと憧れていました。『君の名は。』のような映画を作る時も、『世界から猫が消えたなら』のような小説を書く時も、いつも指標としていたのがF先生の世界でした。

――執筆に当たって苦労はなかったんですか?

 尊敬しているといっても藤子・F・不二雄先生がどうやって物語を書いていたのか、真剣に考えたことはなかったんです。単なるファンだから(笑)。実際に書くとなった時、これはコピーロボットになるしかないな、と思いました。藤子・F・不二雄先生がどうやって取材して、どうやって物語を紡いで、仕上げていったのか、頭の中を空想する。それは僕が企画や物語を考える時のやり方でもあります。スティーヴン・スピルバーグやウディ・アレンらと空想会議を繰り広げた企画本『超企画会議』(KADOKAWA)がまさにそれなんですが、ただ妄想しているだけはなくて、監督たちの過去の仕事を徹底的に調べた上で、空想を膨らませていく。今回も「先生、どう思います?」と、自分の頭の中の藤子・F・不二雄先生と会話をしながら書き進めていった感じです。

 先生は落語が大好きで、それをベースに描くことも多かったのですが、今回の『のび太の宝島』も三題噺という題目三つを織り込んで、一つの物語に仕立てる落語のように、スティーヴンソンの『宝島』と、小笠原諸島に出現した“新島”のニュースと、謎解きクイズという3つのファクターを一つの物語にしていきました。

――ドラえもんの「インターネットを見ればどこにでもいける」というせりふや、のび太が「どこでもドアだと冒険感が出ない」と言っていたところが、新鮮でした。

 昭和生まれの僕らが漫画やアニメの『ドラえもん』を読んでいた、見ていた頃と、今とでは明らかに違いがありますよね。まず、ピクサーのアニメーションが生まれる前と後で、大きく変わりました。ピクサーの情報量が多くて、展開が速くて、子どもも楽しめて大人も感動する、そういう作品に触れてきた大人と子どもに向けて、僕らも作品を作らなければならない。

 それと、YouTubeですね。子どもたちは生まれたときからインターネットが使える環境にあって、YouTubeを見まくっている。YouTubeに上がっているミュージックビデオで音楽を聴いているし、映像のバックには必ずといっていいほど音楽が流れている。『のび太の宝島』では、インターネットでだいたいのものは見られるよね、というのを前提にしたかったし、映像と音楽をどう絡ませるか、ということをすごく考えました。

 「映画ドラえもん」には必ず悪役が出てくるのですが、昔のように勧善懲悪にはならないというか、今はテロリストですら正義を主張していて、正義と正義がぶつかって戦争が起きている。今回、のび太たちを襲う海賊船のキャプテン・シルバーも、彼なりの正義があることを描きたいと思いました。

■執筆中から星野源の歌声が聴こえていた

――脚本のト書きに「ここから主題歌」「挿入歌ここまで」といった指示が入っていました。その主題歌と挿入歌を星野源さんが手がけたわけですが、星野さんに依頼した理由は?

 脚本を書いたのは、一昨年(2016年)なんですが、その段階から勝手に星野さんをイメージして書いていました。書きながら、ここで星野源が歌ってくれたらなぁ、と思いながら、歌声が聴こえていました。星野さんもドラえもんファンで、藤子・F・不二雄先生のことをすごく尊敬している方ですし、素晴らしい主題歌&挿入歌を書き上げてくれました。希望がかなってうれしかったです(笑)。これまで自分が携わってきた映画、『モテキ』、『バクマン。』『君の名は。』などでも、音楽と映像が接続される瞬間をどう作っていくかにこだわってきたので、音楽と「ドラえもん」が共鳴した時の気持ち良さをすごく考えながら脚本を書いていました。

――「自分のやりたいことは人に決めてもらう」とおっしゃっていましたが、「映画ドラえもん」の脚本を担当した手応えは?

 『STAND BY ME ドラえもん』(2014年)では大人がドラえもんに戻ってきてくれた。それを春休みの「映画ドラえもん」でやってみたいな、と思っていました。「ドラえもん」を卒業しちゃった大人たちも戻ってこられる映画が作れたらいいな、と。僕だけでなく、星野さん、長澤さん、スタッフもみんな、「ドラえもん」を見て育っていて、一人ひとりが自分なりに自分が見たい「映画ドラえもん」を作ろうと力を尽くしてくれました。

 藤子プロの方からは、先生が「大人の力は借りずに、子どもたちが自分たちの力で問題を解決する」ことにこだわっていた、という話もうかがいました。実は、子どもの方が正しくものを見ていたりするな、と思うこともあったので、子どもの目線で大人が何か気づきを得るみたいなことはやってみたいなと思っていました。この作品ののび太に「大人は絶対に間違えないの?」「僕たちが大事にしたいと思うことはそんなに間違っているの?」と言われて、ハッとする大人は多いんじゃないかなと。

 『のび太の結婚前夜』でしずかちゃんのお父さんが、のび太は「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ」と言っていたけど、それも今の大人たちに求められていることなのかな、って。あと、しずかちゃんはのび太以外とは恋愛しないと聞いて、へぇと思いました(笑)。

 「映画ドラえもん」では、のび太が大冒険をするんだけど、元の日常に戻って終わるのが定番。どんな冒険をしても成長せず、いい意味で甘やかしたまま続いている。成長しちゃったら、ひみつ道具がいらなくなってしまいますからね(笑)。でも、ひょっとしたら今回の冒険を通して、金貨1枚分の厚さくらい、のび太も、映画を観てくださった方も変わっているかもしれないですね。


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