東奥日報  


裁判員裁判(青森)の法廷詳報・2日目 被害者2人の意見陳述要旨


 全国3件目の青森地裁の裁判員裁判で、3日にビデオリンク方式で実施された強盗強姦(ごうかん)事件の被害者2人の意見陳述要旨は次の通り。2006年7月の事件被害者をAさん、今年1月の事件被害者をBさんとした。

 【Aさん】

 被害の後、食欲はなく、眠れない日が続きました。犯人が捕まるまでの間、ずっと犯人の影におびえていました。警察に通報したことで逆恨みをされ、殺されてしまうのではないかと思っていました。犯人が捕まってほっとしました。

 今でも襲われるときのことを夢にみます。ドンという音を聞くと、心臓がドクドクします。体がブルブル震えます。涙がひとりでに流れてくることがあります。「自業自得だ」という犯人の声が頭の中に響くこともあります。

 知人にばれたらどうしようと思いながら、生活をしています。秘密を持っていることに孤独を感じています。

 事件のことは忘れられません。自宅でヘッドホンを聞いているとドンという音がして、いきなり「殺す」と言われ、目隠しをされて両手を縛られました。刃物を胸に突きつけられました。言うことを聞かないと、殺されると思い、いいなりになりました。これ以上は思い出したくありません。

 犯人から「窓の鍵を閉め忘れて自業自得」と言われたときは、本当にひどいと思いました。

 どうしてこんなひどい目に遭わなければならないのでしょう。一体わたしがどんなことをしたのでしょうか。買い物をしている家族連れやカップルを見ると、わたしだけなぜこのような目に遭わなければならないのかと思います。

 あの日以来、世の中から置き去りにされたような、孤独な生活が続いています。わたしだけ別の世界にいるような感じです。死にたいと思ったこともありますし、あのときに殺されていればいいと思ったこともありました。

 犯人は遊ぶお金が欲しくてやったと聞いています。わたしは今の給料で、ぎりぎりの生活をしています。犯人がどんな生い立ちだろうと関係ありません。犯人からの手紙に「申し訳ない」と書かれていました。書くことは簡単なことだと思います。犯人を許せない気持ちは変わりません。苦しみや悲しみがよみがえり、涙が止まりませんでした。あんなにひどいことをした人が変わるとは思えません。

 犯人には一生刑務所に入ってもらいたいです。それができないなら、できるだけ長く刑務所に入ってもらいたいです。わたしのように苦しむ女性を二度と出さないでほしいです。

 きょう、ここに来たのは、世間では裁判員制度で報道されてつらいですが、この苦しみを犯人や裁判官、裁判員にどうしても伝えたかったからです。一生屈辱を受けて苦しんでいかなければなりません。どうか、厳しい処罰をお願いします。

 【Bさん】

 わたしが言いたいのは女性として一番ひどいことをされたということです。1週間ぐらいは、ほとんど眠れず、食事もできませんでした。どうしてわたしだったのか、犯人は誰なのだろう、一人暮らしということは知っていたのだろうか、だとしたら引っ越しのお金はどうしよう―などと、いろいろなことを考えると、眠れませんでした。食事はお茶とヨーグルトが精いっぱいでした。

 犯人に「黙れ」と言われた声が怖くて頭にこびり付いています。犯人ともみ合いになり、首を絞められたとき、息もできず苦しくて本当に殺されると思いました。タオルで目隠しされたとき、犯人が何をしているか見えず、おなかを刃物で刺されるんじゃないか、首を絞められ今度こそ殺されるんじゃないかと思い、とても怖かった。

 半年以上たった今も思い出すことがあります。一番事件のことを思い出すのは、玄関のチャイムが鳴ったときです。知らない人がドアの反対側にいると思うと事件を思い出し、ドア越しにのぞくのも怖くてできません。あとで宅配の人だったと分かって安心したことが何度もありました。

 道路を歩いていても、後をつけられているのではないかと心配になり、一人暮らしと知られて同じ事件に巻き込まれてしまうのではないかと心配になり、何度も後ろを振り返ったり、人がいるコンビニに入ってやり過ごしたりしたことは数え切れません。

 犯人が逮捕されてからも、似た格好や年や体格の男性を見ると、ドキッとします。

 犯人を一生許せませんし、ずっと刑務所に入っていてほしいと思います。刑務所から出たら地元に戻ってくるのかな、と思いますし、狭い街なので偶然どこかで会うかもしれません。恨まれてもっとひどいことをされるかもしれないと不安に思っています。私が出て行くしかないのかな、とも思います。

 犯人は小さいころに両親を亡くして、おばあちゃんに育てられたと聞きましたが、私も母子家庭で、その母も亡くなりました。生活は楽ではありませんが、まじめに働いてきました。育った環境が恵まれていないのと、事件を起こしたことは関係がないと思います。

 きょうは来ようか、やめようか迷いましたが、ひと言伝えることで、刑が重くなるのであればと思い、勇気を出して来ました。

 犯人を許す気にはなりません。犯人が「すみませんでした」と言っていると、検察官から聞きましたが、私の気持ちは変わりません。少しでも長く、できれば一生刑務所に入っていてほしいと思います。

(共同通信社)


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