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六ケ所再処理工場 最終試運転へ大詰め |
使用済み核燃料を使ったアクティブ試験が予定されている日本原燃・六ケ所再処理工場。後方は尾鮫沼
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日本原燃が六ケ所 再処理工場で計画している最終的な試運転(アクティブ試験)開始の前提となる安全協定締結に向けた県の手続きが大詰めを迎えている。アクティブ試験では、使用済み核燃料を実際に再処理し、初めてプルトニウムを取り出すため、事実上の操業を意味する。それだけに県は二月中旬以降、県議会や各種団体などからの意見聴取の手続きを慎重に進めてきたが、施設の安全性や核不拡散(プルトニウム利用)、高レベル放射性廃棄物の最終処分の見通しなど課題は多い。加えて、隣県の岩手県からも、漁業や観光産業への影響を心配する声が高まっている。日本原燃や県が開催した住民説明会などで議論となった問題点を整理してみた。核燃料を繰り返し使うという“核燃料サイクルの環”は、うまくつながるだろうか−。(政経部・福田悟、野辺地支局・珍田秀樹)
■操業時とほぼ同じ工程/機能確認の総仕上げ
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六ケ所 再処理工場の試運転は、(1)機器の動作や性能の確認(2)不具合の早期発見と手直し(3)運転員の技術力の向上−が目的。使用する物質は、段階的に操業状態に近づけていくのが特徴だ。
水・空気を使う「通水作動試験」(二〇〇一年開始)、硝酸などを使う「化学試験」(〇二年開始)、劣化ウランを使う「ウラン試験」(〇四年開始)に続く最後の試運転が、今回予定されているアクティブ試験だ。
再処理工場の最終的な機能確認として、核分裂生成物の分離性能、ウランとプルトニウムの分配性能、環境への放出放射能量などを実際の使用済み核燃料(約四百三十トン)を使って確認する。
試運転とはいえ、工程は操業とほぼ同様だ。試験期間は十七カ月。終了後に本格操業を始める。
再処理の工程で最も注意しなければいけないのが、核分裂反応が次々と続く「臨界」の防止対策だ。
日本原燃は、核分裂を起こすウラン・プルトニウムが多量に集まることを防ぐ「形状寸法管理」「濃度・質量管理」、核分裂を引き起こす中性子を取り除く「中性子吸収材管理」などの対策によって、臨界発生の防止を図るという。
■放射性廃棄物、一部は放出/原燃「住民へ影響なし」
アクティブ試験に伴い、フィルターなどで除去できない一部の放射性廃棄物が環境に放出される。日本原燃の年間推定量は気体廃棄物のクリプトン85が約三十三京ベクレル=京は兆の一万倍=、トリチウムが気体・液体廃棄物合わせて約一京九千九百兆ベクレル。ヨウ素や炭素14なども再処理工場から出てくる。
日本原燃は、気体廃棄物は高さ約百五十メートルの排気筒から時速約七十キロの速さで放出。液体廃棄物は沖合約三キロ、水深約四十四メートルの海洋放出管から時速約二十キロで排出し、拡散・希釈させる方針。
県と日本原燃は、工場周辺の放射線量や、土壌・農畜産物中の放射性物質量を継続観測している。試験や操業に伴い初めて検出される放射性物質もある。例えば魚類のトリチウム量は一キロ当たり三百ベクレルとなる見込み。精米から検出される炭素14は九十ベクレル増加するという。
日本原燃によれば、クリプトン85やトリチウムは人体への影響が小さいこともあり、工場近くに住んで農水産物を食べ続けても、住民が受ける影響は年間約〇・〇二二ミリシーベルト。自然放射線による線量(年間約二・四ミリシーベルト)の百分の一にすぎないという。しかし、「再処理工場について勉強する農業者の会」の哘清悦会長は「青森県が進めている“食の安全・安心”に逆行する。消費者は、放射性物質量の多い農産物より、少ない農産物を選ぶはず」などと反発する。
なぜ、クリプトン85などの除去装置を工場に設置しないのか−。日本原燃は「国が技術開発を進めたものの、除去後に固定化したクリプトン85などを隔離・保管する技術の実用化の見通しが立たない」と説明している。
一方、「除去・保存する装置はほぼ出来上がっている。装置を付けないのは経済的理由だ」(日本科学者会議原子力問題研究委員会の市川富士夫委員)との指摘もある。
■「三陸の海産物に影響」/岩手県などが異議
岩手県議会が、市民団体「三陸の海を放射能から守る岩手の会」からの請願「三陸の海を放射能から守ることについて」を全会一致で採択したのは昨年の九月定例議会。再処理工場から放出される放射性廃棄物が海流で南下し、三陸の海を汚染し、海産物に多大な影響を及ぼす−として「岩手県は、青森県と日本原燃に、岩手県民への説明を求め、試験・操業開始に慎重を期すよう申し入れること」などを求める内容だった。
年明け以降、岩手の会と宮古市議会は青森県庁を訪れ、説明会の開催などを要請。さらに、岩手県知事と同県沿岸部の十五市町村長は、岩手県内での説明会開催を日本原燃に文書で要請した。
これに対し、日本原燃は二十四日に六ケ所 村の現地で視察・説明会を開催することを岩手側に提案したものの、「説明を聞きたければ出向いて来いという不誠実な回答に驚いている」(熊坂義裕宮古市長)などと岩手側は反発。日本原燃は対応に苦慮している。
岩手側の不安の背景にあるのが、東京海洋大学名誉教授の水口憲哉氏による講演会のようだ。岩手の会の請願書によると、水口氏は、再処理工場が本格稼働し、日常的に放射性廃液を流し続けるならば今世紀最大の海洋汚染になる、と警鐘を鳴らしたという。
日本原燃は「海洋放出される放射性物質は、二十キロ離れれば、数万分の一に希釈される。まして百キロ以上離れた岩手県の海産物について心配はまったく要らない」(鈴木光雄副社長)と強調しているが、開催地をめぐる考え方の違いから説明会開催も危ぶまれる状況だ。
■プルトニウム消費できるか不透明/プルサーマル不可欠に
六ケ所 再処理工場がフル操業すれば、年間四トン強のプルトニウムが生産される。プルトニウムは原発の燃料として再利用できる一方で、核兵器への転用も可能。数キロあれば核爆弾が製造できるという。
日本政府は、プルトニウム利用を平和目的に限定していることを国内外に理解してもらうため、利用目的のないプルトニウムは持たない−との原則を掲げている。
電力会社は、プルトニウムをウランとの混合酸化物(MOX)に加工してから再び原発で燃やす(プルサーマル)方針。試験に先立ち、電力十一社が六ケ所 再処理工場で回収されるプルトニウムの利用計画を公表したのは、海外諸国から核疑惑を招かないためだ。
計画によると、電力十一社は全国十二カ所以上の計十六−十八基の原発で、年間最大計六・五トンのプルトニウムを消費する。国の原子力委員会は一月、電力各社の計画を「利用の透明性向上の観点から妥当と考える」とした。
ただ、プルサーマルの開始時期は「二〇一二年度以降」と特定できなかった。九州電力・玄海原発、四国電力・伊方原発などでプルサーマル計画実施に向けた動きは出てきたが、国産プルトニウムを消費し切れるのか、依然として不透明だ。
米野党民主党のマーキー下院議員ら六議員が、核拡散上の懸念があるとしてアクティブ試験中止を求める書簡を日本政府に送るなどの“外圧”も出てきた。
(1)日本は既に英仏などで再処理して回収したプルトニウム四十トン以上を保有している(2)施設の健全性に疑問がある−ことを理由に「六ケ所 再処理工場は満足に動かない確率が高い」(吉岡斉・九州大学大学院教授)との厳しい見方もある。
■高レベル廃棄物処分/候補地へ応募なし
再処理に伴って使用済み核燃料からはプルトニウム、ウランのほか、核分裂生成物が発生する。核分裂生成物をガラス固化したのが高レベル放射性廃棄物。年間最大八百トンを処理できる六ケ所 再処理工場がフル操業した場合、ガラス固化体の発生数は年間約一千本。アクティブ試験では使用済み核燃料を約四百三十トン再処理するため、約五百三十本が生み出される。
高レベル廃棄物の処分方策を定めた「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(二〇〇〇年制定)に基づいて閣議決定された計画は、二八年までに処分地を決め、三八年から処分を始めるという目標を掲げた。
処分地の候補地として適当かどうかの調査や手続きにかかる時間を考えると、あと一、二年のうちに応募がなければ間に合わない状況だが、自治体からの応募はまったくない。
反核燃団体は「六ケ所 村がなし崩し的に“核のごみ捨て場”になってしまう」と反発を強める。
県と六ケ所 村、日本原燃が一九九四年に締結した安全協定には、ガラス固化体の貯蔵期間について、「受け入れた日から三十年間から五十年間」との規定があるが、同協定の対象は、あくまで英仏からの返還廃棄物。アクティブ試験に関する安全協定には、ガラス固化体の貯蔵期間の規定はない。
このため、再処理推進派の六ケ所 村民にも「青森県を高レベル廃棄物の最終処分地にしないと国は約束しているが、将来像が見えず心配だ。試運転で現実に廃棄物が出るのに、安全協定でひと言も触れないのはおかしい」との声がある。
県原子力安全対策課の佐藤忠逸参事は「アクティブ試験は、ガラス固化体をちゃんと製造できるかどうかも確認するのが目的。本格操業前の安全協定が必要になった場合、貯蔵期間についても検討したい」と話している。
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