自分の体、気に掛けていますか。10月は乳がんを理解し患者支援を進めるピンクリボン月間。闘病中のフリーアナウンサー小林麻央さんが病状をつづるブログも注目されているが、乳がんは若い人に限らず女性なら決して人ごとではない病気。早期発見や定期的な検診が重要だ。悩みに寄り添う乳がん経験者たちや、啓発の取り組みを紹介する。

10月はピンクリボン月間

 早期治療 何より大切
術後に仕事復帰 山本さん(青森)

「がんは助かる病気。見つかるのが早ければ早いほどいい」と語る山本さん

 「検診を受けていなければ見つけられなかった」-。青森市の山本龍子さん(60)は、自らの乳がんが分かった経緯を振り返って語る。

 48歳の時、PTAの友人3人と乳がん検診を受けた。「みんな主婦なので職場検診の機会がない。この歳になったし行こうって」。マンモグラフィーで左胸に米粒ほどの石灰化が3つ見つかった。診断は良性。年1回の検診で経過を観察し6年目の2010年末。突然状態が悪化、精密検査でがんが見つかった。しこりはない。体調不良も全くなかった。

 がんの状態から左胸の全摘を告げられた。「意外と悲しくはなかった。これで命が助かるなら。大学生の娘と息子を守らなければと」。信頼できる医師に出会い、手術自体は怖くなかった。でも、このまま目が覚めなかったら-。「麻酔から覚めた時の、この世に戻ってきたというほっとした気持ちは忘れません」

 抗がん剤治療の副作用で味覚障害やむくみに悩まされたが「1人でいると悪いことばかり考えてしまう」と、自宅で開くピアノ教室を退院後すぐに再開。小学校の放課後子ども教室の仕事も、1カ月後に復帰した。

 不安で押しつぶされそうになったことは数え切れないが、娘や息子、姉、何でも話せる友人、乳がんを経験した仲間など多くの人に支えられてきた。「同じ病気で1人で悩んでいる人がいたら力になりたい」。今年、ピンクリボン運動に力を入れる青森市のNPO法人「あおもり男女共同参画をすすめる会」に入会した。

 昨年5月、弟夫婦が食堂を始め、山本さんも手伝っている。平日の昼間は食堂、夕方は放課後子ども教室やピアノ指導と忙しい。大好きな温泉にも再び通っている。夜“風呂友”とサウナで語らう時間が息抜きだ。娘が結婚し、孫の顔を見る楽しみが生まれた。いつか孫と一緒に温泉に入りたいと、乳房再建も考え始めた。

 「健康さえ、命さえあれば何でもできる」。だからこそ早期発見・早期治療が大切だと心から思う。「私のように触っても分からないタイプは検診しかない」と強調する。「自分の体と大切な人は自分で守りたい。これからも」

 「話すことで元気に」
「BECあおもり」乳がん体験の女性ら結成

メンバーの(後列左から)北さん、熊地さん、佐々木孝子さん(前列左から)佐藤さん、佐々木陽子さん

 青森市と弘前市の乳がん体験者5人が「乳がんピアサポートBECあおもり」を設立し、がん患者の相談に乗ったり交流会や勉強会を開くなど精力的に活動している。

 メンバーは青森市の佐々木陽子さん、佐藤庸子さん、弘前市の熊地由紀子さん、北節子さん、佐々木孝子さんの5人。同時期にNPO法人キャンサーネットジャパン(東京)の専門講座で、がん医療情報の基本知識や情報収集スキルなどを学び「乳がん体験者コーディネーター(BEC?ベック)」の認定を受け、2014年に会を立ち上げた。

 5人は全員50代の働く女性たち。薬剤師や臨床検査技師、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、高校教諭と職業もさまざま。全員が代表者として、それぞれ得意分野を生かして相談に乗ったり、興味のあるテーマのイベントを自ら企画・運営している。

 仕事、家庭、子育て…。5人とも、がんとともに、女性なら誰もが抱える悩みや苦労も乗り越えてきたからこそ、今行き詰まっている人に寄り添い、心を傾け共感したいと思う。佐々木陽子さんは「ひとは話すことによって自分で元気になれる力を持っている。だからお話をお聴きしたい。そして、情報を求めている人が信頼できる正しい情報を得られるようにお手伝いするのも私たちのBECの役割」と語る。

 がんは今や2人に1人がかかる身近な病気だ。佐々木陽子さんは「がんになっても長く生きられる時代。高血圧などの慢性病と同じように、がんについて普通に語られる世の中になってほしい」という。北さんも「何年たっても再発は正直怖いですが、乳がんになってもこんなに元気な人たちがいるんだと思ってもらえたら」と活動に意欲を燃やす。再発した人の語り合いの場や、患者の家族同士のネットワークづくりなど新しい試みもしたいという熊地さんは「やりたいことは、まだまだたくさんあります」と笑顔を見せた。

 BECあおもりは11月27日午前9時40分から、青森市のアピオあおもりで「ファイナンシャルプランナーによるがんとお金についての勉強会」を開く。ライフステージごとの出費や、がんになったらいくら必要になるのかなどを専門家が解説。女性なら誰でも参加可能で参加費500円。午後0時10分からは「がんサバイバー」だけのおしゃべり会も開く。おしゃべり会のみの参加も可能で、がんの部位は問わない。申し込みは同会(メールbec8aomori@yahoo.co.jp、ファクス017.761.4026)へ。BECあおもりのFacebookでも情報を発信している。

 3Bリンパ体操好評
男女共同参画をすすめる会 肩や腕すっきり


「心がほっとします。ぜひ毎日続けて」とPRする(左から)志田さん、堀内さん、西川さん、武蔵さん

 青森市のNPO法人「あおもり男女共同参画をすすめる会」が考案した「3Bリンパ体操」は、乳がんの術後にみられるリンパ浮腫や、肩や腕の動かしにくさなどを改善するのにぴったり。日頃の健康維持やリラックス効果も期待できるほか、場所を選ばずできる手軽さも好評だ。

 体操は同会の「心とからだの健康を考える部会」が企画。同会ピンクリボン運動応援ソング「笑顔のために」に乗せて、体を優しくさすったり、ゆっくり伸ばしたり。そけい部や鎖骨などリンパを流す上で大切な部分を中心に、全身を効果的に動かせて、終わった後は心も体もさっぱりする。

 体操を考案した同会の西川悦子さん(61)、志田孝子さん(61)、武蔵恵美子さん(62)は日本3B体操協会公認指導者。西川さんと武蔵さんは乳がんを経験している。西川さんは「触っている場所を意識し、優しい気持ちで触れるのがポイントです」。

 内容をアドバイスした県立保健大学理学療法学科の川口徹准教授も「全体的にリズムが良い」と評価し「積極的に肩や胸郭を動かす動作がある。乳がんで手術した人は、意識して腕を上げて動かすことがとても大切。もちろん、普段肩こりに悩む人にもいいのでは」と語る。

 年齢・性別・体力を問わず、座った姿勢でもできる。部会長の堀内美穂さん(47)は「ぜひ日常生活に取り入れて継続してほしい。指導や実演の希望があればどこでも出張します」。同会などが10月22日に青森市で開くイベント「ピンクリボンinカダール」でも披露する。

 自分のために 月1回の自己検診

 乳がんは自分で見つけることのできる数少ないがんの一つ。定期的に自己検診を続けていると、乳房の普段の状態が分かるようになるため、小さな異常にも早く気付くことができる。

 自己検診は月1回、月経終了後1週間ごろに行うのが最適。閉経した人も毎月、日にちを決めて行うのがいいという。入浴中、手にせっけんをつけて触ると、しこりなどに気づきやすい。脇の下も忘れずにチェックを。

 変化に気付いたり、しこりや乳房のくぼみ、分泌液、リンパ節の腫れ、腕のむくみなどの症状があれば早めに専門医の診察を受けることが大切だ。






 抱え込まず語り合おう 県内乳がん患者会

■ほほえみネットワーク  「乳がんを明るく生きる」を合言葉に2009年に結成。専門家を招いて最新情報を学ぶ勉強会や、体験を語り合うサロンを定期的に開催している。会長の小嶋朋子さんは「不安な気持ちを抱えていたら、ぜひ一度ご連絡ください」と話す。問い合わせは事務局(ファクス0172-34-2037、メールhohoeminet55@yahoo.co.jp)へ。

■ひまわりの会  隔月開催の勉強会などで親睦を図っている。乳がん検診を呼び掛ける街頭活動や、がん征圧ウオーク「リレー・フォー・ライフ・ジャパン八戸」にも参加。会長の沼澤てる子さんは「1人で悩まず、声を掛けて」。事務局は三沢市のあいざわクリニック(電話0176-58-7370)。ホームページはhttp://aizawa-clinic.com/himawari

■スマイルあっぷるの会  2011年発足。医師や薬剤師ら専門家を招いた勉強会、ハーブティーづくりやメーク術など多彩なテーマの集いをほぼ隔月で開催。10月には日帰り温泉ツアーも行う。会長の鳴海友子さんは「若い方もぜひ気軽に遊びに来てください」とPR。問い合わせは事務局木戸さん方(ファクス017-741-5766、メールs_ap2011@yahoo.co.jp)へ。

■あけぼの会青森支部  東京に本部を置く全国組織の青森支部。黒石病院外科の平尾良範医師が支部の顧問医を務める。学習会や懇親会を開いて交流。支部長の中村勢子さんは「顧問の先生に直接質問したり最新情報を聞いたりでき、心のよりどころにもなります」。問い合わせは中村さん(電話0175-29-1692、メールrsd77608@nifty.com)へ。
東奥日報はピンクリボン運動を応援します
<ピンクリボン運動を支援する募金活動に協力しています>

 東奥日報社は、ピンクリボン運動に賛同し、2012年から青森市のNPO法人「あおもり男女共同参画をすすめる会」が展開するピンクリボン運動支援の募金活動に協力しています。2016年は10月1日から12月末まで、東奥日報販売店主会、同女性部「ひまわり会」と連携し、県内全市町村の東奥日報販売店に募金箱を設置するほか、運動に賛同する企業・団体にも設置しています。

2015年10月1日~12月末
総額98,217円の募金が寄せられました

全額、「あおもり男女共同参画をすすめる会」で、
ピンクリボン運動の理解促進や支援のために使われます。
ご協力ありがとうございました。
 2016東奥日報ピンクリボンキャンペーン協賛企業・団体
あおもりベイクリニック
一般財団法人双仁会 青森厚生病院
桂木クリニック
村上新町病院
一般社団法人 弘前市医師会健診センター
青森銀行
みちのく銀行
日本生命保険相互会社青森支社
住友生命保険相互会社青森支社
第一生命保険株式会社青森支社
明治安田生命保険相互会社青森支社
冨国生命保険相互会社青森支社
損害保険ジャパン日本興亜株式会社青森支店
全労済 青森県本部
青森県民生活協同組合
サンロード青森
ハッピー・ドラッグ
ホテル青森
ぎゃらりー妙心
株式会社 ぐるめ
株式会社 塩原貨物
東奥印刷 株式会社
東奥日報販売店主会
東奥日報販売店女性部「ひまわり会」




(名称のうち印はマンモグラフィ―による乳がん検診を受診できる医療・検査機関です)