10月は、乳がんを理解し、患者への支援を進める「ピンクリボン月間」。乳がんは日本人女性がかかるがんの中で最も多い病気だが、早期発見や適切な治療で克服できる場合も多い。自分のため、大切な人のために─。関係者は「乳がんにもっと関心を持って」と呼び掛ける。県内の闘病経験者の体験談や、さまざまな形で普及啓発・支援にかかわる人々の取り組みを紹介する。

10月はピンクリボン月間

 仲間の支え 闘病の力に
乳がん経験 石村さん(弘前)

「ほほえみネットワーク」のブースで、模擬乳房を使い、しこりの見つけ方を教える石村さん

 「普段から自分の胸の状態を知っていれば変化に気付ける。毎月の自己チェック、毎年の検診を忘れないで」。9月17日、弘前市のイベントに出展した乳がん患者会「ほほえみネットワーク」のブースで、会員の石村小菊さん(45)=同市=が女性客や家族連れに優しく呼び掛けた。

 3年前、乳がんの手術で左胸を全摘し、副作用のつらさでうつ病も発症した。今の笑顔からは想像できない苦しみを経て学んだことがある。「家族の愛、仲間の大切さ、そして、今を楽しく生きること」

 10年ほど前。何気なく触った左胸に、しこりができていた。若いからと手術を勧められ、乳房温存で手術した。結果は良性。年1度の検診を続けていた7年目、左胸にがんが二つ見つかった。早期でステージ1。だが、部位や状態から全摘を告げられた。

 42歳。独身。結婚や出産をあきらめなければいけないのか。「がんそのものより、それが一番怖くて悲しかった」。術後は家にこもり、泣いて暮らした。薬の副作用がつらく、気持ちが落ち込み、うつ病と診断された。身内を立て続けに亡くした心理的な負担も重なった。

 「こんなにつらいことを、他の人はどうやって乗り越えているんだろう」。すがる思いでほほえみネットワークに入会した。たくさん話を聞き、たくさん聞いてもらった。「自分だけじゃないんだ。そう安心したことは忘れられません」

 家族や仲間の存在を支えに、一歩を踏み出した。正しい知識を得て強くなりたいと、うつ病と戦いながら勉強し「初級ピンクリボンアドバイザー」の認定試験に合格。大きな自信になった。「次は私が誰かの支えやヒントになれれば」との思いで、ネットワークの活動に励む。

 今はパートとして働き、充実した毎日を送る。時々、大好きなコンビニスイーツを食べるのが楽しみだ。病気を理解し支えてくれるパートナーにも出会い、最近一緒に暮らし始めた。今年5月の再発検査で卵巣と子宮に異常が見つかり、いずれも手術で全摘した。この時は、職場の同僚が力になってくれた。

 「病気になって心が強く豊かになった」という石村さん。先のことを不安に思うより、まずしたいことをする。会いたい人には会う。行動力がついた。「スイミングを始めたくって。今日チラシをもらって帰るつもり」と笑った。

 検診の大切さ伝えたい
八戸ピンクリボンプロジェクト実行委/来月7日、公開イベント

ポスターを手にイベントをPRする西村さん(前列左)、松浦さん(同右)、福田代表(後列左)らメンバーたち

 一人でも多くの命を、乳がんから守りたい-。そんな思いを持つ人々で昨年結成した「八戸ピンクリボンプロジェクト実行委員会」(代表=福田春彦八戸西病院副病院長・外科部長)が10月7日、八戸ショッピングセンター「ラピア」で乳がん検診啓発のための「エフエム青森公開録音イベント」を開く。福田代表ら医師の講演や、模擬乳房のしこり体感などのコーナーを通し、正しい知識を持つことや、検診による早期発見の大切さを呼び掛ける。

 同実行委は福田代表や看護師ら医療従事者をはじめ、教師や乳がん経験者などさまざまな立場の約20人でつくる。イベントは青森市の青森ピンクリボンプロジェクト実行委員会(代表・川嶋啓明青森市民病院外科部長)との共催。健診と検診の違い、乳がん検診で異常を見つけにくい「高濃度乳房」の解説など最新情報を紹介する。乳腺の超音波検査装置を設置し、ダミーを使ってエコー画像を見ることもできる。福田代表は「健康について家族みんなで話し合うきっかけにしてほしい」と呼び掛ける。

 八戸実行委メンバーの西村真紀子さん(44)と松浦千春さん(44)は、ともに30代半ばで乳がんとなったが、早期発見により効果的な治療ができた。「自分の命は自分で守るしかない。病院では相談しづらい人も、イベントでは医師や看護師に気軽に話しかけてほしい」(松浦さん)、「今も、誰にも相談できず苦しんでいる人がいる。私もつらい時期があったけど、いつか笑える時がくることを私たちの元気な姿を通して伝えたい」(西村さん)と強調する。

 開催時間は午前10時~午後4時(ステージイベントは午前11時半~)。看護師らによるピンクリボン相談コーナー、八戸市総合健診センターの検診・健診相談のほか、命の大切さを考える絵本の紹介、ライブなど盛りだくさん。アンケートに答えた先着300人にピンクバルーンをプレゼントする。

 イベントの内容はエフエム青森で10月21日午前11時から放送する。

 髪の悩みに寄り添う
ヘアクオリア(青森)/医療用ウイッグ取り扱い、個室でカット…

ヘアクオリアの店内に並ぶ医療用ウイッグ。医療向け帽子や頭皮ケアグッズも豊富に取りそろえている

 青森市自由ケ丘2丁目の美容室「HAIR QUALIA(ヘアクオリア)」(一戸亮介代表)が今春から、抗がん剤治療の副作用で脱毛した人向けの医療用ウイッグ(かつら)を取り扱っている。治療後に生えてきた髪のカットや頭皮ケアなど、髪のプロとしてさまざまな悩みにも対応し、病と闘う女性たちを支えている。

 一戸さんは2014年、美容師だった妻の美奈子さん(享年36)をがんで亡くした。治療中に使ったウイッグの品質や使用感に満足できなかった経験から「元気になったら、きちんとしたウイッグを店で取り扱いたい」と夢を語っていた美奈子さん。一戸さんはその遺志を継ぎ、ウイッグメーカー・スヴェンソンの県内初、東北では2店目のパートナーサロンに登録した。自由ケ丘店と新町店のスタッフ全員がスヴェンソンで講習を受け、技術や知識を学んだ。

 ウイッグは基本の形を生かしつつ、好みの長さや輪郭に合うようカットし、自然な仕上がりに調整する。付け方や手入れの仕方、頭皮ケアもアドバイス。ウイッグ対応はもちろん、生えそろう途中の髪のカットも個室で行うため、人目を気にする心配もない。

 医療用ウイッグは県内では病院の相談コーナーなどで展示・試着するのが一般的。同店はホームページのほか病院にパンフレットを置いてPRし、問い合わせは徐々に増えている。治療開始に備えて脱毛前に購入した人もいたという。

 一戸さんは「こういう所があってよかったと言ってもらえる場所にしたい。ちょっとした相談でも気軽に足を運んでほしい」と話す。問い合わせはヘアクオリア(電話017-752-8969)へ。

 自販機で活動支援
コープあおもり弘前松原店

ピンクリボン支援自販機の前で「乳がんに関心を持つきっかけになれば」と語る市川店長

 弘前市の生活協同組合コープあおもり松原店は、今年4月の店舗リニューアルオープンに合わせ、ピンクリボン運動を支援する自動販売機1台を店入り口に設置した。売り上げの一部が、乳がんの検診・早期発見の啓発活動や患者支援を行う認定NPO法人「J.POSH」(日本乳がんピンクリボン運動)に寄付される。

 自販機は全体をピンク色でラッピングし、正面と側面には「受けよう!乳がん検査」などのスローガンを入れ、来店者の目につくよう工夫した。隣には、小児がんの子どもたちを支える「ゴールドリボン運動」を応援する自販機も設置。店長の市川六男さんは「こういう形の支援があることを知ってもらいたい。乳がんの検診受診や早期発見にもつながれば」と期待する。

 自販機を設置・管理するみちのくコカ・コーラボトリング(岩手県矢巾町)によると、県内ではコープあおもり八戸類家店など、ほかに6台のピンクリボン自販機がある。






 一人で悩まないで 県内患者会
 一緒に語り、支え合おう-。県内には乳がん患者・経験者の団体が各地にあり、勉強会や交流会、啓発活動などを積極的に行っている(かっこ内は事務局所在地)。


■ほほえみネットワーク(弘前)  会員は県内各地に約80人。「乳がんを明るく生きる」を合言葉に活動。奇数月にサロンを開いている。ファクス0172-34-2037、メールhohoeminet55@yahoo.co.jp

■ひまわりの会(三沢)  事務局を務めるあいざわクリニック(電話0176-58-7370)の相沢俊二院長らが勉強会の講師を務める。ヨガやバーベキューなどの交流会も好評。クリニックHPでも情報を提供。

■あけぼの会青森支部(むつ)  東京に本部を置く全国組織の県支部として学習会などを開催。黒石病院外科の平尾良範医師が支部顧問医を務める。電話0175-29-1692、メールrsd77608@nifty.com

■スマイルあっぷるの会(青森)  「一人で悩まず、乳がんを明るく生きよう」をモットーに、気軽におしゃべりをする交流会などを開催。会員は県内各地に約50人。メールs_ap2011@yahoo.co.jp

■乳がんピアサポートBECあおもり  NPO法人CNJ認定乳がん体験者コーディネーター(BEC)として、正しい情報を発信し、交流会などを企画。個別相談も可。メールbec8aomori@yahoo.co.jp

■あゆみの会(八戸)  八戸赤十字病院で設立され、20年以上の歴史がある。病院にかかわらず治療中なら誰でも参加できる。現在は八戸西病院(電話0178-28-4000)で年3回定例会を開催(次回は12月)。
東奥日報はピンクリボン運動を応援します
<ピンクリボン運動を支援する募金活動に協力しています>

 東奥日報社は、ピンクリボン運動に賛同し、2012年から青森市のNPO法人「あおもり男女共同参画をすすめる会」が展開するピンクリボン運動支援の募金活動に協力しています。2017年は10月1日から12月末まで、東奥日報販売店主会、同女性部「ひまわり会」と連携し、県内全市町村の東奥日報販売店に募金箱を設置するほか、運動に賛同する企業・団体にも設置した。

2016年10月1日~12月末
総額139,649円の募金が寄せられました

全額、「あおもり男女共同参画をすすめる会」で、
ピンクリボン運動の理解促進や支援のために使われます。
ご協力ありがとうございました。
 2017東奥日報ピンクリボンキャンペーン協賛企業・団体
あおもりベイクリニック
一般財団法人双仁会 青森厚生病院
桂木クリニック
村上新町病院
青森銀行
みちのく銀行
日本生命保険相互会社青森支社
住友生命保険相互会社青森支社
第一生命保険株式会社青森支社
明治安田生命保険相互会社青森支社
冨国生命保険相互会社青森支社
損害保険ジャパン日本興亜株式会社青森支店
全労済 青森推進本部
青森県民生活協同組合
サンロード青森
ハッピー・ドラッグ
ホテル青森
ぎゃらりー妙心
株式会社 ぐるめ
株式会社 塩原貨物
東奥印刷 株式会社
東奥日報販売店主会
東奥日報販売店女性部「ひまわり会」




(名称のうち印はマンモグラフィ―による乳がん検診を受診できる医療・検査機関です)