皆様 こんにちは
日曜の朝、目が覚めカーテンを開けて外を見ると、辺りは雪国になっていました。
降っては消え、また降っては消え...を繰り返し、青森も本格的な雪シーズンになります。
このブログをお読みいただいている首都圏の皆様、青森は「しばれて」いますよ!
「気温が低く、寒くて寒くて身が縛られるよう」とか、あまりの寒さに柴の水分が凍結して、「柴が割れる」状態になることから、青森、北海道では、身の切られるような寒さを「しばれる」と言います。
青森は今日もしばれてますよ!
さて、今日は先日おじゃまいたしました「津軽コギンの魅力」展をご紹介しますね。
皆様、「津軽こぎん刺し」をご存知ですか?
こぎん刺しは津軽地方に伝わる伝統的な刺繍です。
こぎん刺しの「こぎん」とは野良着の事を指すそうで、特徴は縦の織り目に対して、奇数の目を数えて刺すことだそうです。
また、よく使う模様には「猫のマナグ(目)」「豆コ」「花コ」「べご(牛)刺」など津軽の愛嬌たっぷりの名前が付けられています。



でも...うむむ、これはいったい何に使うのかしら?

NPO法人nacaアートコアあおもりの佐々木理事長に伺いましたところ、これは着物の背中から前身頃のあたりに縫い付けていたのだそうです。
こんな風に。

津軽は、その寒さのために、栽培北限が仙台や新潟あたりである綿の栽培ができません。
それで、昔から人々は綿ではなく、麻布で作った衣服を身に着けていたそうです。
8代将軍、徳川吉宗が財政安定を目指し、享保の改革を行います。
享保9年(1724年)には「農家倹約分限令」が出され、農民の着用する衣類なども厳しく規定されたそうです。
木綿の着物の着用ができない津軽の農民たちは麻布を何枚も重ね、そして重い籠を背負うため摩耗しやすい肩や背中の部分に糸をちくちく刺して生地が丈夫になるよう補強をするわけです。
また、麻布は、風通しが良く夏に向く布地ですが、厳しい冬の寒さに向く布地ではありません。
ですから、糸を入れ風の通りを悪くすることで、保湿効果を高めるわけです。
時が経ち、明治の時代になりますと、津軽でも木綿を着ることができるようになり、木綿糸が手に入りやすくなります。
それで、藍の麻布に白の木綿糸で刺すようになり、実用一辺倒から、芸術性をもったものへとこぎん刺しも変わっていくわけです。
こちらのデッサンは現存される「こぎん刺しを着た人」を描いた最古のものと言われています。
もちろん、時代は江戸時代。

少女たちは刺す練習をし、晴れ着用の物はお嫁入り道具の一つとして嫁ぎ先に持っていったそうです。
明治20年頃の美しい模様がまるで絵画のように刺された、こぎん刺しの着物が今でも残されています。

しかし、明治末期になりますと、上野~青森間の鉄道が開通し、いままで手に入れることが難しかった物資も津軽に入ってまいります。
その一つが綿でした。
温かく丈夫な綿を人々は重宝し、こぎん刺しの着物は忘れられていきます...
でも、価値ある伝統は簡単になくなりません! なくせません!
昭和に入り、柳宗悦らの民藝運動により、こぎん刺しの価値が再認識されるようになります。
現在、地元の愛好家や、最近では若い女性の趣味の一つとして、注目を集めています。
ここ青森では、こぎん刺しは生活に根ざしたものであり、「こぎん刺しって津軽のものだったの?あらま、知らなかったわ」という声も聞こえてきそうです。
こちらの展示会では江戸時代の津軽こぎん刺しをたくさん展示していました。
一番初めに目についたのが、こちらです。

なんと! 絹糸を使ったこぎん刺しです。
通常、こぎんは木綿糸を使っているのですが、これは当時庶民が使う事を許されていなかった絹糸を使った本当に珍しいものです。
これには、悲しい物語があるんですと佐々木理事長が教えて下さいました。
昔、村一番の不器量な女の子が、村一番のハンサムボーイ、今の言葉では「イケメン」に恋をしました。
彼女は来る日も来る日も、彼を想い、彼に嫁ぐ日を夢見て、当時は禁じられていた絹の糸を使って、こんなに素晴らしい刺し子を作ったのです。
出来上がった着物を持って、彼の家に意気揚揚と向かいました。
大好きな彼に会えるのですもの、そして、自分の思いを伝えられる...
そして戸を叩きました。
「ごめんください」
しかし、玄関に現れたのは、可愛らしい彼の新妻。
彼女は泣く泣く、またその着物を持って家に一人帰ったそうです。
一つの作品を作るのに、約半年かかるそうです。
今とは違い、電気の灯りなどありません。
農作業の合間などに、せっせと刺し続けたそうです。
まるで、コンピューターで作ったような幾何学模様が、見る者を圧倒します。
美しいのは表地だけではありません。

100年以上たっても、生地はしっかりしています。
まるで芸術作品! すばらしいですね。
ところで、展示会ではアジア各地の刺繍製品を展示していました。

台湾や中国、ベトナムのものなどを拝見しながら、シルクロードを通って、こういう技術が日本に渡ってきたのかなぁ、と感慨深くなります。
この間、ランチをいただいたレストランで、髪を束ねるためのゴムが販売されていましたので、私も一つ買いました。

こういう中間色も素敵です。
今回、津軽の芸術作品を拝見させていただき、(しかも無料で!)、地元青森の生活の中の芸術に触れることができました。
津軽ならではの伝統工芸。
生活に根ざした庶民の知恵。
次に誰かに青森のお土産を買うときは、こぎん刺しのアイテムを選んでみようかな。
小豆畑 理恵






















































































