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  • 2017年5月25日(木)

[あおトピ]書の展示。行ってみたら極彩色でスゴかった

見上げるような屏風に貼られた作品の数々
見上げるような屏風に貼られた作品の数々
流麗な万葉仮名で書かれた作品(図録から)
流麗な万葉仮名で書かれた作品(図録から)

 書といえば「墨と紙のモノトーンの世界」。なのに、会場に足を踏み入れると、見上げるような大きな屏風に色とりどりの和紙にしたためられた和歌がズラリ。青森市の書家・石澤桐雨(とうう)さん=72=が県立郷土館で開いた個展は、極彩色の和紙1000枚に囲まれた古歌の空間。その独創的な展示に、訪れた愛好家の皆さんからも思わず感嘆のため息が漏れたのでした。

 行ってみたのは「萬葉の流れの中にII 石澤桐雨 萬葉千首展」(4月28日~5月14日)。石澤さんは、日本の書を確立したと言われる故・鈴木翠軒の行草書を継承する本県を代表する書家。「日展」では特選を2回受賞しています。

 ところで、万葉集(萬葉集)といえば奈良時代の8世紀後半に成立したとされる最古の和歌集。現在の平仮名がまだなかったので万葉仮名で書かれています。

 ご承知の方も多いと思いますが、日本語の音に合う漢字を当てた表記なので難解です。例えば「多此由久和礼乎(旅行くわれを)」という風に。しかも、筆者の日常は、およそ古歌の雅とはほど遠いところにあります。というわけで、観賞は会場受け付けに用意されていた図録が頼りです(汗)。

 さて、その展示。月並みな表現で恐縮ですが「壮観」の一語でした。作品は扇形、方形の色とりどりの和紙(純楮紙=じゅんちょし)に1首ずつ。それが、高さ3メートルもある何双もの屏風にびっしり貼られています。その数なんと1000首! 隣り合う和紙が同じ色にならないようにするだけでも、大変だったことでしょう。

 会場の様子は、当ページの動画や全天球画像へのリンクでチェック可能。流麗な筆致の数々の作品の中に、春の季語を見つければ蝶が、秋の季語があれば枯れ葉が舞っているような、そんなムードに包まれます。来場者から「書に関心はなかったが、空間の雰囲気が素晴らしい」との声もありました。

 石澤さんは万葉の世界をライフワークとし、1993年には「萬葉五百首展」を開催しました。今回の展示品は2013年に書き上げたそうですが、天井の高い展示場所を見つけるのに苦労したのだとか。四半世紀ぶりの個展だけに、作品の見せ方に強いこだわりが感じられるのも、うなずけます。

 万葉集に収められている歌は4500首以上。石澤さんは「書いていない作品が約3千点残っている。次回は大きな屏風にも豪快に作品を書いてみたいですね」と、意欲満々です。

 青森での展示を終えた作品は、6月29日から7月9日まで、東京・国立新美術館でも公開されるとのこと。首都圏の書道愛好家にも、インパクトありそうです。(K)

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