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  • 2017年5月17日(水)

[あおトピ]進撃の86歳スプリンター ガチ勝負したら…

マスターズ陸上のM85クラスで100、200mの世界記録を持つ86歳の田中さん
マスターズ陸上のM85クラスで100、200mの世界記録を持つ86歳の田中さん
田中さん(手前)にガチ勝負を挑んだメタボ記者だが、序盤で勝負は決した
田中さん(手前)にガチ勝負を挑んだメタボ記者だが、序盤で勝負は決した

 陸上の話題と言えば最近、男子100mで日本男子初の「9秒台」がいつ達成されるかで持ちきりだが、年齢別に競う「マスターズ陸上」界では、世界記録を次々塗り替える青森の〝人類最速おじいさん〟が注目を浴びている。86歳の田中博男さんは昨年、M85(男子85~89歳)クラスで、自身が持つ100、200mの世界記録を、それぞれ0・72秒、1秒32縮める「15秒19」「31秒95」に更新した。驚くことに、ある計算式を充てはめると、田中さんが最盛期なら、ボルトが持つ100mの世界記録「9秒58」に匹敵するタイムになるのだとか。とどまることを知らない進化の過程を体感しようと、〝ほぼほぼ〟50m走のガチ勝負を申し込んでみた。

 過酷なトレーニングに耐えうるほどの肉体を持つボルトのような屈強な大男-。そんなイメージを抱いていたが、実際に会った田中さんは身長150㎝台半ばで、笑顔を絶やさず、どこにでもいそうな好々爺(や)。いったい、どこにマスターズ陸上界で「日本のエース」と称されるスピードスターの秘密が隠されているのか。 

 今回、恐れ多くも勝負を挑んだ男性記者は、身長176㎝、体重85㎏、ウエスト100㎝というメタボなアラフィフ世代。とは言え、相手は父親世代だ。「よもや負けるわけがないでしょ…」と高をくくって、いざ勝負!

 スタートの合図と共に、田中さんはサッと体を低くしてロケットスタート。この時点ですでに勝負は決していた。腕を力強く振り、太ももを高く揚げる田中さんは、どんどん加速し、記者を10m近く離してゴール。息も絶え絶えのメタボ記者を横目に、「これでも80%のスピードも出していないよ」と涼しい顔の世界王者。どうも、おみそれいたしました… 

 ちなみに、陸上短距離の元青森県高校記録保持者だった同僚女性記者に、田中さんの動画を見せたところ、「体の軸がぶれず、走るフォームがきれい」と感心。「無理な筋トレや走り込みをせず、しっかり体調管理に努めていることが記録向上につながっているのでは」と分析した。

 若いころはスポーツに縁遠く、陸上競技を始めたのも教員退職後の60代というから、かなり遅咲きのスプリンターだ。トレーニングは、屋内施設で週4日、1日2時間をストレッチ中心に費やし、時折公園などで全力疾走をするだけ。「『コーチ指導を受けたらもっと速くなるのでは』と勧められるけど、他人に押しつけられるのは好きではない」と〝オレ流〟を強調する。 

 さらなる記録更新が期待された16年秋のマスターズ世界大会。100mなど4冠に輝くも、思うような走りができず「不完全燃焼」だったという。冬期間はひたすら股関節や肩甲骨などのストレッチ、体幹トレーニングを重ね、今年3月の世界マスターズ室内陸上大会に出場。60、200mの2種目で室内世界記録をたたき出した。「このひと冬で走るための体づくりがしっかりできた。今後に向けていい経験になった」。充足感に満ちた表情は、うらやましい限り。 

 90歳までスパイクを履いて走り続け、マスターズ陸上の楽しさや魅力をより多くの人に知ってもらうことが、今後の夢だという。

 「『走る』という野生本能のDNAがいささか強いのと、ほんの少しの努力がドッキングしていま花開いたかな(笑)。あきらめないで続けると、必ず何らかの結果が出るということ。さまざまなことにチャレンジする中で、皆さんも何かに出合うはずだし、きっと目標は達成されますよ」

 年を取ることは楽しいと思わせてくれる〝走り〟と〝金言〟、ありがとうございます。2020年の東京五輪は90歳目前で迎える田中さん。ぜひ聖火リレー走者となって、得意のロケットスタートで颯爽と駆け抜ける姿が見た~いw(蜜)

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